13【くらしヒアリング発表会_08】 プラントベースドフード、リアルに食べてる人って、どんな人!? (後編)
前編では、プラントベースドフードをリアルに食べている人の実際の料理写真から、まだまだ「毎日のおかず」に活用されるまでは暮らしに浸透しきっていないことや、リアルユーザーの多くが「たんぱく質」をとりたいと感じているということがわかりました。
後編では、その「たんぱく質」に注目し、「リアルに食べてる人像」をさらに浮き彫りにしていきます。また、生活者のニーズと企業側のアピールポイントのギャップにも触れつつ、「食べたい人が増えるかも!?」のヒントを探っていきます。
プラントベースドフード、
リアルに食べてる人にインタビュー
実際に食べている人は、何をきっかけに食べるようになったのか。また、「たんぱく質をとりたい」と思うようになったのはなぜなのか。具体的なお話を聞くためインタビューを実施。すると、たんぱく質需要だけではない、さまざまな実態が見えてきました。
体にいいものは何でも試したい!
「食で健康になりたい」意識が強いAさん
ふだんから塩分控えめを心がけ、間食もブロッコリーというAさん。それでも健康診断の結果が思うように出なかったり、なかなかやせられないことにもお悩みのよう。そんななかで出会ったプラントベースドフードに期待することとは……?
・ストックできるたんぱく源として、大豆ミートを利用。
体への負担が少ないのも◎
肉も魚も食べるが、たんぱく質をとる選択肢のひとつとして大豆ミートを食べているというAさん。昼が肉なら夜は魚、夜に魚でこってりした料理を作る日は、昼に大豆ミートをチョイスするなど、たんぱく質を意識しつつバランスよくチョイスされています。
大豆ミートはストックしやすくて便利なところと、食べても翌日に胃が重くならないところが気に入っていると言います。
・イベントでもらったのが最初。おいしければリピートする
大豆ミートを食べ始めたのは、イベントでもらったことがきっかけ。ミンチタイプのレトルトと乾燥をもらって両方食べたが、レトルトは独特のにおいが気になって続かなかったそう。いっぽう乾燥タイプはにおいも気にならず、続けて食べているといいます。麻婆豆腐や餃子はご家族にも好評なのだとか。やはり実際に食べて「おいしい」と感じてもらうことが大切なのだとわかります。
・たんぱく質は3年前から意識。爪と髪がきっかけ
爪が割れやすくなり、白髪も気になり始めた3年前から、意識してたんぱく質をとるようになったとか。今では爪が強くなった実感もあると言います。また大豆ミートにはイソフラボンの健康高価も期待しているそうです。
筋力・体力キープのためにたんぱく質をとりたいBさん
子供も食べやすい調理済みタイプをチョイス
接客業で立ち仕事のため、体力キープのため栄養をしっかりとりたいというBさん。30代になって筋力が落ちたと感じ、筋肉のためにたんぱく質を積極的にとっているそう。調理済みの大豆ミート商品をよく食べているそうですが、食べ始めたきっかけは、じつは偶然だったとか……。
・2人めの出産を機に筋力の低下を実感し、たんぱく質をとるように
もともと筋トレマニアだったBさんですが、30代に入り、2人めのお子さんを出産された後から筋力低下を感じたとのこと。筋トレをしつつ、たんぱく質をとれる大豆製品と、栄養バランスをとるために野菜もしっかり食べる習慣がついたそうです。
・友人にすすめられた市販のタコスミート。
食べたらじつは大豆ミートだった!
大豆ミートはあまり食べていなかったBさんですが、友人からすすめられた市販のタコスミートを食べたらおいしくて、じつはそれが大豆ミートだったと後から気づいたのだとか。お子さんが好きで食べてくれることもあり、常備するようになったそうです。ふだんから脂を控えていることもあり、肉よりも脂質が少ないところもいいとおっしゃいます。
・おいしく料理できる自信がないので、使うのは調理済みの商品だけ
お気に入りのタコスミート以外にも、2週に一回程度は大豆ミートを食べているそう。肉、魚と同じ感覚で食べているとのことですが、使うのはチルドのから揚げ風など、もっぱら調理済みのもの。プレーンなものは調理に手間がかかるイメージで、おいしく料理できる自信がないため手が出せないと言います。調理の手間を減らしたり、手軽でおいしく作れるレシピを増やすことも、今後の課題になりそうです。
プラントベースドフード、リアルに食べているのは、こんな人!
これまでの調査結果やインタビューから、「リアルに食べている人像」が見えてきました。特徴として
・たんぱく質をとりたい! という気持ちが強い
・健康意識が高い
・肉も魚もプラントベースドフードも、バランスよく食べる
・おいしければリピートする
・調理の手間は感じている
といったことが挙げられますが、何よりもいちばん強いのは、やはり「たんぱく質をとりたい」という意識で、この気持ちにいかにアピールできるかが、今後食べる人を増やすためのポイントといえそうです。
生活者のニーズと企業のアピールポイントにギャップあり!?
今回、プラントベースドフードを扱う企業16社にもアンケートを実施しました。商品のアピールポイントやターゲットについて聞いたところ、
たんぱく質がとれることをいちばんのアピールポイントにしている企業は、わずか1社のみ、ターゲットとして「たんぱく質をとりたい人」を挙げた企業はゼロという結果に。
たんぱく質をとりたいという生活者のニーズと企業のアピールポイントの間に、ギャップがあることが浮き彫りになりました。
現代の日本人は、たんぱく質が足りていない!
今回の調査で、「たんぱく質をとりたい!」というニーズが非常に高く、積極的にとっている人が多いことがわかりました。
ですが、実際には現代の日本人はたんぱく質が不足していると言います。
「世界をもっと楽しく健康に」を理念に、採尿によるたんぱく質充足検査キット「フレミーチェック」などを開発している(株)ヘルスケアシステムズの奥田沙恵子氏によると、日本人の約7割がたんぱく質の摂取目標量を達成できていないそう。
また、たんぱく質は動物性と植物性をバランスよくとることが大事ですが、1985年を境に動物性たんぱく質の摂取量のほうが増えているとのことで、現代の日本人は、植物性たんぱく質を意識的にとるのが理想とおっしゃいます。
植物性たんぱく質がとれるプラントベースドフードは、今まさに求められている食材といえそうです。
【まとめ】プラントベースドフード、「食べたい人」を増やすには…
「たんぱく質をとりたい」というニーズと、「たんぱく質が不足している」という事実。また、まだまだ「毎日のメインのおかず」としては活用されていないという現状、さらに、朝食やおやつで習慣的に食べられる商品は喫食頻度が高いというリアル。これらのことから、今後、食べたい人を増やすには、以下の3つがポイントになりそうです。
・特に不足しがちな「植物性たんぱく質がとれる」を、もっとアピール
・毎日の食事に「もう一品」に使える商品は需要あり!
・朝食などに手軽に無理なくとれて、習慣化してもらえる商品を。
まずは「自分の体にいいこと」から手にとってもらい、食べる人が増えれば、結果的に環境への配慮につながります。「使い方、食べ方がわからない」という人に向けて、オレンジページも「作りやすく、おいしいレシピ」を提供するなど、少しずつでも「食べたい人が増える」お手伝いをしていきたいと思います!
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文)オレンジページくらしデザイン部