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2024年中野区立中学校教科書採択に参加した話
中野区立中学校教科用図書選定調査委員会の全4回に区民委員として参加しましたので、その体験を書きます。(ヘッダー画像は、中野区立教育センター分室(野方1-35-3)で 2024/6/15 撮影)
この委員会に区民委員として(抽選に当たって)参加するのは、2020年に引き続いて2回目です。前回の様子も note にまとめてあります。
はじめに
2024(令和6)年夏、中野区立中学校教科書採択(中野区立中学校に2025年4月~2029年3月の間で通う生徒たちが使用することになる教科書を選ぶこと)の一連の作業が行われました。
教科書採択までの時系列を下の表にまとめ、会議録や配布資料等の詳細な公開情報へのリンクも表に貼りました。必要な方はそれらのリンク先をご参照ください。
本稿では、表に記されたできごとのうちで、上掲の2020年の記事から変化があった内容について紹介します。(↓に表が表示されないことがあるようです。その場合はページをリロードしてください。)
教科書選定調査委員会の様子
6/19 教科書選定調査委員会第2回会合 - 議事進行に係る動議
この日は、2020/6/24の同委員会第2回会合と同じく、委員たちの自己紹介のあと、教委事務局職員から「『教科用図書選定調査報告』の作成は正副委員長に一任ということでよろしいですか?」という発言がありました(会議要旨)。
2020年の note 記事から引用します。
え、一任しちゃうの?だったら何のために調査委があるのか、と驚きのあまり声を出せないでいるうちに「異議なし」とされてしまいました。
この結果、実際の調査委における委員の発言に関しては考慮するもしないも委員長の独断(裁量とも言う)となってしまい、(法律で設置が義務付けられている)調査委の議論は(会議要旨が記録として残るものの)たんなる雑談に過ぎなくなってしまったというわけでした。
この日は、わたしは意見を言うのも馬鹿馬鹿しい感じがしましたが、教科書の見本は全教科とも既に熟読してしまったこともあり、いろいろと文句や感想を言わせてもらって自己満足しました。
ところが、今回は様子が異なり、ここで、議事進行に関する動議が出ました。
[動議]
(教科用図書選定調査報告について)正副委員長に一任する。ただし、記載を議決した事項を除く。
[提案理由]
教科用図書選定調査報告は、委員会全員の成果物です。委員長が必ず含めなければならない事項について採決をとる形で議事を進行しませんか。それ以外の事項は委員長に一任ということになろうかと思います。
具体的には、委員からたとえば「特記すべき事項に "この教科書を推薦しない" を記載する」という動議が出たら、全員の意見が出つくした段階で採決を取るようにできるかと思います。なお、選定調査委員会が動議を審議して議決できる根拠は、中野区立学校教科用図書の採択に関する規則第4条7項です。
動議に対する賛成意見としては、「報告書を書く立場になってみると、ネガティブな意見は書きにくいことがある。議決による後押しがあったほうがよい」というのと、「2005年より前は、中野区は教科書選定調査委員会の段階で採択候補を数者に絞っていたはずで、いまでもそうしている自治体が多い」というような意見が出ました。反対意見はとくに出ませんでした。
この動議は「異議なし」で可決されました。
6/25 第3回会合 -「令和書籍を推薦しない」という動議
この日は、歴史の教科書が議題になりました(会議要旨)。いまや、ほぼ全社の教科書について、旧日本軍の加害行為に関する記述が不十分になってしまったものの、自由社と育鵬社そして令和書籍のように神話と歴史とをごちゃまぜに教える教科書だけは、絶対に採択を阻止しないといけません。
動議が出ました。
[動議]
『教科用図書選定調査報告』において、令和書籍に関する「特記すべき事項」の欄に、"この教科書を推薦しない" と記載する。
この動議は、残念ながら賛成(挙手)が4名しかおらず、否決となりました。しかし、こういう動議が出せたということ自体が、次回以降の中野区立学校教科書採択の手続きに一石を投じたのではないかと思います。
結論
2020年の note 記事の結論から引用します。
教科書採択のプロセス自体は、民主主義の原理に基づき広く意見を集約するように、まるで寄木細工のように作られています。しかし、そのプロセスはとても脆弱で、簡単に壊れる、あるいは、中野区ではすでに壊れていると感じました。
それは、プロセスのいろいろな部分で、本来やるべきでない「一任」がなされており、一任された人が成果物を自由に作れてしまうということが起こっているからです。下々は意見を言うことはできるが、一任された者が上の者に届けているとは限らず、仮に届いたとしても上の者は省みることがない。…[中略]…
つまり、最終的には教育委員の独断で教科書採択がなされているということが、今回、調査委の区民委員を体験して分かりました。とても残念です。
今回の結論も、前回と同じ「最終的には教育委員の独断で教科書採択がなされていることが分かった」です。
ただ、今回、教育委員会の定例会で教科書採択を議決する際の、教育委員による意見表明では発行者にA者、B者、C者のように仮名を用いるというのはすばらしいアイディアだったと思います。なぜなら、2020年の教科書採択では、大挙してやって来た中野区議会自民党区議団の前で、渡邉仁教育委員が「育鵬社を重点的に見た(他のは見てないよ)」と言い訳していましたが、この手の傍聴人向けスタンドプレーを封じることができたからです。
2020/8/7東京都中野区教育委員会の2021年度からの区立中学校教科書採択、傍聴して印象深かったのは、会派9人のうち会派代表除く8人が連れ立って傍聴にきた中野区議会自民党区議団の熱心さと、教育委員会委員の1人(医師)がその前で行った「自分が育鵬社の歴史教科書を推薦しなかった理由」の開陳でした
— 中野非公式通信 🕊🌈 (@nakanocitizens) August 8, 2020
2024/10/19 by @orangkucing
[この件に関するお問い合わせなどは、一番下に書いたメールアドレス(平和の森公園発泡スチロール訴訟用)か、Twitter (現X) @orangkucing へどうぞ]
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