リーダーとしての必須条件
この記事はこんな方におすすめです。
マネジメントをされている・興味がある方。
チームや組織に興味のある方。
有能なリーダーやマネージャーを目指している方。
普段こんな状況に出くわしませんか?
めちゃくちゃ仕事が出来るし、野心もあるけど中々出世しない人。
そこまで仕事が出来そうにないけど、どんどん出世する人。
仕事が出来る人の下で働いても、やりがいを感じにくい。
そこまで威厳がない人だけど、仕事がしやすく働きやすい。
頭が切れて、仕事の熟練度が高くても、
必ずしも有能なリーダーやマネージャーになれる訳ではありません。
では、有能なリーダーやマネージャーになるには、
どういった資質が必要なのでしょうか?
それは、
EQ
EQ(Emotional Intelligence Quotient、感情知能指数)は、自己や他者の感情を認識し、理解し、適切に管理・活用する能力を指します。
EQが高い人は、感情を適切にコントロールし、ストレスの多い状況でも冷静に対処することができます。
また、他者の感情に共感し、良好な人間関係を築くことができるため、
個人や組織のパフォーマンス向上に繋がります。
リーダーとしてのEQの重要性
高いEQを持っているリーダーは、チームメンバーの感情にしっかり寄り添い、適切なサポートを提供することができます。
これによって、メンバーは自分の意見を安心して話せる環境が整い、
積極的なコミュニケーションが生まれます。
さらに、EQが高いリーダーは、ストレスや困難な状況にも冷静に対処でき、柔軟に問題解決に取り組むことができます。
このようなリーダーシップは、チーム全体の士気を高め、有能な人材を育てる助けになります。
EQの高いリーダーの影響力
EQの高いリーダーは、組織やチームに大きなポジティブな影響を与えます。具体的な数字を使うと、次のような影響力があります。
業績向上:
EQが高いリーダーのもとでは、チームのパフォーマンスが向上する傾向があります。
EQが高いリーダーを持つチームは、売上成績が平均で 15~20% 向上したというデータがあります。
リーダーの感情的な安定性やコミュニケーション能力が、チームメンバーのパフォーマンスを引き出す要因となるのです。
社員の定着率向上:
EQが高いリーダーは、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めるため、社員の定着率が向上します。
感情知能が高いリーダーのもとでは、社員の定着率が 30% 増加することが報告されています。
リーダーが感情に寄り添い、理解を示すことで、職場での満足度や忠誠心が高まります。
ストレス軽減と健康管理:
EQの高いリーダーは、ストレスを適切に管理するため、従業員の健康やストレス管理にも良い影響を与えます。
研究によれば、EQの高いリーダーがいる職場では、従業員のストレス関連の欠勤率が 20~30% 減少することが分かっています。
これにより、職場全体の生産性が向上します。
コミュニケーションとチームワークの向上:
EQが高いリーダーは、チーム内の円滑なコミュニケーションを促進し、
チームワークを向上させます。
具体的には、EQが高いリーダーのもとでは、チームの協力的な行動が25% 増加し、問題解決能力が向上することが示されています。
EQの特徴と効果はご理解いただけたと思いますが、
EQの高い人はどのような特徴があるのでしょうか?
それは以下で構成されています。
5つの要素
1. 自己認識
定義:
自分の気分、感情、欲動を理解し、これらが他者に与える影響を認識・理解する能力。
特徴:
自信がある。
現実的な自己評価ができる。
自分を笑い飛ばすことのできるユーモアがある。
2. 自己統制
定義:
破壊的な衝動や気分をコントロールする、あるいは方向転換する能力。
行動する前に考えるため、慎重に判断する性向。
特徴:
信頼できる、一貫性がある。
不確実なことに対処できる。
変化に対して柔軟である。
3. モチベーション(動機付け)
定義:
金銭や地位以上の何かを目的にして自己を動機付けられる性向。
持続可能な行動を維持する傾向。
特徴:
強い達成意欲がある。
失敗に直面した時にも楽観的でいられる。
組織にコミットする。
4. 共感
定義:
他者の感情の構造を理解する能力。
他者の感情的な反応を受けて他者に対処する技能。
特徴:
優れた人材を育て、つなぎとめておける。
異文化に対して配慮がある。
顧客へのサービス精神がある。
5. ソーシャルスキル
定義:
人間関係のマネジメントとネットワーク構築に秀でていること。
合意点を見出し、調和を築く能力。
特徴:
変化をリードできる。
説得力がある。
チームを構築し、引っ張っていける。
5つの要素をご紹介しましたが、
EQは先天的な能力なのでしょうか?
EQは学習できるのか?
EQは、生まれつきの能力と人生経験の影響を受けて成長します。
共感する力は一部は遺伝で決まりますが、経験を通じて高めることが可能です。
年齢とともに成熟すると言われるように、EQも自然に向上しますが、
すべての大人が自動的にEQが高くなるわけではありません。
しかし、トレーニング次第で、EQはより高められます。
正しいトレーニング法
EQは、感情や衝動をコントロールする脳の「大脳辺縁系」という部分で学習されます。
この部分を鍛えるには、モチベーションを持ち、長期的な練習と
フィードバックを受けるのが効果的です。
正しいEQトレーニングでは、自分の行動に気づき、それを改善する意欲が必要です。
たとえば、人の話をさえぎる癖がある人なら、話を最後まで聞く練習と他者からの注意を受けることで改善できます。
訓練とフィードバックがEQを高める
EQを高めるには、訓練とフィードバックを組み合わせた継続的な努力が必要です。
たとえば、ある経営幹部は共感力を高めたいと考え、まず異文化の国で休暇を取り、さまざまな状況での自分の反応を観察しました。
その後、コーチとともに職場での行動を見直し、フィードバックをもらいながら改善を続けました。
最終的に、彼のEQは高まり、仕事でも家族との関係でも良い変化が生まれました。
最後に
EQは、
「自分の行動に気づき、それを改善する意欲」
「訓練とフィードバックを組み合わせた継続的な努力」
が必要になりますが、
後天的に高めることが出来ます。
ある研究では、優れた幹部と平均的幹部のリーダー能力を比較してみると、能力の差の90%近くは、知的能力によるものではなくEQによるものでした。
他の研究でも、EQの高さは、優れたリーダーに特徴的であるだけでなく、
並外れた業績の要因にもなっていることが確認されています。
EQを高めるのは簡単な事ではありませんが、
大きなインパクトを生む重要な要素になっていますね。
最後までお読みいただきありがとうございました!
新しい発見や課題解決の糸口になれば幸いです。
参考文献:
"What Makes a Leader?" Daniel Goleman