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市民オペラに参加するということ 20

新国立劇場における「愛の妙薬」、肝心の舞台だが、まず音がいいのに驚いた。オケの音がよく聞こえるのはまあわかる。しかし歌手の声も、すぐ近くで聞いているかのようによく聞こえるのだ。とても3階席最後列にいるとは思えない素晴らしい音響だ。日本の一流のホールは、そういうところが本当にすごい。

オペラの冒頭は、いつも私が欅の会で練習している合唱から入る。私たちがやるのは日本語だが、原語がイタリア語なので今日はむろんイタリア語上演だ。字幕を眺めながらの鑑賞になるが、いつもの歌だ、と思って楽しんで聞く。

オペラの合唱練習はえてしてそうなりがちなのだが、初めは合唱の登場箇所のみを練習するので、作品の全体像や、ましてや背景などは、自分でさらわないといけないことが多い。独唱の部分も含めて今回実際のオペラを鑑賞することで、いつも合唱で練習しているところが、オペラのどの部分の歌かということがわかってとても参考になる。「愛の妙薬」は非常に単純なストーリーなのだが、それでも全体をさらっておくことは大切だ。

アディーナ役の砂川涼子さんは、以前私が魔笛で合唱参加した時に、パミーナ役をやってくださったので、それ以来注目して拝見している。そんなこともあってより楽しめた。演出はとてもシンプルで遊び心があった。衣装はカラフルで、全体的にポップな感じの仕上がりで、視覚的にも楽しめた。愛の妙薬は2幕しかない短い作品なのでよかった。長い作品は、見る側も大変な面があるのだ。

幕間には25分しか休暇がない中、レストランで着席してスプマンテを楽しんだ。なんとも贅沢だ。今はまん延防止等重点措置のため、マチネの公演でしかレストランは開かないようだが、もともとはオペラは社交が目的だったことを考えると、幕間の楽しみも重要だ。そんな感じで、全体的に初新国立劇場オペラを楽しんだのだが、「愛の妙薬」は結構合唱の出番が多いので、残念ながら欅の会で、私がまだ譜読みをしていない部分があることがわかって、がっかりする。まん防も延長されたので、欅の会の練習の休止期間も延長するのだろうか。感染症禍の合唱練習は何かと大変だ。

プロの舞台とはいえ、今回の公演の準備もきっと大変であったに違いない、そもそも出演者が外国人から日本人に大きく変わったのだから。プロが舞台を作り上げる素早さにはいつも舌を巻くが、それにしても大変だったことだろう。生の舞台の素晴らしさは、録画などとは全然異なるものなので、このたびは観劇できてよかった。

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