初めての「宮内庁御中」 その②
歌会始の存在を知ってから10年、
ようやく今年一首詠めたけど、
ここからのハードルがちょっと高かった…。
半紙と毛筆
宮内庁の発表している詠進要領には、半紙に毛筆で書くこと、とある。
(https://www.kunaicho.go.jp/event/eishin.html)
げげげ。
わたしはほんとうに、ほんっとうに、字が下手で、けっこうコンプレックスだ。
毛筆だと、それが救いようがなく表れてしまう。
筆ペンで何とか誤魔化したかったけど、それが理由で選考外になったらばからしいので、しぶしぶ弟の書道バックを引っ張りだすことにした。
セット完了。
風情ないなあ。
職業欄で悩む
横長にした半紙の右半分には、お題と歌を書く。
滑り出しは不調だ。
学校で散々注意されてきたトメ・ハネ・はらいの重要性がようやく身にしみてわかった。
人からもらった注意や知識って、後から効いてくることが多いなって最近思う。今回の歌会始もそうだけど、物理の授業や、両親から注意されたことだって、当時は聞き流してたけど、大人になっていくうちに必要な瞬間に出会っていく。
だから年下へ注意する時も教える時も、即効性は求めずに、将来「アハッ!」ってなる瞬間があるといいなって思いながら、話しかけている。
いけね、持病の現実逃避が出ちゃった。
書道は技術、アハッ体験をしたからといって一朝一夕でどうにかなるものじゃないよね。
まあ、お目汚し御免ということで、書くしかないかー。
左半分には、「郵便番号,住所,電話番号,氏名(本名,ふりがなつき),生年月日,性別及び職業(なるべく具体的に)」を書く。
こっちは普段から書き慣れている字だから、まだきれいにかけた。
ただ最後だけ、ちょっと困った。
職業欄だ。
詠進要領には (なるべく具体的に)っていう、抽象的な注意書きがある。
「大学生」は具体的じゃない。
「○○大学五年」はちょっと具体的だけど、経験上、大学五年生って自己紹介すると戸惑われる。
かといって、「○○大学医学部五年」だと、なんか押しつけがましくて嫌いだ。
この自己紹介問題は、結構たくさんの医学生が感じていると思う。
六年制や、就活してない、ゼミに入っていない、長期休暇が短い、という違和感を説明するために、医学部生だということを伝えると、
「へえ、すごいね」が必ずついてくる。
「そんなことないです」まで言えれば社交辞令セットの完成だ。
これが結構、居心地悪い。
悩んだ末、とりあえず今回は、ひねくれた自意識を殺して「○○大学医学部五年」にしてみた。
封筒はどうすればいいの!?
全部書けたところで、
(四つ折りって何かのマナーに引っかかりそう)、
と思いながらもスタイリッシュな縦四つ折りにした。
よし、送るぞ!と家にあった封筒に入れたら、
入んない。
あと縦5mmくらい足りない。
調べたら、半紙の短辺(横長にした時の縦)は243mmで、
これがちょうど入るのは長形2号。
100均と書店で探したけど、需要がないんでしょうね、全然置いてない。
ホームセンターでようやく見つけて購入。あってよかったけど、使うのは1枚だけだから残りはもったいないな。封筒消費するためだけに、今後14年間、歌会始に参加しようかな。
切手は120円。これも持ってなかったから郵便局へ。
そして投函
ここまで、久しぶりの毛筆、封筒、切手と、不慣れなことが多くて労力がかかったけど、
ようやく投函までこぎつけました。
ぽんっ。
郵便番号と宮内庁だけで届いちゃうの、さすがです。
あとは入選を妄想するだけ。
なに着てこっかな~。
でも、入選しなくても、参加したことに意義があって
きっと、例年より入選者発表をわくわくして迎えることができて、
そして、思いもしなかった「実」の使い方に驚嘆して、嫉妬するんだろうな~。
12月が楽しみです。