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A004, A005, A006 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

疑問点などありましたら、どしどしコメントください!
一緒に学んでいきましょう。

それでは、『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』の解説部分を見ながら、『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていきましょう。

A004, A005, A006 はグリニャール試薬に関する問題です。
グリニャール試薬は、有機金属試薬の中でもっとも有名な試薬といっても過言ではありません。
それはつまり、試験でも問われやすいということです。
グリニャール試薬の反応性については、しっかりと理解しておきましょう。

グリニャール試薬中のマグネシウムー炭素結合は大きく分極しており、この炭素はかなりマイナスを帯びています。
そのため、カルボニル基の炭素など、プラスに帯電しているところを狙って求核攻撃を起こします。

A004では、グリニャール試薬中のマイナスに帯電した炭素が、エステルのプラスに帯電した炭素に求核攻撃するところから反応が始まります。
エステルは脱離基となりうるアルコキシ基を持っているため、求核攻撃を受けた後、アルコキシ基を脱離させてケトンとなります
このケトンの炭素もまたプラスに帯電しているため、2等量目のグリニャール試薬が求核攻撃をし、アルコールまで変換されます。

一方のA005およびA006においては、A005の基質中のニトリル基は脱離基を持たず、A006のアミド基に存在するアミン部分も塩基性条件下では脱離能が低いため、1等量のグリニャール試薬が反応したところで反応は停止します。

その後、それぞれの反応系を酸性水溶液でワークアップすると、
A005では、プロトン化されたイミンが水に攻撃されて (加水分解)、ケトンとなり。
A006では、酸性条件下においてプロトン化を受けた3級アミン部位が、今度は脱離基として働けるようになり、隣接する水酸基の酸素原子上の電子による押し出しを受けながら脱離することで、アルデヒドが生成します。

~ 重要ポイント ~

・グリニャール試薬中のマグネシウムに隣接する炭素は、かなりマイナスを帯びており、プラスに帯電しているところを狙って求核攻撃する。
・エステルのように、脱離基を持つようなカルボニル基に対しては、求核剤は2等量反応し、アルコールまで変換される。

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