なぜ、末端の仕事が一番厳しくて、つらいのか
今回は厳しめの話。
西暦2000年くらいの話だろうか。今から24年前。銀行の窓口の仕事があって、そこがどんどん非正規社員に切り替えられていった時代があった。
本来は、銀行の窓口は、顧客と会社のインターフェースであるから、もっとも優秀な人を配置しなければいけないはずなのに、なぜか非正規。パートのような形態も許容されていき、人員削減の目玉のような形になった。当時はデフレ経済がとみに問題になっていたころで、原価削減が喫緊の課題だった。銀行の窓口業務は銀行でも最も人数をかけていたので、そこを人件費の安い人で埋めるというのは好手だったし、かつ就職氷河期で安くて若い、そして優秀な人材が山のようにいた。高学歴でも正社員になれない人などはどんどんそういう求人に吸収されていった。
今は、若い人材の人数自体が減って来たのでそんなことはしてられないのだが、会社の運営の仕方として、フロント業務は言い方は悪いが、切り捨てても構わない人材に担ってもらうことについては、半ば常識化していると思う。
なぜかと言うと、「問題を起こす」可能性があるのは、フロント業務だからだ。ITの開発業務で言えば、プログラマーやテスターと言った最も下流の業務だ。何か問題が起こった時に原因分析をして、このプログラムが問題でした。このテストの結果が問題でした。実際に手を動かせば動かすほど、問題の原因は引きやすい。
私のキャリアでも若い時は、おかげで、たくさんの手を動かした。若い時は思ったものだ。「こんなに重い責任の仕事を私がやることって本当にいいの?」と。そして、結構な人が責任を取らされて、業務を終了させられた。長い間現場に残り続けるのは結構大変で、重くて辛い仕事を全て完璧にこなさねばならない。しかも、数をこなせばこなすほど危ない。確率の問題だからだ。成功確率を上げるために、そして失敗確率を下げるためにはあまり打席に立たなければいい。たくさん仕事をするほど、未熟な人は穴に落ちていく。
ここから先は
サポートをお願いいたします。頂いたサポートは、よりよい記事の作成のために積極的に利用します。