もさ

主に読書記録と日記。 大企業勤務・国立大(理系)卒アラサー 分からないことばかりという…

もさ

主に読書記録と日記。 大企業勤務・国立大(理系)卒アラサー 分からないことばかりという気持ち。

記事一覧

【読書感想文】偶然性・アイロニー・連帯

彼は私的空間と公的空間(クラブとバザール)を個人の中に内在させてもいいとしたが、今起こっているのは、各地での残酷さの表明である。その都度、公的空間での言語運用ル…

もさ
1か月前

読書感想文 なぜ働いていると本が読めなくなるのか 

読書文化が成立してきた明治期から、自己啓発を目的とした読書の文脈はあれど、摂取から咀嚼、アクションまでの時間をどんどん短くしてきたというのがざっくりとした歴史で…

もさ
2か月前
9

会社員の哲学 柿内正午著 を読んだ感想とその周辺。

会社員の哲学 一章 会社員にすぎない一個人における自己実現とは結局会社にとって都合のいい規格化にすぎないと暴く。 会社の給料は成果に対するものではなく、労働力に対…

もさ
4か月前
3

読書感想文 SHIBUYA! ハーバード大学院生が10年後の渋谷を考える

全編を通じて、多様性を包摂しようとする話。消費者としての人々や電車の乗り換えの人、海外旅行者くらいがターゲットされた街づくりがなされており、本来渋谷にあったスト…

もさ
5か月前
6

【読書感想文】実験の民主主義

諸課題を解決するうえでも、市民の声を聴くのが大事だという思いがある。民主主義というか、市民の活動が個人的に重要だと思っているが、それが”いい”のかは立ち止まって…

もさ
5か月前
2

何のスマート化か。-読書感想文「スマート・イナフ・シティ」

スマートシティという言葉自体、現在バズワードになって久しく、 政府がデジタル田園都市構想によって、都市のスマート化を後押ししている。 よく引き合いに出されるトロ…

もさ
8か月前
2

いいのかもしれない。-2024/1/27の日記-

前日、ホームパーティにて4人でワインを4本開ける。10時ごろ起床。重たい腰を上げ、ジムへ。行ってしまえば勝ち。だし、なんとなく前日に酒をたらふく飲んだとしても、次…

もさ
8か月前
1

【読書感想文】差別はいけないとみんないうけれど

基本的にはロールズの正議論に則り、「正体が無知のヴェールに包まれた状態」におけるものに立脚していたいものの、生得的な違いなどにより、平等ではない事実(女性のほう…

もさ
10か月前
3

15年ぶりの従兄弟との再会

昨日、父方の従兄弟に会い、ごはんを食べた。実に、15年ぶりとかくらいだった。小さい頃はよく会っていて、兄弟のような関係性だと思っていた記憶がある。従兄弟と会える…

もさ
11か月前

9月前半の日記 -言語化能力の低さによる悩みばっかりな日々-

某日 英語の勉強を兼ねて、NHK world Japanを定期的に読んでいる。 昨今だと、トピックが非常に多く断片的な情報ばかりを拾っているように感じる。 背景や歴史をあまりにも…

もさ
11か月前

【読書感想文】陰翳礼讃

要は、近代化が進む日本において、昔の方が良かったみたいな話で、昨今だと、「老害」みたいに揶揄されかねない。が、その老害っぷりの緻密な文章が彼の表現力の高さを表し…

もさ
1年前
12

8月の日記

某日 参加しているボランティアにて、BBQ企画を実施。基本的にみんな楽しんでくれていたと思うが、役割を与えてあげることをもっと自覚的にやってあげたいと思った。ボラン…

もさ
1年前
1

7月の日記

某日 明らかに発言不要の会議にウォーキングしながら、参加。こういう打ち合わせを見つけて、定期的に運動のタイミングを確保したい。というか、そもそも発言もしなくてい…

もさ
1年前

3月の日記

某日 全社共通のE-learningや期首の福利厚生系の申請など、簡単な雑務はよっぽどじゃない限り、目についたら対応するようにしている。忘れてしまうため。 確実にやることと…

もさ
1年前
1

VUCAの時代に求められるスキルとは

VUCAの時代に求められるスキルとはなんだろうか。 とある。 そういうのは今までも求められていたようにも思う。 モダニズム的、フォーディズムのような時代からの脱却とい…

もさ
1年前
2

映画「ハッピーアワー」

重心の探り合い。人を頼ること、だれかとの間にある正中線に身を置くこと。それが幸福の時間である。というのが映画「ハッピーアワー」のそのタイトルの意味と言える。くだ…

もさ
1年前
1
【読書感想文】偶然性・アイロニー・連帯

【読書感想文】偶然性・アイロニー・連帯

彼は私的空間と公的空間(クラブとバザール)を個人の中に内在させてもいいとしたが、今起こっているのは、各地での残酷さの表明である。その都度、公的空間での言語運用ルールが見直される。また、インターネット上の発言はもちろん、道端での言動・会話も動画に撮られたり晒されることもある。どこもかしこも公的空間への接続を余儀なくされる。となると、多様であること、つまり私的空間を持つことが難しいというか維持するモチ

もっとみる
読書感想文 なぜ働いていると本が読めなくなるのか 

読書感想文 なぜ働いていると本が読めなくなるのか 

読書文化が成立してきた明治期から、自己啓発を目的とした読書の文脈はあれど、摂取から咀嚼、アクションまでの時間をどんどん短くしてきたというのがざっくりとした歴史で、インターネットやネオリベ(市場原理に全て任せる)的な背景も合わさり、行動のみが語られる形に昇華したのが現代といえそうだ。情報とはその瞬間瞬間に必要なものであり、思考したり内面化することで行動するこれまでとは異なり、ぶっ飛ばしてただただ行動

もっとみる
会社員の哲学 柿内正午著 を読んだ感想とその周辺。

会社員の哲学 柿内正午著 を読んだ感想とその周辺。

会社員の哲学
一章
会社員にすぎない一個人における自己実現とは結局会社にとって都合のいい規格化にすぎないと暴く。
会社の給料は成果に対するものではなく、労働力に対するものではないかと。
確かに賃金は労働サービスの需給バランスで決まる価格である。(業種によって賃金が異なるのは、この労働サービスの需給バランスが異なる(=別のグラフ)からだと理解できる。)

フォーディズムから新自由主義への移行するのと

もっとみる
読書感想文 SHIBUYA! ハーバード大学院生が10年後の渋谷を考える

読書感想文 SHIBUYA! ハーバード大学院生が10年後の渋谷を考える

全編を通じて、多様性を包摂しようとする話。消費者としての人々や電車の乗り換えの人、海外旅行者くらいがターゲットされた街づくりがなされており、本来渋谷にあったストリートカルチャーが廃れていくことが危惧されている。(渋谷のカルチャーの発信地としての機能がインターネットやそれこそメタバースに展開されてきて、求心力がなくなってきたという話もある)
元々の渋谷系音楽なども東急西武の巨大資本の足元で発生したと

もっとみる

【読書感想文】実験の民主主義

諸課題を解決するうえでも、市民の声を聴くのが大事だという思いがある。民主主義というか、市民の活動が個人的に重要だと思っているが、それが”いい”のかは立ち止まって考えるべきだと思っていた。つまり、自分たちにとっていいことが全体としていいのかは分からない。その意味で、宇野の本を手に取った。理論的にそれでいいのかを政治学者の目線でも語っていないかと。
一言でいえば、それについては、複雑化された現在におい

もっとみる
何のスマート化か。-読書感想文「スマート・イナフ・シティ」

何のスマート化か。-読書感想文「スマート・イナフ・シティ」

スマートシティという言葉自体、現在バズワードになって久しく、
政府がデジタル田園都市構想によって、都市のスマート化を後押ししている。

よく引き合いに出されるトロントにおけるスマートシティの失敗について、
政治的なプロセスが全く行われずに、提携企業が選定されたことが原因として挙げられている。*1
こういうことが起きないように市民と合意形成をしながら、スマートシティ化を推し進める必要がある。

*1

もっとみる
いいのかもしれない。-2024/1/27の日記-

いいのかもしれない。-2024/1/27の日記-

前日、ホームパーティにて4人でワインを4本開ける。10時ごろ起床。重たい腰を上げ、ジムへ。行ってしまえば勝ち。だし、なんとなく前日に酒をたらふく飲んだとしても、次の日、健康的にジムに行けるおれかっこいいとどこか誇らしくなる。とはいっても、朝はゆっくりだったため、ジムが終わって帰るころには2時まえくらいに。軽く買い物に、千駄ヶ谷へ。初めて訪れた街だったが、いい感じだった。その街の象徴っぽいお茶屋さん

もっとみる
【読書感想文】差別はいけないとみんないうけれど

【読書感想文】差別はいけないとみんないうけれど

基本的にはロールズの正議論に則り、「正体が無知のヴェールに包まれた状態」におけるものに立脚していたいものの、生得的な違いなどにより、平等ではない事実(女性のほうが感情的だったりすることを裏付けるデータだったり、人種によってIQ平均値の統計的な差異が認められていることなど)により、それが上っ面な正義でしかないことが明らかになってきた。また、女性の平等を求めたとしても、それに見合う効能とコストがあるの

もっとみる
15年ぶりの従兄弟との再会

15年ぶりの従兄弟との再会

昨日、父方の従兄弟に会い、ごはんを食べた。実に、15年ぶりとかくらいだった。小さい頃はよく会っていて、兄弟のような関係性だと思っていた記憶がある。従兄弟と会えるというのは、妙にイベント感が高くて、当時、父方の家に遊びに行ったときは、母親はすぐ帰っても、残って数日家に入り浸っていたような気がする。

親の離婚で母側に引き取られた自分は、父方との関係が崩れてしまい、そこから15年くらいは会えていなかっ

もっとみる
9月前半の日記 -言語化能力の低さによる悩みばっかりな日々-

9月前半の日記 -言語化能力の低さによる悩みばっかりな日々-

某日
英語の勉強を兼ねて、NHK world Japanを定期的に読んでいる。
昨今だと、トピックが非常に多く断片的な情報ばかりを拾っているように感じる。
背景や歴史をあまりにも知らなすぎることにどう向き合うのか。
一日あたりニュースに向き合う時間は限られているため、その10分そこそこで何かがわかるわけでもない。
複数日にわたり、同じトピックについて考え続ける必要があるが、新たなことが次々と流れて

もっとみる
【読書感想文】陰翳礼讃

【読書感想文】陰翳礼讃

要は、近代化が進む日本において、昔の方が良かったみたいな話で、昨今だと、「老害」みたいに揶揄されかねない。が、その老害っぷりの緻密な文章が彼の表現力の高さを表している。

西洋のライトが日本家屋にもどんどん導入され出して、夜ですら部屋の暗がりは無くなった時代を谷崎は生きていた。そこから更に近代化/西洋化が進んだ現代において、我々は確かに夜でも日中と同じように仕事したり、家事したりできている。我々は

もっとみる
8月の日記

8月の日記

某日
参加しているボランティアにて、BBQ企画を実施。基本的にみんな楽しんでくれていたと思うが、役割を与えてあげることをもっと自覚的にやってあげたいと思った。ボランティア側が率先して、BBQを進行する(例えば火をつける、肉を焼く、野菜を切るなど)も大事なことではあるが、みんなで作り上げることのほうが重要。役割があることによってそこがその人の居場所になるように思う。飲み会などで若手に酒を注がせたり、

もっとみる
7月の日記

7月の日記

某日
明らかに発言不要の会議にウォーキングしながら、参加。こういう打ち合わせを見つけて、定期的に運動のタイミングを確保したい。というか、そもそも発言もしなくていいような会議には参加しない強い気持ちを持ちたい。

某日
業務において、いろんなデータ・数字を集めて、経営層に発信している。いろんな数字を見ていると、いろんなことが見えてくる。以前に上司が言っていたが、データはもしかしたら役に立たない、嘘を

もっとみる
3月の日記

3月の日記

某日
全社共通のE-learningや期首の福利厚生系の申請など、簡単な雑務はよっぽどじゃない限り、目についたら対応するようにしている。忘れてしまうため。
確実にやることと早くやれることの2重の意味を持つ。早いだけで回りからも評価を得ることができる。
今日も早いですね、とコメントを同僚にもらった。単純にメモリ上残しておくのがだるいだけだし、
そもそもそんなに忙しくないし、一定の時間集中しないといけ

もっとみる
VUCAの時代に求められるスキルとは

VUCAの時代に求められるスキルとは

VUCAの時代に求められるスキルとはなんだろうか。

とある。
そういうのは今までも求められていたようにも思う。
モダニズム的、フォーディズムのような時代からの脱却というのはもう何十年も前から語られ、構造主義的な背景をもとに作り上げられたポストモダンという概念がある。
さらにポストモダンへの批判として、多元主義がある。
多元主義的な状態(いきすぎた相対化が言葉をなくさせる、批判を一切できなくさせる

もっとみる
映画「ハッピーアワー」

映画「ハッピーアワー」

重心の探り合い。人を頼ること、だれかとの間にある正中線に身を置くこと。それが幸福の時間である。というのが映画「ハッピーアワー」のそのタイトルの意味と言える。くだらない飲み会、夫婦生活のような、自分の行動が相手を慮ったり想像したりして発生する時間。自分の行う行動の動機が主体性の内にはなく、その関係性の間、間主観的に存在している状態。そういう状態を幸せというのではないかと提示する。
自立しすぎていた公

もっとみる