なぜ電子はそう動くの? 有機反応機構を徹底解説!

有機反応機構を学習するうえでの必読書、『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』を『電子はマイナスからプラスに動く』という考え方に基づき、体系的に解説していきます!

なぜ電子はそう動くの? 有機反応機構を徹底解説!

有機反応機構を学習するうえでの必読書、『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』を『電子はマイナスからプラスに動く』という考え方に基づき、体系的に解説していきます!

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演習で学ぶ有機反応機構の解説を行っていきます!

有機反応機構を学習するうえでの必読書、『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』の解説記事をこれから投稿していきたいと思います。 私は東京大学の理系大学院に進学し、現在博士課程在籍中です。 有機反応機構の考え方に興味を持ち、学習されている方は、このサイトを参考に有機反応機構の面白さを感じ、考え方をマスターして頂ければ幸いです。 そして、大学院入試に向けて有機反応機構を勉強されているという方は、このサイトを通じて体系的な有機反応機構の考え方を一緒に理解し、院試突

    • A014 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

      疑問点などありましたら、どしどしコメントください! 一緒に学んでいきましょう。  それでは、『演習で学ぶ有機反応機構一大学院入試から最先端まで』の解説部分を見ながら、『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていき ましょう。  A014 ではアルデヒド基をニトリル基へ変換しています。  まず、この反応系の中で最も求電子的な化学種と最も求核的な化学種を探していきましょう。 求電子的な化学種としては、この系内に存在するのはアルデヒドのみですので

      • A013 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

        お久しぶりです。 前回からだいぶ期間が空いてしまいましたが、 論文の投稿も完了し、一安心といったところで、 本日から有機反応機構の解説を再開していきたいと思います。 再開初回の反応はA013のマンニッヒ反応です。 それでは、『演習で学ぶ有機反応機構一大学院入試から最先端まで』の解説部分を見なが 『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていきまし ょう。  最初の段階はアルデヒドとアミンによるイミン形成ですね。 イミン形成については、スト

        • A012 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

          疑問点などありましたら、どしどしコメントください! 一緒に学んでいきましょう。 それでは、『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』の解説部分を見ながら、『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていきましょう。 A012 はビルスマイヤー反応です。  オキシ塩化リンの存在下、アミドと活性芳香族化合物が反応して、芳香族化合物をアシル 化する反応です。  この反応が特に有用なのは、本問題のようにDMF をアミドとして用いた場合です。

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        演習で学ぶ有機反応機構の解説を行っていきます!

          A011 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

          疑問点などありましたら、どしどしコメントください! 一緒に学んでいきましょう。 それでは、『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』の解説部分を見ながら、『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていきましょう。 A011 はストレッカーアミノ酸合成です。 アルデヒドまたはケトンのカルボニル基を、アミノ基とカルボキシ基に変換し、一発でアミノ酸を合成することが出来ます。 まず、アルデヒドに対して塩酸アンモニウムが作用し、イミンが生成す

          A010 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

          疑問点などありましたら、どしどしコメントください! 一緒に学んでいきましょう。 それでは、『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』の解説部分を見ながら、『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていきましょう。 A010 はアセタールの α位ブロモ化反応です。 アセタール形成の反応機構については A008, A009 で説明しました。 何度も言いますが、アセタール形成反応は可逆反応です。 反応系内には常に、反応中間体として考えら

          A008, A009 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

          疑問点などありましたら、どしどしコメントください! 一緒に学んでいきましょう。 それでは、『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』の解説部分を見ながら、『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていきましょう。 A008とA009はケトンおよびアルデヒドのアセタール形成反応です。 以下、wikipediaより。 アセタールはアルデヒドやケトンのような求電子性をあまり示さず、 またアルコールのような求核性も示さない。 そして温和

          A008, A009 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

          A007 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

          疑問点などありましたら、どしどしコメントください! 一緒に学んでいきましょう。 それでは、『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』の解説部分を見ながら、『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていきましょう。 A007 はDCCを用いた、カルボン酸とアルコールの縮合によるエステル合成です。 DCCがうまいこと立ち振る舞いながら、自身の中に水を取り込む中で、カルボン酸とアルコールを結びつける様は圧巻の一言です。 まず、カルボン酸の

          A004, A005, A006 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

          疑問点などありましたら、どしどしコメントください! 一緒に学んでいきましょう。 それでは、『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』の解説部分を見ながら、『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていきましょう。 A004, A005, A006 はグリニャール試薬に関する問題です。 グリニャール試薬は、有機金属試薬の中でもっとも有名な試薬といっても過言ではありません。 それはつまり、試験でも問われやすいということです。 グリニャール

          A004, A005, A006 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

          A003 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

          『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』の解説部分を見ながら、『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていきましょう。 この問題には2つの解答が用意されていますが、私は上の解答の方が正しいと思っているので、上の解答に従って解説していきます。 この問題は、塩化チオニルを用いてカルボン酸を酸塩化物に変換する反応です。 塩化チオニル中の硫黄原子は、電気陰性度の高い酸素および塩素から電子を引かれるため、かなりプラスを帯びています。 する

          A002 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

          『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』の解説部分を見ながら、『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていきましょう。 この反応は、フィッシャーエステル化反応です。 A001 において、塩基性条件下、生成したカルボン酸が脱プロトン化されていたのに対し、ここでは強酸性条件において、カルボン酸のカルボニル基がまずプロトン化されます。 プロトン化を受けることで、カルボニル基の炭素はより強くプラスを帯びるようになり、エタノールの酸素上に存

          A001 ~演習で学ぶ有機反応機構解説~

          『演習で学ぶ有機反応機構―大学院入試から最先端まで』の解説部分を見ながら、『電子はマイナスからプラスに動く』の考え方に基づき、反応機構の流れを見ていきましょう。 この反応はエステルの加水分解です。 では、まずマイナスとプラスを探していきましょう。 この反応系に含まれる化学種の中で最もマイナスに帯電しているのは、水酸化ナトリウムの水酸化物イオンです。 一方で、最もプラスに帯電しているのはエステルのカルボニル基の炭素です。 カルボニル基の炭素は、炭素よりも電気陰性度が高い酸素