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交感神経と副交感神経の二元論だと説明がつかないこと|2「心療内科医が教える本当の休み方」著:鈴木祐介 

本当の休み方を知るには、自律神経についてそれなりに理解しておく必要がある。自律神経は大きく2つに分けることができる。多分誰もが一度は聞いたことがある、「交感神経」と「副交感神経」だ。前者が、危機に陥ったりストレスを感じた時に活性化し、気持ちを"バトルモード" にさせるもの。後者が、本を読んだりリラックスしている時に活性化し、 "休息" モードにさせるもの。

この2つの神経が適度に切り替わる状態がいいらしい。ずっとストレスを感じていて、気持ちがずっと "バトルモード" から抜け出せなくなっているのは悪い状態。逆に、ストレスが全くない "アンダーストレス" な環境にずっといると、それもそれで活力が沸いてこなくて電池が切れる。適度にストレスがある環境が、精神的にいい環境であると言える。

と、そんな風に交感神経優位な状態と副交感神経優位な状態の二元論で語られることをよく見かけるけど、その2つとは異なる全く別の心のステータスがあるらしい。それが「フリーズモード」だ。

これは、バトルモードと同様に、ストレスを感じた時に現れる心の状態である。名前の通り、固まってしまう。血圧が上がったり、攻撃したくなる衝動に駆られたり、一目散に逃げたくなったりするバトルモードを炎の状態とすると、フリーズモードはその真反対の氷の状態だ。例えば、怖い上司に報告するときに、口や頭が上手く回らず凍り付いてしまう。例えば、明らかに無感情・無気力になっているのに、「生ける屍」のように服従的に働き続けている。「ダウナー系ストレス反応」とも言うべきと、著者はそのように記している。

そんな3つ目の反応も、精神的な意味で悪い反応ではない。勝てない相手と対面して死んだふりをしたり、無感情になって辛い出来事から目を背けたりすることが、場面によっては有効に働く。問題は、身に余る大きなストレスを受けたり、持続的なストレスを受ける等によって、そのバトルモードやフリーズモードが過剰に持続してしまうことだと言う。それらの状態から、副交感神経が優勢になる状態に心身を導くことが、本当の意味で回復につながる「休み方」になってくる。

バトルモードから抜け出すためには、深呼吸したりアロマを焚いたり、よく聞く心身がリラックスするような方法を実践することが有効である。でも、フリーズモードはその逆で、早めの呼吸をしたり、エキサイトするゲームや音楽を聴いたり、運動をしたり等の、逆に交感神経を活性化させるような方法が有効である。


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