ゲーム感想|【TENSEI】そのジャンプ、明鏡止水の心持ち
そうだ、TENSEIしよう。
(ネタバレあり)
『TENSEI』は漢字で書くと、点睛。山水画風のグラフィックの中を緩やかにジャンプしながら遥か天まで登っていくアクションゲームです。
うららかな春の訪れ、先月より人が増えた駅のホーム、雑踏。環境の変化に少し疲れを感じてしまった時、そんな時に、これ。『TENSEI』と出会いました。
近頃ヘビィな大作ばかり遊んでいたおぽのはこれを待っていたのかもしません。ずいぶんまったりできました。
1|ゲーム性 − あらまほし
ひたすら上にジャンプで登っていくゲームと言えば!
移動とジャンプだけの単純操作なのに、目指す足場がぎりぎり届くか届かないかといった距離だったり、ゲームオーバーがない代わりに落下するとそれまでの苦労が一瞬で水の泡になったり、とにかく高いストレスが引っ切り無しにかかり続ける中、自分はここまでできた!という達成感を味わうジャンルです。
人によっては苦行だとか、悟りだとか…。おおよそゲームを楽しんでるのに遊んでる感想に聞こえないのが常。
こちらの『TENSEI』。
ふ~ん、へぇ、ジャンプメインの3Dアクションかぁ…。
思ってたのと全然違った。
確かにジャンプがメインだし、ルールなんかも一緒なんですが…これは、膨大なストレスを引いて高みへ登る気持ちよさだけ残していました。
操作は3回までできるジャンプと急降下と移動。(空中に留まる「滞空」もありますが、これは使わなくとも遊べる補助機能。)
さらにステージ全体が低重力で、月面を闊歩するかのような浮遊感。ぴょ〜んとかふわ〜とかそういう擬音がぴったりな世界です。
ジャンプするたびにカエルとかウサギとかチョウとか飛ぶもの、跳ぶものに姿を変えて…そう、転生して果のない上へ上へと登ります。
流石にゲームなので、空中には触れるとアウトな岩なども浮かんでいますが、三回もジャンプできるので避けることは簡単ですし、なんなら急降下で接触するとそれを打ち消すことができます。
ジャンプして輪をくぐり、ダメージの岩を払い除けると次第に墨汁のオーブが溜まっていきます。
一定まで溜まったときに飛び立つと…
天をめがけて進んでいく瞬間が気持ちいい。BGMも高鳴って開放感がたまらんです。
2|イラストレーション − いとをかし
水墨山水画のような黒と白、縁取られた黒にはところどころ筆で描いた掠れのような表現がされていて、粋でオシャレな空間です。
登った距離が増えていくと、周りの景色が淡い色に染められて、桜、草木、紅葉、雪と四季を感じさせるような仕掛けがされています。
遊んでいたらもっと感じるんですが、癒やされるんです、とにかく。こっちはボタンとスティック、キーボードとマウスを動かしているだけなんですが、先述のゲームとしての気持ちよさとの相乗効果。
脳からα波が出続けます。
上を目指すものの、決められたルートは特に無く、あそこの岩に行くか…とか、あの塔に登ってみようかな…とか、まるで散策でもするような気分で先へと進んでいきます。
花が舞い、せせらぎが聞こえ、雨がしとしと降ってくる。中国古典のような、極楽のような、そんな世界が広がります。
3|難易度 − いみじうやすし
お察しのとおりゲームという意味では至極簡単です。片手間に遊んでいてもいいぐらい。誰かと会話しながらでもいいですし、寝る前にのんびり遊ぶのもあり。
ちなみに初回は10000mに到達すると強制エンディングで、その後から無限に遊べるようになります。
その中で手に入れたオーブで能力強化もできますが、特に無くても遊んでいられますし、それもセーフティネットのような能力なので強化しておけば、さらにストレス無く遊べるようになります。
ゲームにボリュームや競技性、奥深いシステムが求められる昨今、その逆を行く『TENSEI』。シンプルでとにかくリラックスして自分の思うがまま、無心になって遊べました。
ちなみに、このゲーム、オーブをためて強化できるものの中に、「ZENモード」というのがあります。
TENSEIもゲームなので飛距離やポイントが表示されてその値は世界ランキングに反映されるのですが、ZENモードはその煩わしい飛距離もポイントも隠します。
たしかに…
リラックスしたいのに、数字をわざわざ意識するのはやらなくていいコトですもんね。
「競うだけが、ゲームではない。」(おぽの/2024)
うーん、おぽのも立派に悟れましたなぁ。
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