開催経費を削減して主催イベントを収益化する方法&考え方
イベントづくり先生のオーガナイザーM(@organizermanual)です。
このnoteは、インターネットや趣味の繋がりを活かして自分のイベントを立ち上げたばかりの初心者オーガナイザーさんに向けて、個人主催イベントから起業して10年以上プロイベンターとして活動した私の経験を元に「転ばぬ先の杖」となる知識や情報をご提供しています。
今回は、第二部「イベント収支管理」の第4回、支出に関することをご説明します。前回の記事と対になる内容なので、↓の記事が未読の方は、先にお読みになってください。
それでは、始めます。
「売上」-「経費」=「利益」のもう一つの解
前々回の記事で事業収支の絶対法則「売上」-「経費」=「利益」をご紹介し、前回は「売上」に着目してビジネスモデルの基本の型について説明しました。
しかし、不慣れなイベント主催者にとって「売上を伸ばす」というのは並大抵の難易度ではありません。
一方で、この絶対公式からはもう1つの解が得られます。
即ち、売上が少なくても経費がそれ以上に少なければ赤字にはならないということです。そして、赤字にさえならなければ続けることができるのが個人主催イベントです。
そこで今回は「経費」の方に着目し、イベントづくりにはどんな「経費」が掛かって、どうすればそれらを可能な限り削減できるのかについて説明します。
個人主催イベントはお金を使う前に頭を使え!
イベントに必要な「経費」を説明する前に、絶対に頭に入れてほしい考え方を先にお伝えします。それは・・・
お金を使う前に頭を使え!
です。
イベントづくりには色々なお金が掛かります。アレコレと「やりたい」が先走ると大切な資金が一瞬で消えていきます。更に恐ろしいのは、イベントづくりでは後払いにできる経費が意外と多いことです。
それは一見すると助かるのですが、手元のお金が減らないのでついつい「経費」を多く使ってしまいがちです。そのせいで、イベント後に意外と「利益」が残らなかったり、支払いに苦労する苦い経験をするオーガナイザーは少なくありません。
個人主催イベントを長く続けるには、赤字は絶対NG。余計な経費どころか、絶対に避けられない支出以外は可能な限り使わないのが正解です。
頭を使えば、思いもよらぬ方法で経費削減ができることがあります。必須経費だとしても、契約や支払いの前に一旦立ち止まって、どうしたらこの「経費」を削減できるか、考えを巡らせるクセをつけましょう。
そんな頭で、これからのイベント経費の説明に目を通してください。
イベントづくりの5大経費
イベントづくりには大まかに次の5つの経費が必要になります。
「予算」づくりをする時には、発生する支出をこの5つに分類して整理すると把握しやすくなります。
1.会場費
イベントを開催するの絶対に必要になるのが「場所」です。オンライイベントやVRイベントだとしても、スペースやインスタンスといったデジタル化された「場」を用意しなければなりません。
そうした「場所」を準備するために必要な費用が会場費です。
多くの場合、イベントづくりの中でもっとも大きな「経費」になります。
2.人件費
人件費は、開催前から制作に協力してくれる仲間への報酬や会場内で様々な仕事をしてくれる専門家やスタッフに支払う日当です。
会場費の次に大きな「経費」であり、場合によっては会場費よりも人件費の方が多く必要になることも珍しくありません。
3.制作費
イベントの立ち上げから開催までに支出する人件費以外の費用をまとめて制作費と呼びます。具体的には、イベント会場の設営、備品のレンタル、スタッフの交通・飲食代、消耗品の購入代など、その範囲は多岐にわたります。
また、「やりたい」が増えたときに顕著に増加するのも制作費の特徴です。
4.広告・宣伝費
広告・宣伝費は、ホームページの制作費、サーバー代、チラシやポスターのデザイン代、SNS等の広告代や有料アカウントの費用、揃いのロゴ入りTシャツやノベルティ用シール等、イベントを作るためではなく、作った(これから作る)イベントを知ってもらうために支出する経費です。
広告・宣伝費は費用対効果を検証するために、施策別に把握しておくのがおすすめです。
5.企画・管理費
最後に、制作や広告・宣伝を着実に進めるために使われるのが企画・管理費です。企画立ち上げ時に行った調査、打合せに使った会議室のレンタル代や飲食代、各種アプリケーションの購入&サブスク代金等。
運営事務局にかかる(あなたの取り分を含む)費用もここに入れておくと良いでしょう。
闇雲に支出をケチらず、メリット提供と値引きをトレードする
さて、あなたならどうやってこれら5つの「経費」を削減するかイメージできたでしょうか?
やってはいけないのは、闇雲に値切ること。取引先泣かせはビジネス上の最悪手です。
経費削減の基本は相手方のメリットとディスカウントを交換することです。具体的には次のようなことが考えられます。
1.閑散期の利用と値引きを交換する。
どんな人気のレストランであっても、平日のモーニングとランチの間、ランチとディナーの間はお客さんが減ってしまいます。もし、こういう時間帯にまとまった人数の予約が入ったらきっとお店は大喜びのはずです。
もし、あなたがシフト休の人を対象にした交流会を企画していたなら、ぜひ平日の午後2時〜4時の開催を検討してみてください。きっと、会場費を安く抑えられて、お店にも喜んでもらえる企画になるはずです。
このように、相手の仕事が少ないタイミングを安く購入するのは、一番分かりやすい交渉のやり方です。
2.将来の安定した売上と値引きを交換する。
飲食店(特に飲み屋)はよく「水商売」と言われます。また、個人事業の親方には自虐的に「俺はヤクザもんだからな!笑」等と口にする方がいます。いずれも意味するところは、先の売上は神のみぞ知るということです。
ライブイベントスペースにとって、毎月安定して借りてくれるお客さんは大切です。そこで仕事をもらう音響や照明スタッフさんも多くは個人事業主です。
もし、それが平日の仕事だったりしたらこれほど嬉しいことはありません。
3.広告価値と値引きを交換する。
あなたのイベントで提供されるドリンクのカップが特定のブランドロゴが印刷されていたら何か不都合はありますか?
そうしたロゴの露出と引き換えに、ディスカウントや物品提供が受けられる場合があります。スポンサーシップは「売上を増やす」だけでなく、「経費を減らす」施策としても検討できます。
協賛者にとっては「経費を減らす」方が協力しやすい場合もあります。
4.「やりがい」や学びを報酬とする。
「やりがい」を釣り玉に人を集めて、無償や安価で働かせるというやり口を指す「やりがい搾取」という嫌な言葉があります。「やりがい搾取」の問題は、実際にはその仕事にやりがいなんてないことです。
本当にやりがいや深い学びがある仕事に、人は喜んで協力します。
もちろん、その人の趣味趣向やメリットをちゃんと理解して、彼や彼女に適した業務をお願いする必要があります。
特にお金がないイベント立ち上げ時期には、思い切ってお願いしてみてはどうでしょう?
以上、4つ挙げてみましたが、これはほんの一例にすぎません。また、あらゆる場面で使えるものでもありません。相手の状況や事情を慮って、双方のメリットを良く考えて提案することが大切です。
まとめ
関西弁で「ええかっこしい」という言葉があります。
初心者オーガナイザーの多くは「ええかっこしい」です。私もそうでした。イベントづくりに不慣れな主催者が簡単に「ええかっこ」する方法は金払いの良さを見せることです。
でも、関西にお住いの方なら既におわかりのとおり「ええかっこしい」は、要するに悪口。誰も「ええかっこしい」のことを格好いいとは思っていません。
本当に格好いいオーガナイザーは「売上」-「経費」=「利益」の絶対公式に沿って、無理なく、自分のやりたいことを形にしていきます。お金がないなら、頭を使って、お値段以上の交渉をまとめます。
ぜひあなたも、相手と自分のメリットを見極め、頭を使って、「ええかっこしい」ではないスマートなイベントづくりを目指してみてください。
次回は、第二部「イベント収支管理」の締めくくりとして、収支管理に役立つツールやアプリケーション等をご紹介します。
ぜひ、最後までお付き合いください。