バーチャルさんはみていた。~Vtuberバブルのはじまりから終焉まで~ 1

 あなたは現在放送中の「バーチャルさんはみている」というアニメをご存じだろうか。
 
 もし知らないのならそれは幸いだ。別に興味を持つべきではないし、むしろこんなアニメを知っていたところで、人生の役には立たない。何より他に楽しいアニメならたくさんあるんだからうん。

 けれど、もしあなたが「Vtuber」(バーチャルyoutuber)に興味を持ち、あのアニメを見ることでVtuberのことを知りたいと考え、その上で何かいいようのない『あ、これクソアニメじゃね?」と感じたのだとしたら、ちょっと待って欲しい。

 あのアニメはVtuberの「本編ではない」んだ。

 そう。何をいってるのかわからないかも知れないが、むしろ放送前からやっていたニコニコ動画の特番の方が本編で、アニメの本編はおまけだといった方がいいくらいの出来だし、正直今の時期になんでVtuberをわざわざアニメにする必要があるのかとか、あれそもそもアニメじゃなくてせいぜいコラボコントだし、いっそ委員長のみとらじ※1 を番組化した方がよかっただろう・・・とか、私もあれこれ不満はたくさんある。それこそ言い切れないほどにね。まあ、まず覚えておいて欲しいのは以下の点だ。

 ・そもそもVtuberはああいう脚本用意したアニメ形式にはあんまり向いてない
 ・Vtuberの魅力はそれぞれの個性にあるのがショートコントばかりでほとんど活かされてない
 ・大体あれVtuberのファンじゃないとネタがいまいちわかんないんだよね
 ・あくまでVtuberの動画好きで色々見てる人が楽しむもんだから、ほんとに楽しみたいならまずそれぞれのVtuberのチャンネル見た方がいい
 ・いや、元ネタ知ってれば楽しいかっていうとやっぱアニメ本編はそうでもないんだけど
 ・ほら、「内輪受け」ってあるじゃない。あくまでそういうノリに入りたいなら予習はした方がいいよって感じ
 ・え? 「なんで地上波でそんなもん流してんだ」って。うん、ほんとそれ。割と詳しい人も困惑してる。あ、でもピーナッツくん※2 は面白いからあれはあれでいいんじゃない。後、富士葵※3 は演技上手いよね。がんばってほしい

 わかったかな。あのアニメはあくまで「Vtuberというものをすでに知っている人がおまけ感覚で楽しむためのもので、大体の内輪向けのネタがわからないと『平成の最後に突然蘇ったウゴウゴルーガ』※4 でしかないんだ。

 え? よくわからない。年代の違いかな。ともかく、Vtuberを知らないと正直「ポプテピピック」※5 とさえ比べていいのかわかんないくらいに微妙な作品であるのは否定できないんだよね。
 いっそ、NHK教育で10分くらい流せば意外と子供には受けるかも知れないけど、ミライアカリ※6 いるからたぶん無理。
 と、長くなったけれど。

 ・ちゃんとVtuberさんたちのチャンネルにある動画や生放送を見よう。そっちのが面白いから。

 というのが、すでにVtuberを多少知っている人から初見さんに贈ることのできる最大のアドバイスだね。
 あらためてこういうと「それ地上波でやったら爆死確定やろ」としか思えないんだけど、それでも一応Vtuberがこうしてアニメ作品にまでなったことは、2018年に追いかけていたファンとして、非常に感慨深いものがあるのも事実なんだ。ようするにそうしたファン・・・あえて我々という方がいいかな。我々の多くは。

 「楽しい思い出はたくさんくれたVtuberたちが、ようやく地上波でまとまった番組を作ることができたのはよかった」

 という思いはたぶん少なからずみんなある。

 そんな風にいうと、そろそろVtuberもオワコン※7 になりつつあるような印象を受けるかも知れないけど、実はその通りなんだ。なんていうと。
 
 「え? 今でも人気のあるVtuberのチャンネル登録者数は増え続けてるし、こうしてアニメにもなってるんだから成功してるんじゃないの?」

 と不思議に思うかも知れないし。

 「さてはアンチだねおめぇ」

 とか思われるかも知れないけれど、それはさすがに誤解だよ。今でも私は時間があるときには結構Vtuberの動画や生放送は見ているからね。一応ファンの端くれではある。
 でもその上であえて、そろそろ「商業としてのVtuberは曲がり角に来ている」のだといいたいんだ。

 「いや、そういわれても、そもそもVtuberのこれまでの流れよくわかんないし、いきなり終わりとかいわれても」

 と思ったキミ。

 うん、その感想はもっともだ。
 そこで私の意見が単なるアンチではなく「Vtuberブームのはじまりからこれまでの流れ」を見てきた上でのものであることを証明するためにも、まずは今認識している範囲でのVtuber界の現状を説明してみようか。

 現在、Vtuberには大きく分けて二つのタイプがある

 ・「企業に所属しているもの」
 ・「個人がやっているもの」

 「バーチャルさん」に出ているのはほとんどが企業系の人であるのはいうまでもない。
 ただVtuberの場合、個人で活動していても企業からよくオファーやコラボのかかる人もいれば、企業系であっても所属会社がそれほど力がなくて実質は個人や少人数のサークルが趣味でやっているのとあまり変わらない人もいるから、そのあたりを踏まえて「後ろのことはよくわからないのが実情」というところもある。

 次に勢力図だ。


 Vtuberを企業として運営している「大手」として知られているのは主に以下の企業となっている。

 ・upd8(Activ8)
 Vtuber界で最大の総合チャンネル登録者数を持ち、元祖Vtuber(親分)として知られるキズナアイ※8 をはじめ、ソング系Vtuberとして『NHKバーチャルのど自慢』※9 にも出演したYuni※10、動画投稿が多い織田信姫※11 など人気Vtuberが多く参加している。ユニット系Vtuberとして活動する「あにまーれ」※12 、「ハニーストラップ」※13 も現在はここに参加しているようだ。

 ・にじさんじ(いちから)
 2018年に急成長し、Vtuberを運営する企業としてはActiv8に次ぐ勢力となる。所属Vtuberの配信はイラストを動画ソフトで動かす形式で行われることが多く、現在はほとんどのVtuber運営企業がこれを採用しているが、にじさんじはその元祖だね。
 主な所属Vtuberにはサブカルクソムカデ委員長として知られる月ノ美兎※14。一月にはじめてのライブを成功させた樋口楓※15 などがいる。

 ・アップランド
 バーチャルyutuber四天王にして、古参Vtuberの一人であるサイコパスシロイルカ、こと電脳少女シロ※16 を中心として運用されている企業。「ウビバ」(世界初の男性バーチャルyoutuberのばあちゃる)※17 がプロデュースする「アイドル部」※18 は全員3Dモデル化を果たしている。グループ売りでは一番成功してるんじゃないかな。
 主なVtuberは電脳少女シロ。ばあちゃる。もこ田めめめ※19。金剛いろは※20 など。

 ・エンタム
 「ばーちゃるさん」にはシロと同じく元祖四天王の一人であるミライアカリ、ゲーム実況で知られる猫宮ひなた※21 の二人を送り出し、もちひよこ※22 も次回予告で出演していた。
 
 ・ホロライブ
 CDメジャーデビューを決め、「ばーちゃるさん」にも出演しているときのそら※23 。配信頻度が高く、ゲーム知識が豊富な白上フブキ※24 などが所属する企業。

 この他にVtuber四天王で、現在キズナアイに次ぐチャンネル登録者数を誇る輝夜月(かぐやるな)※25 と、現在人気沸騰中の新人Vtuberピンキーポップヘップバーン※26 の運営である「THE MOON STUDIO」。
 「ばーちゃるさん」のレギュラーメンバー田中ヒメと鈴木ヒナ※27 (ヒメヒナ)が所属する「田中工務店」。
 同じく「ばーちゃるさん」にコーナーを持つゲーム部プロジェクト※28、道明寺ここあ※29 が所属する「株式会社バーチャルユーチューバー」。

 などが人気Vtuberの運営として存在しているけれど、これらはどちらかといえば事務所という印象はあまりないと思う。
 他はそうだね。ミライアカリ(ミライアカリプロジェクト)の生みの親であり、現在はヨメミ※30、萌恵※31、萌実※32 などのVtuberを運営している「アニメ娘『エイレーン』※33」(通称エイレーンファミリー)がかなり独特な存在感を持っているから、よかったら見てみるといい。

 このように「ばーちゃるさん」の出演Vtuberの多くもやはりいずれかのVtuber事務所に所属していることが多い。
 逆にいえば現在のところ「個人でやっているVtuber」は、人気のあるごく一部を除いてほぼ衰退傾向にあるといっても過言ではないだろう。
 というのも、個人でやっていても何かがきっかけで企業にスカウトされることもあるからね。
 とくにupd8とエンタムはもともと人気のあるVtuberたちを集めてできたようなものだから(upd8は企業ではなくプロジェクトであるため「支援」としている)、もとが寄り合い所帯の印象が強いし、その点では最初から自分の会社で所属Vtuberを探して育てていたアップランドやにじさんじとは違う部分だ。

 と、やや硬い説明な上に、話が長くなってしまったので今回はとりあえずここまでにしよう。次回はVtuberの活動方向などについてまとめ、さらに2018年のVtuberブームを振り返っていこうと思うので、興味があればまた付き合ってくれるとうれしい。よろしくお願いするよ。

 注釈

 ※1 クソムカデ委員長が毎回ゲストを呼んで独特のテンポで語りつくす生放送。
 ※2 オシャレになりたい人。豆。
 ※3 かわいくなった人。歌が上手い。
 ※4 3Dのポリゴンアニメとコスプレした子供が出てくる変な番組
 ※5 クソアニメ。竹書房には勝ったがコブラには負けた。
 ※6 「ハロー! ピロリロリン!」の人。昔は綺麗なお姉さんだったんだよ。
 ※7 割と便利なレッテル。
 ※8 「はいどーも! キズナアイです! 最近なんか一部で炎上したことにされたんですけど、正直ファッ〇〇〇ですね」
 ※9 たぶん審査員がゴリラなのど自慢番組。
 ※10 Vtuber界で歌が上手い人その2。
 ※11 自己主張の激しいVtuber。自己顕示欲が強い孫悟飯によく負ける。
 ※12 変なうさぎと仲間たちの喫茶店。仲いいのかわかんない。
 ※13 頭にカニカマつけた悪魔と仲間たちの喫茶店。仲はいい。
 ※14 ネタに困らない人。自分の薄い本ではよくイチモツがつけられていると明言した。
 ※15 委員長の相方。通称はでろーん。一番女子高生らしい。
 ※16 「シロちょっと殺〇鬼の才能あるかも!」の人。トークが独特。
 ※17 はいはいはい! もう最近ほぼ普通のyoutuberですけどね。ファンが一番面白いやつ。
 ※18 シロの配下たち。リスナーを遊園地で時給200円で働かせる女とか、絶叫がすごいのとか色々いる。
 ※19 靴下ダサいもこー。
 ※20 「わかっちゃった!」(わかってない)
 ※21 PUBGがうまい。某シロイルカに最近おもちゃにされてる模様
 ※22 ようじょ・・・
 ※23 アメージンググレースでみんなを浄化する。ホラー耐性A。聖属性。
 ※24 キツネじゃい! ネコじゃい!
 ※25 「おはよおおおおおお かぐやるなだよおおおおおおお」の首絞めハム太郎。キッズに人気らしい。
 ※26 うるさくしてもところどころに滲み出る品の良さが隠せないハム太郎の後輩。
 ※27 「ばーちゃるさん」エンディング担当。おいしいとこ持ってくなあ。
 ※28 茶番部。コントはチャンネル動画のが面白い。
 ※29 Vtuber界で歌が上手い人その3。最近よく茶番に参加させられる。
 ※30 変態によく騙される人。
 ※31 英語ペラペラな毒舌娘。
 ※32 貧乳。もうすぐ3D化するらしい。
 ※33 変態。委員長と食用の雑草をとりあった過去がある。

 

 
 
 

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