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【映画分析】『グランツーリスモ』の構成が好き
1.ひとこと感想
カッチリ作ったまじめな映画。
どこに落ち着く物語だろうと観ていると、鬼軍曹のトレーナーがらみで序盤から「ル・マン」という言葉が出てくる。そうして映画の最終地点もル・マンだった。映画オリジナルの存在であるトレーナーを通じて、最終目標であるル・マンへたくみに導いていた。
親子の確執、気になる存在だった彼女、トレーナーの過去、アカデミーのチームメイト、ライバルの存在(トレーナーの元職場)などなど、すべての要素を拾いつくして描ききったきわめてまじめな作りの物語。
2.気になるところ
このプロジェクト発起人をオーランド・ブルームが演じている。途中、主人公よりもしゃべれるやつをアカデミー1位に推す。こういう人物は得てして小ずるくて共感を得られにくい役になるが、さすがはオーランド・ブルーム。かっこよくさわやかな人物になっていた。しかし日本の企業が(たとえルノー傘下の日産でも)プレゼン聞いた即日、プロジェクトにOK出せるとは思えないなあ。
3.構成を分析!
以下、構成。
【1幕目】
主人公ヤンは『グランツーリスモ』のゲーマーで、父親からはまともな仕事をしろと言われている。しかし、日産の新プロジェクト「ゲーマーをレーサーに」の候補に選ばれ、試験に挑戦。見事1位でクリアしアカデミーへ入る。
【2幕目前半】
アカデミーで鬼軍曹であるトレーナー・ソルターにしごかれつつ、最終試験。そこでも見事1位となる。現実のドライバーとなりレースに出るが、ライバルの妨害に遭い苦戦。しかしライセンス取得に必要な4位以内に入る。
【2幕目後半】
ゲーマーからレーサーへ。一躍、時の人となるが、レース中に事故を起こし観客を死なせてしまう。失意のなか、トレーナーであるソルターもまた、ル・マン24時間耐久レースで事故を起こしていたことを知る。ソルターの導きもあり、ヤンは再起を賭けル・マン出場を決意する。
【3幕目】
かつてのアカデミーのライバルたちとチームを組み、ル・マンに出場。目標である3位に入り、表彰台にのぼる。ヤンの挑戦はいまもつづいている……。
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『グランツーリスモ』(2023年/134分/アメリカ)
監督:ニール・ブロムカンプ
脚本:ジェイソン・ホール、ザック・ベイリン
出演:デヴィッド・ハーバー、オーランド・ブルーム、アーチー・マデクウィほか