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mericanadesico
息子の重度知的障害を受け入れるまで④(3歳)
相変わらず言葉の出ない息子だったが、知的な遅れを感じることはなく、障害については当初は全く心配していなかった。
しかし、3歳が近づいてもなお話さない息子に焦りを感じ、日に日に「もしかしたら……」と思うようになっていった。
自治体が運営している発達相談に行ったり、「ことばの教室」に行ったりしてみれば良かったのかもしれない。しかし、あと数か月で住んでいる自治体から引っ越すことが決定していたので、そんな気になれなかった。
そして3歳を迎えた。
3歳の誕生日が少し過ぎた頃、ようやくある単語が出た。それは【アンパンマン】である。
あの国民的キャラクター名が出たことでどんなに安心したことか。「アンパンマン」に続いて「ひこうき」という単語も出て、ここから語彙爆発が起こるのだろうと期待に胸を膨らませていた。
しかし実際はそんなこともなく、相変わらず
・パパ
・ママ
・アンパンマン
・ひこうき
しか出ない毎日だった。気づけば、物を渡す時に発していた「はぃ どーじょ(ぞ)」も出なくなり、落胆はますます深まるばかりだった。
そして、息子が3歳になった4月に他県へ引っ越し、そこで3歳児健診を受けた。周りを見ると、親の言うことを聞き、きちんと順番を待つ子ばかりだ。私だけが動き回る息子の後を必死で追いかけている。
一通りの検査が終わり、最後に保健師さんから発達の遅れがある可能性があるので、改めて検査しましょうということを言われた。
他の子との違いを実感した私は「やっぱり障害があるのか……」とますます不安な気持ちを募らせていた。
思えばこの頃が一番孤独だったかもしれない。