五徳姫異聞 〜松平信康の妻はどんな女性だったのでしょう〜
『どうする家康』の五徳
6月25日の『どうする家康』をご覧になりましたか?
ついに五徳が、信康を慕っていると言葉にしましたね。
これまでも大事なところでじっと見つめていたり、そうなんだろうなと行動の端々に現れていましたが、信長の姫としてのプライドなのか、信長を恐れるがゆえの盲従なのか、最終的には父親の意向を優先させていた五徳が、ついに、信長に反して信康に付いていくと言葉にしました。
『五徳春秋』の五徳
実は私の中の五徳は、大好きな信康(鍋)を支えるかわいい“ごとく”なので、やっとデレた!と快哉をあげました。
この五徳像はハッキリと河村恵利先生の『五徳春秋』の影響です。
こちらの五徳はおっとりしていています。築山様のことを大層慕っています。
築山様も夫家康を愛しているし、息子夫婦のことも大切に思っています。
もちろん信康は五徳とラブラブです。
そんな信康が、何故、愛する妻の父を裏切り武田と通じたのか、河村先生の解釈が恐ろしいです。
信長は怖い人に描かれているけど、大河の信長みたいに圧は強くない、強くないのにこんな怖い手を打ってくるのかと震えが来ます。
そんな恐ろしい父から夫と姑を守ろうと精一杯立ち回る五徳の抵抗に、とてもやるせない気持ちで読み終わりました。
河村恵利先生
河村先生は、長い日本の歴史の中から推しを見つけ、ご自身の萌えポイントに溢れた物語に紡ぐのがとても上手い作家さんだと思います。
思いを表明することに不器用な人たちが伝え合えないことで起こるすれ違いのもどかしさ、その悲劇的な結末に、私の心は鷲掴みにされました。
独自の視点で紡がれる物語は歴史書の隙間を突いて、もしかしたらそうだったのかもしれない、そうだったら救われる/救われないと思わせるものも多いです。
度々登場する足利直義や日野富子など、一般的にはかなりの悪役だと思いますが、その裏側の脆さ優しさと苦悩が描かれていてとても魅力的で、思わず好きになってしまいます。
『時代ロマンシリーズ』では鎌倉・室町をたくさん取り上げてくださっているのも個人的には高得点です。
遠藤盛遠
2巻「清水鏡」に収録されている『血の涙』は遠藤盛遠と袈裟御前の悲恋のお話です。
私の盛遠のイメージはこれだったので、昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の怪僧文覚にはひっくり返ってしまったのでした。
さて、7月1日13時05分から「築山に集え!」の再放送があります。
ご覧になっていない方は、よろしければついにデレた五徳を見てください。