破産 18
「何のお仕事されているんですかぁ?」
無情にも彼女の純真無垢な質問が胸に突き刺さる。
「インストラクターです」
その間1.2秒。
唐突な質問に、ついデマカセを言ってしまった。
周りを見ると友人達は皆下を向いていた。
「えー。なんのインストラクターなんですかぁ?」
「ペニスです。ペニスのインストラクターをやっております」
一瞬、テニスに聞き間違えてくれてないかな?
なんて、淡い期待をしたけれども、そんなことは無さそうだった。
女性陣は、しかとペニスと聴き取ったようだ。
もう友人の顔は見れない。絶句している顔が目に浮かぶ。
もういいや。
室内は晴天の南極基地のような静けさを保ちつつ、
私のEs(エス)が冴え渡る。
「えっとね。おちんちんをね。こうしてね。上下にね。やるんですよ。
もう止まらないよ。誰か私のロマンティックを止めて。ほーら。
大きくなってきたね。あれ。ジーパンがパンパン!苦しそうだなぁー」
ジーパンのチャックに手を掛けた瞬間、
参加者のひとりである女子大生がこう言った。
「出すのは勝手ですけど、その仕事どうやって利益を出すんですか?」
29歳無職童貞の精子から利益が出るはずも無く。
といって出資してもらうほどレゾンデートルのあるおちんちんを持っている訳では無い。
帝国データバンクによると、精子の小売・卸売業の株式会社ペニスインストラクターは、8月19日から事業を停止し、自己破産を申請する方針。
負債額は約2万5千円に上る見込み。事後処理を友人3名に一任した。
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