経営は、組織は、美しいか?
私がnoteを通じて探求・表現したい根源的なテーマに関するエントリー
経営は、組織は、美しいか?
私がnoteでの表現に向き合う時間も、仕事でエクイティストーリーを練る時間も、辟易しながらメールに忙殺される毎日も、根源的には「経営は、組織は、美しいか?」という問いに答えるためにある。これは特定企業の経営や組織の美醜を考えるという意味ではなく、日々当事者として直面する数々の経営・投資の「謎」の背後に潜む「美」を探求する、という意味である。
経営・投資の「謎」と言えばむしろつくづく「謎」しかないが、例えば一見するとほぼ同じような企業であるにもかかわらず、これらの企業の間にパフォーマンスの相違が見られ、かつそれが永続しているのは何故か?というテーマはPPD among SSE (Persistent Performance Differences among Seemingly Similar Enterprises)と呼ばれ、学問的に重要になりつつあるテーマであるばかりか、「違いを真剣に考える」ことが私の社会人としての原体験でもあったため、生涯をかけて向き合う価値のある問いの一つだと考えている。もちろんこの他にも、組織・戦略・市場と日々向き合う中で「謎」は尽きない。
「美」とは抽象的な表現だが、一義的には「数学的な美」の発見である。これも学生時代に育まれた審美的意識に繋がるが、①Simplicity:複雑な事象の本質をシンプルなモデルで記述することと、②Analogy:一見すると全く関係のなさそうな事象に共通する構造を見出すことを指し、その説明精度や範囲が想像とかけ離れている程に抱く、不思議を通り越した不気味な感覚を形容している。自然現象の中にはそのような感覚に襲われるものがしばしばあったが、果たして経営現象の中にそれは望むべくもないものだろうか。
経営現場と抽象の極北への探訪
かくして野望めいた遠大なテーマ設定を掲げたてはみたものの、すぐにその答えを提示したり、明日から役に立つ知見を提供したりといったことは到底できず(そもそも答えが見つかるかどうかすら全く定かではない)、むしろライフワークとして、「経営・組織の美」への探訪に向けた地道な発見と気づきのプロセスこそが、このnoteで私が表現したいことである。
経営現場への探訪
経営現場への探訪では、私が生業としている投資銀行や投資ファンドで目にする様々な経営・組織・投資などに関する発見や問題意識の発露、それらに対する理解や解釈に向けたわずかばかりのアイデアの提示を試みたい。職業柄、様々な企業や経営陣と様々な距離感で接し、彼らと議論するイシューの論点も多岐に渡るため「謎」には満ち溢れているが、むしろそれらを「謎だ」と思える洞察眼を、抽象の極北への探訪によって養いたい。
「投資と経営の総合格闘技」というのはこの業界の特色を端的に表すマーケティングメッセージの一つだが、総合格闘技ですら体重別階級がある一方、全くの「無差別」なこの世界はある意味より総合的と言えるかもしれない。そんな世界で、シンプルな原理原則や共通の構造は見出せるのだろうか。
抽象の極北への探訪
抽象の極北への探訪では、これまで知の巨人たちが培ってきた様々な学問的な知見、とりわけ組織の経済学、金融経済学や価格理論といったミクロ経済学やゲーム理論の諸分野を中心としたコンセプトを導入しつつ、それらの含意を紐解きたい。ここでは既往知見をすぐに応用するハウツー的な議論ではなく、なるべく元のコンセプトを厳密な形で記述し、その発想方法や思考プロセスに学びを得ることを目指す。
私はそもそも学問的には門外漢であるので、これまでの知を一つ一つ集めるところがこの探訪の出発点であり、経営現場への探訪で培った「謎」の解明や有益なコンセプトの発明に思いを馳せつつも、あくまで学問的知の「美」の探求を主眼に知見を深めたい。
好奇心の薪をくべ続ける
ここまでnoteで表現したいことをとうとうと述べてきたが、つまるところ一人の経営・投資の実務家が、週末を使ってアマチュア的に学問に触れ日々の経験に思索を巡らせる中で、面白い発見を共有したい、ということである。
では何故そもそもこんなことをしたいかと言えば、「好奇心の薪をくべ続ける」ことの重要性が私の中で日々高まっているからである。その背景や私のキャリア等については、どこかの機会でお話できればと思う。
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