チャールズ・スミスの話
Wine Spectatorの最新号にショックなニュースがありました。シニア・エディターのTimFishさんの投稿です。いや、ショックという言葉が正しいのかなぁ・・・・とにかく前向きに頑張ろう!応援しよう!と思うニュースでした。
ワシントンワインのスターCharles Smithチャールズ・スミスのニュースです。下記にその記事を要約します。(私の心の声もたくさん入ってます)
ワインメーカー、チャールズ・スミスは非常に個性的な人物です。彼のキャラクターは今やワシントン州以外でも良く知られています。豪快で熱く語り、ワイルドにカールしたその長髪はロックスターの風格を漂わせています。しかしその見た目に惑わされてはいけません。彼は才能あるワインメーカーであるだけでなく、(*それこそ風貌に惑わされてはダメで、めちゃめちゃ繊細な素晴らしいワインを造る方なのです。)経験豊かなビジネスマンでもあります
チャールズは無一文・・・いや、借金をしてまで始めたワイン造りでいくつかの人気ワイン・レーベルを成功させたのち、2016年には5つのブランドを世界的な飲料大手コンステレーション(*ロバート・モンダヴィの親会社です。)に売却しました。カンフー・ガール、イブ・シャルドネ、ブーン・ブーン・シラー、ベルベット・デヴィル、シャトー・スミスです。その額なんと1億2千万ドル!(*ざっと130億円くらいですね。)
カリフォルニアの普通の家庭で育ったチャールズは18歳の時に家を出てレストランで働きそこで初めてワインについて学び始めました。この時の経験が今のワインメーカー・チャールズスミスの原点だと後に彼はインタヴューで語っています。
その後チャールズはヨーロッパに渡りロックバンドのマネージャーをした後、1999年シアトル郊外でワインショップを経営します。この時にワインメーカーになる夢が出来ます。2001年にワイン作りを始めたチャールズはそい現在60歳になろうとしています。髪はすっかり白髪となりこの10年は体調が崩すことが多かったと言います。(*とにかくパワフルなイメージしかなかったのに。。)
2020年1月アメリカで一番最初に新型コロナウィルスが見つかったのはチャールズが拠点とするシアトルでした。そして彼も感染した一人でした。1か月もの長期間、嗅覚を失いそれが回復しても咳が数か月続きました。2020年10月彼が患っていたのは白血病であったことが判明しました。ですが非常に軽症でしたので十分な治療を受ける事が出来ていました。しかしなぜか咳だけがずっと止まりませんでした。
ついに医師はチャールズの声帯の近くに小さなガン腫瘍がある事を突き止めました。「本当に怖かった。」と彼は語っています。当初チャールズは自分の病について誰にも話していませんでした。ですが「少しでも同じような境遇にある人たちの助けになれば。」と公表する事を決意しました。
「同じような境遇にある人たちも、そうでない人たちでも、何か辛い事や人生が変わってしまう様な状況に置かれた時、私の言葉を通じて強さを見出すことが出来るでしょう。私のいる小さなワインの世界でもそれ以外でも命は尊いのです。」
1月7日は35回目の治療の最終日でした。「地獄の様な日々だった。」しかし彼は完全に回復する見込みです。チャールズは語ります「結果については心配していません。私は常に禅Zenの境地でいます。」娘のシャーロット(9歳)が健康を維持するための大きなモチベーションになっています。「この子が大人になる姿が見たいんだ。」(*私も何度も娘さんのお話を聞きました💛)
現在ワイン造りのほとんどはワインメーカーのブレノン・レイトンに任せています。今チャールズは人にインスピレーションを与える事で自分自身を震え立たせようとしています。「この数か月間、私はずっと暗闇の中にいました。しかし今、皆さんが私の物語からインスピレーションを得て、自分自身の暗闇から立ち直る力を得て欲しいと考えています。」
チャールズは幸運にもシアトルの最先端の素晴らしい医療ケアを受ける事が出来ます。それでも彼は「自分の健康は自分で守る事」と周りに呼びかけます。「ポジティブでいる事。倒れても立ち上がるか、そのまま倒れて落ち込むか、それは全て自分次第なのです。」
この記事を読んで、ちょっと迷ったんです。日本のお客様にも知らせていいのかなー?(でももう既に、世界の読者に発信されてるし・・・)と。そして、それがチャールズの意志なんですよね。
チャールズは本当にカッコいい大人です。周りの人々が彼に魅了され彼についていくのは当然の事だと思います。彼の話にはいつも心を奪われます。とても情熱的に話してくれるので通訳をさせてもらうと私も同じ気持ちになります。この記事を見て本当に衝撃を受けました。ですが公表する事で同じ病と闘う人、病と闘う人だけでなく、どんな人にでも訪れる人生の辛い時期に直面している人々が、自分の話を聞いて前向きになって欲しいと願うチャールズの気持ちにさらに強く心を打たれました。
応援したいと思います!チャールズは絶対に病気に打ち勝つと思います。きっとまた日本にも来てくれると信じています!待っています。
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