ゲーム感想|【ユニコーンオーバーロード】この面白さは"賢いことをやってる感"にあり
戦場を動かすは己なり
(ネタバレあり)
アトラス×ヴァニラウェアが手掛ける新作SRPG『ユニコーンオーバーロード』は、リアルタイムで進行する戦闘と、戦記物のストーリーが進むにしたがって、相当数のキャラクターが次々と参戦してくれることが特徴です。主人公アレインを動かして広大なフェブリス大陸駆け回りながら、各地で暴れる盗賊の類や、仇敵ガレリウスのゼノイラ帝国軍と戦いを繰り広げるのが主なストーリーです。
基本となるシステムや物語、キャラクターは王道そのものですが、凝り性にはたまらない時間浪費ポイントが所々に隠れているのがこの作品の筆舌に尽くしがたい、良いトコです。
ファーストインプレッションからほとんどぶれなかったなぁ。
1|ゲーム性 − 気分はすでに戦略家
ジャンルはSRPGですが、戦場は基本的にタイマーの時間経過とともに刻一刻と変化していきます。盤上で敵と自分の部隊がぶつかり合うとと戦闘画面に移行し、自分が組み上げた軍団と敵の軍団が自動で殴り合いを始めます。
細かーいルールは遊ばないとわからないぐらいあるのですが、戦場で自分がでやることは主に二つ。一つは「戦場に出す部隊の編成」、もう一つは「部隊の進軍ルート決め」。
基本はこれだけです。
兵の職種(クラス)ごとの有利不利と進軍の速度を考えながら、どの部隊でどの敵を倒しに行くか、プレイヤーはゲーム画面である盤面を眺めて逐一指示を出すことになります。
なんでしょうね?この、大局を操っている感覚。やってることはただただ選んで動かす、ってだけなんですが、考え出すといろんなアプローチが思い浮かんでくるんです。
「準備する」→「蹴散らす」→「準備する」→「蹴散らす」→…
準備がうまくいってるとレベル差すらひっくり返せます。さらに戦場に置かれた拠点や砦、罠に投石器と利用できるものをフル活用することで、次々と敵部隊を落としていくことができ、ただただ眺めるだけじゃないストラテジーゲームになっています。
2|キャラクター − 推し活(推しキャラを活躍させるの意)
SRPGのジャンルは結構遊んできていますが、『ユニコーンオーバーロード』末恐ろしいことに敵も味方もとんでもない数のキャラクターが登場します。
しかもプレイヤー側で使えるキャラは、5人一組で10部隊に振り分けても人数が余るうえ、モブ兵士も雇用して加えることができるので、キャラクターの一覧表は常に超満員。びっっっっっっしり。
それぞれのキャラクターは職業(クラス)によって得手不得手が当然存在していますし、武器や防具、アクセサリーの装備、何よりも自動戦闘時に発動させる技の優先順位や条件まで定めることができます。
やることが…やることが多い…!!
そう!だからぜひ、やりましょう。エコひいきを。
多すぎるのですべてに対応するためまんべんなく育てようとすると、もはや時間が足りません。(実際おぽのも足りてません。)
で、あれば見た目や声、性能や性格が気に入ったキャラを選別して、まあ、4~5部隊程度エース級の活躍ができる連中をそろえてやればいいのです。
え?「ステータスアップさせるアイテムが手に入った」?
じゃあ推しに使いましょう。
え?「強力なスキルを持ったアイテムを手に入れた」?
じゃあ推しに持たせましょう。
職業の組み合わせの妙、など考えられることはありますが、何より感情優先のほうが楽しいしやりやすい。
しかも種族は人間だけじゃなく、エルフ、獣人(獅子、熊、狼、狐、梟)、天使、光堕ちした敵などなど。性格もひねったような癖はなく、素直に雰囲気に合った言動をしてくれるので、好みのキャラを見つけることなど造作もありません。
ここまで語ってきたおぽのはというと…
このキャラをエースに……あ、これもいいな、、、へーこいつこういう一面があるんだ…うーんこの二人は離せないよなぁ………
…基本的に全員育てる方針になりました。
3|部隊編成 − 泥沼の軍師ごっこ
『ユニコーンオーバーロード』に限らず、おぽの自身がシミュレーション系のゲームを遊ぶとき、必ず訪れる魔の時間が出撃準備です。
これとこれを持たせてー、こいつと組み合わせてーを毎度毎度やります。ここまではおそらく経験のある方が多いと思いますが、おぽのの場合、何回かに一回、文字通り全てを整理しなおす時間が訪れるのです。
はたから見ると圧倒的な時間の無駄、なんですけど……それは、わかってるんですけどっ…!
キレーに整理しなおされた部隊やユニットを見てご満悦。
『ユニコーンオーバーロード』はキャラクターの項で書いた通り、1キャラクターで設定できる事項が多いです。装備品、発動スキル、そして部隊の組み合わせ。仮に全キャラクターの装備品整理に1時間かかるとしたら、単純計算で3倍、3時間かけて対応します。
それぐらいの心づもりで、この編成の沼にはまってしまっておりました。
お気に入りについて2つほど書いておきます。
トラヴィス隊
もうこう組んでねって感じの3人がメイン。ローグ「トラヴィス」、バーサーカー「ブルーノ」、ダークマーキス「ベレンガリア」にビショップ「シャロン」を加えた構成。
雑感でも書いたけど、幅広い敵を相手にできて本当に安定しているメンツ。トラヴィスが苦手な必中持ちはベレンガリアが、ブルーノの苦手な騎馬に対してはトラヴィスの回避が、ベレンガリアの苦手なガード封じはブルーノが、とそれぞれの苦手に応じて前衛を切り替えられて強い(語彙)
リーザ隊
こっちも、こう組むといいよ!って感じのメンバーを取りそろえた部隊。ドゥームナイト「グロスタ」、シールドシューター「リーザ」、ランツクネヒト「マゼラン」、みんな大好きヴァイキング「オーバン」の義賊&騎士の部隊。
まずオーバンのスキル「バトルホルン」がとんでもなく強いうえに、自身で縦一列への強い攻撃を持っているのでたいていの敵を粉砕できる。グロスタは多少Mっ気があるのか殴られれば殴られるほど活躍してくれる。難点を挙げるなら全体回復技に乏しいところ。
4|ステータス − 過剰なのは悪いトコ
さて、ここまで手放しでほめちぎってきた『ユニコーンオーバーロード』ですが、当然悪いトコもあります。
考える余地があるということは、理解をしていかないととっつきにくいということ。そして、実はあんまり考えずに極端な編成をすると、特に工夫もなくどんどん勝ててしまうということ。
プレイヤーが管理するものは少ないのですが、プレイヤーが理解しておいたほうが、便利になるものはたくさんあります。その最たるものが、戦闘中に発動するスキル。
デフォルトのままでもある程度戦えますが、思うように戦ってくれないせいで余計な時間が発生しがち。そこで各スキルに対して発動条件をこちらで決めてやる必要があります。
そしてこの発動条件の選択肢が非常に多い!!
条件を決めておくと、傷ついた敵から処理してくれるようになったり、攻撃の順番をある程度制御することで効率のいい戦いを繰り広げられるようになるので、面倒でもやっておいたほうが得なのです。
しかしガチガチに条件を固めすぎると、今度は柔軟な戦いができなくなってきます。「あ、このスキル、飛行の敵にしか使わないんで別の行動取りますね」と言ってより歯がゆい思いをすることすらあります。
一つ一つを理解して、戦闘でどうしたいかを思い浮かべながら条件を作っていくのはパズル的な面白さがある反面、どうしても時間がかかる行為です。
最初からすべてを理解しなくてよいとはいえどこの作品におけるプレイヤーへの情報は、相当数積みあがっているので好きなところから解きほぐしてあげる必要があるのです。
本日で、noteを初めて1周年。
去年と同じくSRPGの作品で年度スタートを切ってみました。