ホルモン療法と性別適合手術は、精神衛生向上には寄与しない
☆ホルモン療法と性別適合手術の効果☆
近年、いくつかの実証的研究によって、ホルモン療法(Dhejne, Lichtenstein, Boman, Johansson, Långström & Landén,2011等スウェーデン)や性別適合手術(Udeze, Abdelmawla, Khoosal & Terry,2008等イギリス)の効果は、性別に関わる問題に限定され、全般的な精神的健康の向上には十分に寄与しないことが指摘され始めている。
性別適合手術を済ませたMTF(Male to Female)の精神的健康が社会的スティグマによって脅かされているという見解を述べる論文もある(Sànchez & Vilain,2009米)。身体における性別転換が必ずしも良好な社会適応を導いていない実情がうかがわれる。
また、この目白大学での研究で、2014年5月から7月にかけて,性別違和を有する者を対象とした自己記入式質問紙調査を行っているので、こちらからも引用したい。
外見的性別転換度の低い(0-20)人たちは、全体の20%。
それに対し、性自認に沿った社会生活実現度は8%であり低い傾向がある(MtF/X)。
外見的性別転換度の高い(81-100)人たちは、全体の30%。
それに対し、性自認に沿った社会生活実現度は全体の35%であり、身体的性別転換度と性自認に沿った社会生活が実現している度合いとの相関にも反映されたと考えられる。
出典:性別違和を有する者の性別移行と心理的成長に関する研究
目白大学大学院心理学研究科 西野 明樹
目白大学人間学部 沢崎 達夫
☆結論☆
ホルモン療法や性別適合手術によって、身体的な変化が顕著になるにつれて性自認に沿った社会生活を実現することができるので、精神的不調に襲われたり、仕事に就ければ問題なく社会生活を送っていくことができる。
しかし、都内でジェンダークリニックを運営する医師は言う。
相手を女性と判断するにあたり、戸籍謄本を確認してますか?
相手の見た目、声、全体の雰囲気などで相手の性別を判断しているのではありませんか?
社会的実態が伴わない人が、戸籍を変えたところで、そのギャップが簡単に埋まるものではありません。
女性としてこの社会で生きてゆくために、必要なこと――それを性別適合手術と戸籍の性別変更に矮小化して考えては、現実を見誤るのではありませんか?
性別適合手術を受けた後、自殺する人が多い。その理由は、実生活体験が不十分のまま移行した結果、女性としての社会生活に適応できず、後戻りできないと早まって自殺してしまう方が多いのです。
もちろん、精神的不調やメンタルヘルス系疾患を患う人もいるので、自己判断でのホルモン摂取、安易に診断証を出すクリニックに手を染めないでください。
アテンド業者が増え、無料説明会などで誘導し、安易にサービスを提供する業者もいます。
ベルギーでは、手術に失敗した(FTM)人が、安楽死を選択しました(2013)。
術後不良から仕事に就けず、経済苦となり自殺というケースも有ります。
いずれにしても、手術を行ったからと行って、必ずしも元気に自分らしく生きられるわけではないないことが、私なりに接して見てきてわかっている。
私は医師でも薬剤師でも看護師でもないし、その辺の端くれ者ですが、きちんと実態に踏まえて対策をしないと、トランスジェンダーとして活躍している人たちだけを見て、性別移行は簡単なものだと考えてしまわぬようにしていただきたいものです。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
また、次の記事で、お会いしましょう!!!