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ゲーム感想|【パーリィナイトメア】朝がくるまでレッツパリィ!!

今宵はパリィイット


(ネタバレあり)
『パーリィナイトメア』は四方八方から敵が寄ってくる全方位シューター。いわゆる「ヴァンサバ系」と呼ばれるジャンルに近いゲームです。

悪夢にとらわれた主人公のタマシイが、自分のホンノウとともに襲い来るトラウマ、ストレス、イヤーなあの人…をぶっ飛ばして朝日を拝むのが目的。ポップでカートゥーンチックなイラストに一目ぼれして買いました。


1|ゲーム性:ヤなこと全部流しましょ

<パリィとバディ>
プレイヤーのタマシイは敵であるトラウマを直接倒すことができません。

悪夢から逃れるためにプレイヤーができることは二つ。「移動」と「《受け流し|パリィ》」です。このパリィは近くまでやってきたトラウマを弾き返して、一定時間無力化させるだけのアクションです。

ではどうやって敵を倒すか。

水色の範囲に敵が来たら…パリィ!

タマシイと一緒にいてくれる、ホンノウの出番です。タマシイが弱らせたトラウマに、ホンノウがとどめを刺してくれます。自動で。

自動攻撃の謎ビームを出すホンノウですが、このトラウマだらけの悪夢にふいにやってくる、強化アイテムで能力も姿形もガラッと変えて、より強力な攻撃をしてくれるようになります。

お寿司を取れば極太レーザーを解き放ち、お肉を取れば火を吐きながら駆け回り、野菜を取れば周囲をスライスしながらゆったり浮遊します。

<テンションをぶち上げろ>
トラウマに当たるとどうなるか。そう、テンションが下がりますね。マジでやってらんなくなりますよね。

ガン萎えすなわち、ゲームオーバーです。

故にテンションを上げて、光を集め、ポップでジャジーな音楽が流れる中、パリィ、パリィ&パリィとテンポよく続けるのが悪夢を乗り切る唯一の手段。

光が100まで貯まればそのトラウマはおしまい。次のトラウマに挑むことになります。テンションが下がり切ってトラウマに負けてしまったとしても大丈夫。何度も耐えて、挑戦を繰り返せばいずれはトラウマを越えていけます。

精神論みたいな話ですがそういうゲームの作りなんです。勝っても負けても、立ち向かい続ければ先に進めるスタイルです。

明けない夜はない。ってことね。

ゲーム的な側面で気をつけたいのは、このゲーム、難易度の跳ね上がり方が尋常じゃないです。ステージ数は全部で5つ。5つ目はエンディングステージなので、実質4つ目がラスボスなのですが、難しさが指数関数グラフの如くギューンと上がります。

色々な判定が意外にもシビアで、豪快な見た目に反して繊細な操作が必要になる時もあります。それこそ4つ目のステージは少しでもリズムが崩れると途端にピンチに陥る…なんてことも。

そう簡単に嫌なことから逃げられないってことか…。


2|イラストレーション:ポップでダークな世界観

<囚人服?いえパジャマですよ>
おぽののキャラクターの好みでいうと表情がコロコロ変わるってのが好きなんですよね。

ホンノウは…いえホンノウちゃんはまさしくそれ。生意気そうに腕組してると思えば、寿司を食べてはテンション上がって、肉を食べては燃え上がって、野菜食べてはクールな決め顔。

お寿司ちゃん。使い勝手がイイ。
お肉ちゃん。暴れん坊。
お野菜さん。何者も寄せつけない。

ホンノウちゃんがダウンしてるときの顔もベストショット。

悪魔の角を生やしてるくせに、しましまパジャマにスリッパのゆるデザインはナイスとしか言いようがない。

強いて言うなら、他の変身形態もみたかった!こんなにも表情豊かなのに、3種類しか変身先がないのが勿体無いなと思うトコです…。

ちなみにトラウマとトラウマの間で、タマシイとホンノウの持ち主である「わたし」が、まんじりとしない夜を過ごしている様子を見ることができます。

その時の部屋の気だるい雰囲気もグッド。

<トラウマ性格診断>
もう一つ、敵であるトラウマのデザインです。基本的に落書きチックなんですが、何にストレスを感じてるのかが一目瞭然で、「わたし」が世界をどんなふうに見てるのかも伝わってきます。

ホンノウちゃんだけを狙う爆弾級トラウマもただの爆弾型ではなく、そこに大きな口が付いてるのが秀逸。

心無い一言で相当傷ついた経験があるんだろうなあ…。

上司っぽい敵の頭が指だったり(指さされまくったんだろうか…)、多頭多足の女子生徒の影だったり(仲良しグループにハブられたのか…?)、歯ブラシロケットだったり(嫌いな味なんだろうな…)、敵と嫌な思い出がセットになってる想像が膨らみます。

目が強調された男子。イヤだなぁ。

「わたし」の人物像を思い描くのにも一役買ってますね。繊細な人柄が見えてくるというか、うんうん、と頷きたくなるというか…そんなプロファイリングができてしまいそうです。


3|物語性:ドライでウェットな距離

<痛みのある物語>
先に書いておきましょう。心が弱ってる時にこのゲームは響きやすいです。否、響きすぎてしまいます。

あるある~。

というのも、先程のトラウマデザインから察せられる「わたし」の苦労とか、部屋の中の小物を調べた時に「わたし」から語られるエピソードが、本当に心が弱ってるんじゃないか?と錯覚するぐらいディテールがしっかりしています。

そんな深い物語はないはずなんですが、誰もが感じたことがあるような、ちょっとだけ嫌な感情が部屋のあちこちに散りばめられていて、ともすると共感しすぎてしまいそうになります。

死語では?

これに加えて、先程の難易度でトラウマが襲いかかってくるので、勝てなさ過ぎてプレイヤー自身のテンションまでもが下がりかねません。

ある程度ゲームとの距離を保って「言ってもこれはフィクションですし」というスタンスを忘れないようにすべし、と学びました。

余談ですが、4つ目のステージがなかなか突破できなくてガチで凹んでました。そこからのクリアがとんでもないカタルシスでしたがね!!


もしもアプデがきたならば、おぽのもテンションぶち上がります。

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