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春キャベツひと玉一気に使い切り
まずは、春キャベツにお礼を伝えよう。
ありがとう。
家族が新聞で見た「キャベツと豚肉の煮物」が食べたいという。味つけは味噌でも醤油でもなんでもいいらしい。
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豚肉を入れて加熱します。
白菜と豚肉を煮る料理はよく作るけど、なるほどキャベツと豚肉の組み合わせは思い出せないくらい。
キャベツはトマト系、お好み焼き系、サラダ系に縁がある。
大昔、キャベツの芯は硬いから使わずに捨てていた。
もったいない精神などこれっぽっちも持ち合わせていなかった若かりし頃に戻り、豆腐の角で頭をぶつけて反省したい。
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今やキャベツのみならず、すべての野菜が高いから手が出そうで出なくて躊躇する。漢字が難しくて使っていいのか躊躇する間もなく無事に変換してくれた。「逡巡する」よりも「ためらう」よりも「躊躇」がしっくりくるのはなぜだろう。画数が多いから賢く思われるかもしれないと期待をしつつ、指は動く。
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産直市で手頃な春キャベツに出会った。中くらいサイズで1玉250円。本気か。
前後左右を確認してカゴにそっと入れた。北里柴三郎様がうれしそうに財布から旅立った。
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少食で特に夕食をあまり食べない家族が「もう少し食べたい」と要求したので、あまりの驚きに「これくらいでよいですか?」とうろたえて丁寧な口調になった。うれしいね。
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もう一品はレシピ本よりサラダを作ります。キャベツを切って和えるだけ。塩をして水分を絞る工程がないから神ですぞ。
先日完成したレモン麹を使ってみたいので、コールスローは最強かもしれない。
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ただ、作りやすい量としてキャベツ300gと書かれていた。さすがに我が家では量が多いと思ったけど、キャベツを計量すると残り317g。これは作れということだ。全部ザクザクザクと切ったまな板をみて、やっぱり多過ぎるけど春キャベツの柔らかさが助けてくれるはずだと、春キャベツ並みの軽さで考えた。
さわやか過ぎて呆気に取られるコールスロー。もうひと味欲しい気がしなくもないけど、これくらいで大量に余った分は翌日以降の献立へ展開させよう。
キャベツを一気に使い切ったのは人生初だと思う。
どうってことないひとコマが琴線に触れて記憶に残るのだろう。