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東京オリンピック ボランティアドライバー体験記41

ステークホルダーを下ろしたあと、私はもう一台の車の運転手に声をかける。彼は私たちがペアであることを知らなかったようだ。私が後を追って来ていたのだと伝えると、驚いていた。

ボランティアドライバーは中華系の男性で、都内に在住しているのだと言う。私たちは日本語で話した。私はグアム人に、9時頃車に戻ると言われたのに、彼は8時ごろ戻ると言われたという。一体どっちが正しいのだろう。私はグアム人に携帯電話の番号を聞くのを忘れたことに気づく。そこで、ペアの彼に、彼の電話番号を教えてもらい、もしステークホルダーが先に戻ったら、私の携帯に連絡して欲しい旨を伝えた。

ANAインターコンチネンタルホテルは、オフィシャルホテルだけあって、駐車場フロアの入り口からホテル内に入ると、ボランティアが大勢受付に居る。ここならボランティア用の休憩所があるだろうと思い、彼らに私が尋ねると、下の階に待機ドライバー用の休憩室があると言う。

行ってみるとそこは椅子が並べられたただの部屋で、飲み物一つ置いてなかった(冷蔵庫のようなものがあったので、実は飲み物くらいはあったのかもしれないが)。飲み物が入り口にふんだんに置かれている医療関係者用の控室とは、大いなる待遇の違いだ。字幕放送の無音のテレビが置いてあったので、試合の様子を見ることはできるが、ただそれだけ。仮に9時まで待つのだとすると、3時間近くもこんなところに居られない。

夕食どきでもあるので、私は何か食べに行くことにした。ちょうど去年、初めての緊急事態宣言が出されたゴールデンウィーク、私はここに泊まりに来ていた。命を守るためのステイホームとかなんとか言われて、さすがの私も東京を出るのは憚られたが、ステイホームの代わりにステイホテルならよかろう、と思って泊まりにきたのだ。ところがそんな呑気な輩はそんなにはおらず、ホテルは大閑散、ホテルのレストランに至っては営業すらしていなかった。だからリベンジで東京タワーでも見ながらホテルで食べてもいいかと思ったが、そもそもボランティアのユニフォームを着ていて気恥ずかしいし、ホテルのレストランはどこもいいお値段だ。結局私は隣のアークヒルズでトンカツを食べ(去年は隣のビルだろうがどこだろうが、開いている店はほとんどなく、夕食難民になった)、終わると散歩して、東京タワーのライトアップが見えるところまで足を伸ばし、それも終わるとホテルの待機部屋に戻って、レスリングの決勝を見ながら時間を潰した。

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