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腰が痛くても腰が悪いとは限らない

はじめまして。久保田といいます。これからたまに書いていきます。


年の初め、ヨガを始めたいと漠然と思っていました。ただ1つだけ問題が。とにかく身体が硬いのです。まずはスタートラインに立つために何かできないものか。というわけでストレッチに通い始めました。トレーナーをつけて週に1回ストレッチをされる。毎度冷たい視線の下で柔軟性を計測されるので、お風呂上りにも頑張ってしまう。そんな強引な仕組みです。


初めて訪れたときのこと。簡単なヒアリングと身体の癖を見ていくことから始まります。他愛もない会話を2~3経て、僕は自分が腰痛持ちであることを伝えました。昔患った椎間板ヘルニアが今も悪さをして、臀部の筋肉が強張っており、それが身体の硬さにも繋がっているのではないかという分析です。自分の身体をわかった風に眉毛を上げて伝えました。


「わかりました。一度身体を見ていきましょう。」

身体を順番に確認していくトレーナー、ふと手を止めて質問をされます。


「クボタさん、もしかして足首悪いですか?」
「・・・?はい、昔、剥離骨折をして以来、足首が緩くなっている気はします。痛みとかはないですが。」
「なるほど。左足首の外側の腱が全く機能しておらず、関節もハマっていない。足首から先がぶら下がっているだけみたいになっていますね。人間は母指球(親指の下の盛り上がっている部分)で踏ん張るんですが、左足はまったく踏ん張りが効いていないです。それをカバーしようとして左膝が捻じれている。左膝の捻じれが左の腰に上がってきていますね。同時に左足の踏ん張りが効いていないので、右足で踏ん張ろうとする癖がついてしまっています。これによって右足の外側が全体に張っている。これが腰の右側まで引っ張って腰痛に繋がっていますね。」
「・・・」


これは面白い。
僕の腰痛の原因は腰ではなく、左足首にあったのです。

これまで鍼や灸、整体からマッサージ、ひいてはアーユルベーダまで、あらゆる腰痛のケアに通ってきました。妻と最もデートを重ねている場所はマッサージです。当然その場は気持ち良いのですが数日経つと元通りに。これは一生付き合っていくものだと思っていました。


よく考えれば当然のことです。マッサージや整体はその場のリラクゼーション効果で、気持ちいいからまた来ようと思ってもらうことがゴール。根本から治したらビジネスが成り立たなくなってしまうのです。(全てのお店がそうだとは思いませんし、そもそもマッサージに治すを求めること自体がお門違いです。)


そのトレーナーはサッカーのフィジカルトレーナーを育成する学校に通っていた方でした。フィジカルトレーナーからすると、怪我や不調を根本から改善し選手が試合で活躍することがゴールです。問題に対する視点が違うのです。当然打ち手が変わってくる。臀部の張りが問題だと思っていた僕にとって衝撃的な体験でした。


本当の問題というのは案外自分だと気付けません。僕はオプトという会社で企業のブランド戦略やマーケティング戦略を考える仕事をしています。ところがどうでしょう、自分の身体のことすら近視眼的で、短期的で、場当たり的な問題の把握しか出来ていませんでした。多くの企業にもそういった側面があるのかもしれません。どこかに腫瘍があったり、病気があったりしても自覚症状を持てず、自分はちょっと風邪かもしれないと思っているのです。


帰り道、母指球で地面を踏みしめることを意識しながらクリエイティブなトレーナーに学んだことを消化しました。僕の仕事の核は市場調査をすることでも、戦略のまとまったレポートをつくることでもなく「ものの見方」にあると思っています。ものの見方がしっかりすれば自然と出来ることは増えてくる。パソコンは閉じて、ブランドとかマーケティングの細かいことは一度忘れてしまった方が良さそうだなと。


あと世の中が正常に戻ったら早くマッサージに行きたいです。世の中が正常だったことなんて一度も無かったと思いますが。

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