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ゲーム感想|【FE 風花雪月】自由のジレンマ

正直なところ数えられるぐらい


(ネタバレあり)
欠点についてはおぽのが触れるまでもなくすでに多くの人々に語られて、ほぼほぼ語り尽くされているといってもいいかと思います。エンゲージを遊んだ今、それを踏まえた上での新しい感想が浮かぶかと思い、風花雪月の悪いトコ編に入りたいと思います。

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1|ゲーム性

まずは良くもあり悪くもあるところから。育成面は従来シリーズのクラスチェンジやランダム成長、スキル着脱と言ったものを下地に、色々試しすくゲームを進めやすくする工夫がされています。

自由な育成の楽しみがある反面、これのデメリットは、あまりユニットごとの特徴の差が小さくなることが挙げられます。魔法の使用については兵種の制限があるものの、持てる武器はクラスではなく個人の武器レベルに紐づいています。とりあえずこれ、のような習得スキルもあり、それは誰でも取れるので個性を無視した育成も可能です。

おぽのは個性伸ばしてあげたい。※最終職は踊り子です

嫌ならやらねばいい話なので、そこまで悪い印象はないかと思いますが、自由な育成が取り入れられたタイトルは、戦略シミュレーションとしてのバランスが大味になりがちです。何を重視するかで評価が分かれる部分かと思います。

とはいえ、難しければ良いゲームかと問われるとノーですね。初心者お断り、分かる人だけついてこい、のような空気はおぽのも困惑してしまいます。

近年のタイトルで人気となった『覚醒』と『風花雪月』を見てみるとこの育成の楽しさのようなものは軍を抜いているかと思います。闘技場稼ぎとかは飽きてしまうタイプだったので、育成周りの充実っぷりはそれだけでも楽しいものでした。

ただそれが、FEのもう一つの魅力である攻略難度とのトレードになっているため、冒頭にも述べた通り、ゲーム性の良くもあり悪くもあるところかと考えます。育成と戦略の両輪のバランス取りが本当にシビアなシリーズだと毎作遊ぶ度に感じますね。

もう一点、FEの戦略には大枠で二種類の傾向があります。それは「受け」か「避け」か。

具体的に敵の攻撃に対して高いHPや防御を以て耐えるか、当たらないほどの回避力を以て攻撃を避けるかの傾向が見て取れます。風花雪月は「避け」です。

というのも、自由育成を加味した敵の攻撃は比較的高めで、一発当たると致命傷というパターンが良くあります。加えて風花雪月では弓や魔法の射程を伸ばす方法が複数あり、反撃できない距離から何発も攻撃が飛んでくることはザラなので、受けに回すと相手を減らすこともできずどんどん消耗をしていきます。

弓の前には無力。

そのため、終盤に向けて最も要求されるステータスは回避力、となるのです。

それの何が悪いのか。

これについて考えた時、あからさまに活躍できない兵種が出ていることに気付きます。ジェネラル贔屓とかそういうことではなく、ユニットごとの特徴はそこまで大きくないのに、この兵種が使える使えない、の隔たりは大きくなっているのです。

FEの回避は速さとスキルに依存するため、速さが中途半端なクラスは通過点になりやすいです。(…すみません、ちょっとありますね。ジェネラル贔屓。)

かといって「受け」一辺倒だと今度は敵を倒せる力が足りない仲間は切られやすくなるので、ここもいい塩梅を狙うのが難しいポイントですね。

この点についてエンゲージを引き合いに出すと、あのタイトルは序盤が「受け」、中盤から「避け」、最終盤は両方という特徴を感じました。ルイの硬さに驚き、ユナカゼルコバの回避に頼り、最終盤はどちらにも厄介な魔道士を誰で処理するかに頭を悩ませました。

どの兵種がどの兵種に強いという緩やかな相性があるからこそ、多様なクラスを採用する理由となっています。

教師という観点からで生み出された教導という育成システムは、世界観にバッチリ合って自由で楽しい要素である反面、それによって薄まる魅力もあり、決して良い悪いだけで語れることではないので、いちプレイヤーとしてはもどかしさを覚えますね。


2|マップデザイン

Switchにより飛躍的に向上した建物や自然の描写、近づかないと見えないマップの所々に仕込まれた小ネタ、世界観の表現においては素晴らしいの一言です。

マップ背景を眺める視点を初めてみたときは感動すら覚えました。

一方で、これは仕方のないことなのですが、4ルートに分岐する割にはマップの種類が少ないです。よく槍玉に挙げられるのが、銀雪の章と翠風の章がほぼ一緒という点。最後で大きく分岐するのですが、それまでは同じ展開と同じマップが続き、このルートは連続でやらない方が良いと言う方もいらっしゃるほどです。

遊んでみるとそれぞれ相応の盛り上がりどころがあり、楽しさは十分に伝わるのですが、特に第一部は同じ歴史をたどっているので、何度も何度もコスタスに斬られレナート様が反乱を起こして今生に救いの道はなく父親が小娘にウザいと言われガルグ=マクを燃やされるので、段々と攻略自体が億劫になる人もいるかも知れません。(おぽのは一週目のハードから難易度上げて楽しむよりノーマルでさっさと物語を追うことに集中しました。)

キャラクターの深掘りが行われる外伝もあるので、何度も遊んでいるとどこかしらでいつか来たマップが展開されることもしばしば。

ここが燃えたの何回目だったかな…。

否定的に述べてきましたが数が少ないといえども、全体的に見るとマップの種類自体はあります。当然どのマップも世界観の作り込みは手を抜いていません。あくまでも周回の観点から、どうしても同じマップの使い回しに目がいってしまい、そこが遊んでいて惜しいと思うポイントになるのです。


3|物語

システムに引っ張られて不自然な流れができてしまうことがあります。おそらくどんなゲームでも起こりうる悩ましい課題だと思うのですが、システムとシナリオの両立させようとすると、多少強引さを感じてしまう部分が出てきます。

育成のため、世界観の補完のためにゲーム独自のカレンダーベースで月日がしっかり流れるようになっています。第一部では学校の課題として月末にメインシナリオが動きますが、戦時の第二部でも同じように月末にメインとなる章マップが展開されます。

社会人御用達、月曜始まりカレンダー。

一応いつまでに進軍には何週間かかりそうとか補足してくれるのですが、ほとんどの出来事が月終わり頃になって発生しているので多少の不自然さは出てきてしまいます。

しっかり育成する期間とメインシナリオの展開というゲームを遊ぶオンオフの切り替えのため致し方ない点ではあると思います。

また前段でも語ったマップの種類の制限があるため、何かと理由をつけてそこに行くという流れが作られます。煉獄の谷アリルは何回見たことか…そして何回グェンダルが奇襲してきたか。世界観を語る上での要地ではあるんですけどね。

舞台を大事にしているからこそ、ゲームとの兼ね合いで歪んで見てえしまう部分が出てくるというのが如何ともし難い…。


今回の悪いトコ編は、無理やりひねり出したかのような歯切れの悪さでした…。ただどれもプレイ中、もしくはエンゲージを遊んで改めて考えた結果感じた内容ではあります。

色々と遊びの幅が広い反面、物語と同じくうまく行かないもどかしさや歯がゆさが風花雪月の世界には眠っています。

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