宇宙の深淵を覗く ~君と宇宙を歩くために2巻~
『君と宇宙を歩くために』2巻は、天文部の観望会から始まります。
元天文部員としては、双眼鏡で覗いた月と肉眼で見たときの見え味の違いに大騒ぎする小林くんの反応に懐かしさを感じました。
そうだよね、初めて見たときビックリしたよ。本当に、空に貼り付いてるんでも描いてあるんでもなくて、そこに「ある」って実感するよね。
そして、一番近い星でも40兆km 、多くの星はそれ以上離れている、そんな遠くの星の光が「まっすぐ」自分の目に届いていると先生や先輩に代わる代わる説明されて、それを実感した小林くんの反応たるや……そうなんだよ、宇宙ってめっちゃ広いよね! 衝撃的だよね。
想像もつかないくらい、地球より太陽より大きいのに点にしか見えないくらい遠く離れたあの星を発した小さな小さな光の粒が、何物にも遮られることなく今、自分の網膜を刺激した奇跡に慄くよね!
物理わかんないー!って天文学の最前線に付いていけなさを感じている身としては、ちょっとファストフードでも奢りながら、小林くんの話を聞かせてほしいと思ってしまったのでした。やっぱり、宇宙はロマンですよ。
美川先輩がモニョモニョと小林くんの見方をを評価してるのがまた最高です。
そんな楽しい観望会の帰り道で、来週はテスト週間→赤点は補習→補習をサボると部活禁止という事実を知り、小林くんは焦るのでした。
そして、テスト勉強からのテスト、テスト明けのバイト。
小林くんの授業中の妄想が最高です。ほんと、彼の発想力は素晴らしいです。
そして小林くんの勉強に身が入らないっぷりも、宇野くんが頑張り過ぎちゃって疲れちゃうっぷりも共感してしまって、本を持つ手に力が入りました。
というか、分かりすぎて「ぁあ〜」って情けない声を出して何回も号泣してしまいました。
また、周りの人たちの反応がすごいんです。
いい人ばかりじゃない。でも、悪いばかりの人もいない。
朔ちゃんがバイト先でめちゃくちゃ有能で、テスト週間もガンガンにバイトを入れているのもすごいと思いました。
高校生が居酒屋でバイトしてるのも時代だなぁと感じます。
紙の本のお楽しみの1つは、カバーを剥がすことにあると思います。
今回も中の表紙デザインが素晴らしかったです。
あと、紙の本と言えば挿みこまれているリーフレット。
「この作品が好きならきっと好きになる作品を紹介!」って上手いなぁ。
アフタヌーン6月号を読んで「これは!」と感じた『どくだみの花咲くころ』が紹介されていました。
こちらはクセのつよい小学生、信楽くんと彼を観察する優等生清水くんの友情…というには何か微妙なお話。
6月号掲載の1話分しか読んでいませんが、入り込んで泣いてしまうという感じじゃなくて、淡々と綴られる小学生男子の生態を覗き見て「もー、男子ってばおバカ」っで悶える感じです。