データをもとにした人員配置のポイントと課題
人手不足によって業務の効率化が喫緊の課題となる現在、人員配置の最適化に悩む経営者さんや現場責任者とよくお会いします。人員配置はその重要性に反して、いまだに「人の経験や勘」に頼るケースが少なくないため、とくにデータ活用のニーズが高まっているのを感じます。
今回は、データをもとにした人員配置を進めるためのポイントと、そこに潜む課題についてお話していきたいと思います。
データ活用は人の経験や勘を可視化する
人員配置は、異動や採用といった長期的な展望をもとに実行される人員配置と、販売や物流の現場で日々行われている人員配置に分けられます。とはいえ、どちらも「組織としての目標達成のために、人員を適材適所に配置するマネジメント」であることは共通しています。
リソースを過不足なく配分し、従業員のスキル・適性などが活きる人員配置を実現できれば、事業計画の達成に近づくだけでなく人材育成にもつながります。そのため、企業としては非常に重要な取り組みとなるわけですが、人員配置は今でも「担当者の勘」によって実施されるケースが少なくありません。
例えば、物流の現場は物流量が日々異なるため、人員配置を誤ると現場スタッフの負担増や余計な人的コストの発生につながり、生産性が大きく低下してしまいます。そうしたリスクがある一方で、人員配置の根拠は現場の監督者の経験や勘に頼るケースが多いといわれています。
そこで注目されるのが、データ活用です。物流の現場には蓄積された受発注のデータがありますから、これを活用することで工数の予測が立ち、適切な人員配置が可能となります。つまり、現場の監督者の経験と勘を可視化できるわけです。これはもちろん物流に限らず、あらゆるビジネスシーンに共通する取り組みとなります。
データをもとにした人員配置の3つのポイント
人事データの収集と分析
人員を適材適所に配置するためには、スキルや経験といった人事データを収集・分析する必要があります。
具体的には、事業所や部署ごとの人数と現時点での配置を踏まえて、従業員の情報を確認していきましょう。集める情報は、保有している資格やこれまで携わった業務、在籍年数など様々です。
これらデータの取り扱いはツールやデバイスの進化によって便利になりましたが、依然としてデータの収集は泥臭い作業となります。ただ、社員情報の属人化(リーダーなどの離職によって、チーム・部署の詳細な情報が失われること)を防ぐ意味でも重要な取り組みとなりますので、丁寧に進めていきましょう。
従業員へのヒアリング
人事データ収集の一環として、従業員へのヒアリングも忘れずに実施しましょう。従業員のスキル・適性とポジションがマッチしても、肝心の本人の意志や希望にそぐわない場合があるからです。いくら能力的にマッチしていても、本人にやる気がなければ意味がありません。ヒアリングを通じて、キャリアプランや異動の希望などを確認しておきましょう。
また、長期的な展望で人員配置を進めていく場合、社内公募制度を導入するのもおすすめです。人員配置は基本的に会社主導で推進されますが、社内公募制度は従業員からの立候補となるため、モチベーションが高い状態で配置転換を実現できます。人員配置の成功に欠かせない制度といえるでしょう。
生じているギャップの洗い出し
人事データの収集・整理ができたら、経営目標や事業計画などと照らし合わせていきましょう。そのなかで目標達成のために不足しているポジションや、人員の余剰が生じているプロジェクトといったギャップを洗い出していき、人員配置の根拠とします。
まずは「データから何がわかるのか」を学んでいこう
上の3つのポイントを押さえれば、どの企業でもデータをもとにした人員配置が実現できるかといえば……残念ながらそうではありません。「どのデータが適切な人員配置に結びつくか」をイメージできる人材が少ないからです。
これは決して昨今のビジネスパーソンが不勉強というわけではなく、学校数学で「正解が用意されたデータ」しか扱わないことに原因があります。解法を事前に教えてくれる学校とは異なり、ビジネスでは「どのデータを使えばいいのか」「データをどのように読み解けばいいか」に正解が用意されていません。
ですからデータをもとにした人員配置を推進したいのであれば、正解のない課題とデータの活用に慣れることが最大のポイントとなります。
弊社の「ビジネス数学研修」は、まさにこの「学校数学とビジネス数学の違い」を重要視しており、ビジネスにおけるデータの読み解き方を「現状把握」「不足データのあぶり出し」「ギャップの発見」「次の一手を考える」の4ステップでお伝えしています。
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