メリットではなくベネフィットで語れますか
株式会社オープンストリームホールディングス テックブログ「OpeN.lab」運営チームのhonda.ちゃんです。今回は、以前に株式会社オープンストリームより発信させていただいた記事を再掲載いたします。
前回の記事で、アイデアを思いついたら “「顧客は誰か」「ベネフィットは何か」をしっかり考え抜きましょう ” と言いました。
似た言葉に「メリット」という言葉がありますが、今回は、メリットと
ベネフィットについて、話していきたいと思います。
「メリット」と「ベネフィット」の違い
私たちは、新規事業・新サービスの企画をお手伝いするとき、
最初にその会社の既存の製品・サービス、組織・役割、文化などを
ヒアリングします。既存の製品・サービスについて、「顧客に
とってのベネフィットを教えてください」とお願いすると、
次のようなご説明をいただきます。
これは簡単に〇〇できるんです
UIを工夫して直感的に操作できて画面遷移も少ないんです
従来よりスピードが〇〇%速くなりました
非常に高いセキュリティになっています ・・・などなど
Webの紹介ページやパンフレット、またはプレゼン資料でも、
このような説明はよく見かけます。
しかし、いずれも私たちが上記の質問で知りたかった「ベネフィット」
ではないのです。
どれも「何ができる(機能)≒ メリット」を説明していますが、
それを使ったら「どういう良いことが起きるのか ≒ ベネフィット」に
ついてあまり説明していません。
新規事業・新サービスのアイデアを磨いていく際には、メリットだけでは
なく、ベネフィットを追求することが大切だと、私たちは考えています。(もちろん、既存の製品やサービスにおいても、ベネフィットは同様に
大切です。)
メリットだけを訴求しても、残念ながら相手の心に響かず、行動して
もらう(=買ってもらう、使ってもらう)ことは難しいです。
「メリットによってそのユーザーにどのような良いことが起こるのか」を
伝えることで、ユーザーが「ベネフィット(=これを使ったら自分は
こうなれる)」をイメージしやすくなり、行動につながっていきます。
(※1)UX(User Experience)
ある製品やサービスを利用したり、消費した時に得られる体験の総体。個別の機能や使いやすさのみならず、ユーザが真にやりたいことを、楽に、心地よく実現できるかどうかを重視した概念。(例:楽しい、使いやすい、何か心地よい、使ってみたら便利)
「ジブンゴト」として相手に臨場感をもってもらう
新規事業・新サービスのアイデアを、想定する顧客のベネフィットで語れるようになると、相手も「自分事」として、臨場感をもってイメージしやすくなります。イメージしやすくなると、「これは確かに便利だね」「ここを
もっとこうしたらうれしい」など、仮説検証段階でも有用なフィードバックをもらえる可能性がグンと上がります。
ベネフィットの追求には、ユーザー像をある程度具体的に描く必要が
あります。前の図の「誰が」にあたります。
あなたが toC のサービスに携わっているなら、馴染みがある人も多いと
思います(ペルソナやカスタマージャーニーなど)が、toB のサービス
でも、ユーザー像を描く重要性は変わりません。
株式会社〇〇ではなく、新サービスを導入してくれる総務部の担当者、
管理する情報部門、それを使う営業やその営業が担当している顧客・・・
せめて、そういったレベルの「個人」まで分解して、その「困り事」を
想像してみましょう。そして、彼ら彼女らの困り事が解決された世界を
思い描いてみてください。
(別の機会に、会社/組織(≒ステークホルダー)、担当(≒アクター)と
して、その特定方法について説明する予定です。)
ところで、ベネフィットのサンプルとして、最近のクラウドサービスの
テレビCMなんかもヒントになりますよ。
これまでは、紙で作業していたので私たちだけ出社していたけど、
クラウドになって私たちも在宅ワークできるようになった。出張精算の間違いが減って残業もしなくてよくなったし、
指摘して嫌な顔されることもなくなった。財布を忘れた、クーポンが見当たらない、パネルのどこを押したら
よいかわからない。そんなストレスはもうありません。
CMは短い時間で訴求しなけければならず、どうすれば視ている人に響く
のかを必死に工夫していますので、ベネフィットを学ぶうえでとても
参考になります。
でも、CMではせっかくユーザーのベネフィットにフォーカスしている
のに、Webやパンフレットでは、機能の説明に終始しているケースも
散見されます。
もちろん、詳細な機能説明は必要ですし、Webやパンフレットの役割を
考えれば、詳細な機能説明にスペースを使うことは理にかなっていますが、ベネフィットが抜け落ちてしまうのはもったいないです。
TVCM、Web、パンフレット、電車の広告など、皆さんの周りにある情報
について、これはメリットだな、これはベネフィットまで言っているな、
という視点で見直してみると、だんだん感覚がつかめてきます。
手間もお金もかからないのでおススメです。
今回のまとめ
メリットとベネフィットは違う
あなたのアイデアのベネフィットを追求しよう
toB でも「誰が」を特定しよう
私たちは、プロジェクト上、企業の新規事業・新サービスの企画~事業化~サービスの定着・継続・拡大をお手伝いすることもございます。
ここでは、「新規事業担当に任命されたけど、どこから手をつければ
よいかわからない」といった方を念頭に、これまでの私たちの支援実績を
ベースに、新規事業・新サービスのヒントを語っていきます。
多くの人が組織に属している日本のビジネス環境において、社内でも起業家精神をもって突き進むイントラプレナーが増えれば、それだけ日本が元気になると信じて。
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