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ゲーム感想・ネタバレ無|【Chants of Sennaar】バベルな会話を解き明かすパズルADV
『異文化コミュニケーション』ってね
(ネタバレなし)
『Chants of Sennaar』。右も左もわからないまま、未知の言語を使う民族たちの住む場所に放り込まれて、見て聞いた言葉と言葉をつなぎ合わせながらその意味を類推してパズルを解いていくゲームです。
もうすでにその感覚、わかるんじゃないでしょうか。
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えーと、『「Sennaar」の"詠唱"』…かな。
「Sennaar」は「セナール」って読むっぽいですね。
で、「セナール」って…??
この作品はパズルですし、アドベンチャーなので、物語や解法には可能な限り触れないように感想を書きます。説明のため序盤はちょろっと触れてしまう…。
1|ゲーム性 − 相手のこと見てる?
未知の言語を使用する民族が複数出てきます。その言語をもとに彼らが何を言っているのか?何に困っているか?を明らかにしながら解決していくゲームです。
チュートリアルを進めていくと、すぐにこのゲームは「バベルの塔」の逸話を下地にしていることがイメージできます。
舞台となる「塔」は階層が分かれており、それぞれに住みつく人々はみな別の言語を駆使します。
でその言葉。基本一つの文字に一つの意味を持つ表意文字(表語文字)です。※ゲーム的に音の聞き分けができないので意味だけあてればOK。
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書いてある文字、話していた言葉それぞれに対して、少しずつ出てきた言葉の記録を取り、文字が持つ意味を推理していきます。
回答までかなり遠回りのアプローチが多くて面食らってしまいますが…
このゲームの主人公、プレイヤー以上にメモ魔でした。
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ある程度推測ができるようになった段階で、主人公が勝手に自分のノートにサラサラっとイラストを書き込みます。プレイヤーはそれを見てから、文字とイラストを紐づけていけばいいのです。
推理の材料集めをして自分の中で文字の意味の予測を立てておき、ノートが出てきたら答え合わせをしていく。そうやって少しずつ、人々の言っていることが分かるようになっていきます。
これが気持ちいい。
(さっきの人と今の人、一部おんなじこと言ってたな…しかもシチュエーションはこんな状況で…となるとこの文字は「名詞」?)
と悶々としながら残していた自分の思考の軌跡が、当たっていた時はもちろん、外れた時も「そういうことだったか!!」と何度も腑に落ちる体験ができます。
もう一つ、このゲームには言葉の推理以外にもやることがあります。
それがステルスアクション。
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主人公にとって危険なゾーンに足を踏み入れることもあり、その時はステルスアクションに移行します。まあそのこそこそしながら、敵を気絶させたり、リスクを冒すようなことは発生しません。そろりそろりと息を潜ませながら隠れてやり過ごすことがほとんどです。
そして、これがこのゲームの良いトコ、失敗してからの復帰が早いです。
例え見つかって捕まっても、直前の安全地帯(チェックポイント)に飛ばされるだけ。失うものもなく、すぐにやり直しができます。
言葉の意味の推理もですが、こういった微修正がやりやすいので「わからないことだらけでもとりあえず前に進んでいこう」という気持ちは消えませんでした。
2|グラフィック - 世界は何色に見える?
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いやー、オッシャレ…。
普段から自分の身なりのおしゃれさには意識が向いてないので、ちょっと弱い美的感覚ですが…それでも、このゲームの画力(えぢから)というか、絵画のようなゲーム画面に何度も心を奪われました。
本当は上の図も実際遊びながらのほうがもっと伝わるものがあるはずです。ですが、見ていただきたいトコの一つ、ということで載せてみました。
ゲーム画面、UI、そしてこのゲームのキーとなる「文字」のデザインは遊べば遊ぶほど、なるほどこれはこういう意図なのね~とか、こうやってカメラが動くからここを見てほしい/隠したいんだな~とか、遊びながらVR美術館にいるような感覚で遊べます。
その代わり、カメラの向きは固定です。ぐりぐり自由に動かして360°から建造物や、生き物を覗くことはできません。
また、その鮮やかな色合いに対する、ハッチング効果(網掛け)の有無をゲーム内オプションで設定できます。影の部分に淡い斜線がかかり、光の濃淡がより分かりやすくなります。
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3|操作感 - 次に行く先は見えてる?
副題に対する回答は、「ちょっとNO」です。ただしそれは、マウス&キーボードのお話。どちらかというと、コントローラーで遊んだほうが動かしやすいと思います。
ポイントをクリックするだけのゲームなら圧倒的にマウスのほうがやりやすいんですが…移動がですね…移動してほしいところへのクリック、しかもどこを押したかが見えないのが少し困るところです。
このゲーム見下ろしだけじゃなく横からや上からなどの別視点もあり、特にそういった時クリックの場所を間違えると、奥の上段に行ってほしいはずが手前の下段まで下りてしまうことも。
その上で先述のステルスなどの要素もあるので、コントローラーで遊ぶほうが煩わしさがありませんでした。
まだまだ語り足りないので、この作品は後半ネタバレ編を書きましょう。