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市民オペラに参加すると言うこと 12

合唱祭の翌週の練習に行ってみると、また違う先生が指導にいらしている。いつもの会の代表者ではなく(代表者は1ヶ月以上不在になる旨、先日おっしゃっておられた)、前々回いらしていた若手の指導者とも違う先生だ。なんと今回は、先週末合唱祭で椿姫のソロを歌った、テノール歌手の先生だった。普段は大学でも指導しておられるらしい。音大で教えておられる先生の指導を受けられるなんて、感激だ。音大は私にとってある種憧れの大学だ。

先生は、テノール歌手らしく、発声練習の時から発声法を指導してくださる。その内容は、表現のしかたこそ異なるものの、私が歌の先生について個人レッスンを受けていた時に習ったのと、概ね同じような内容だった。私が個人レッスンで教わった先生は、体(というよりは頭の後ろの空間)を開けて、息を回して上から声を出す、というような指導をしてくださっていた。言葉で表現してもなんのことだかよくわからないが、それを繰り返しの練習によって習得するのだ。

今日いらした先生のおっしゃっておられたことも、おおむね同じような内容だったので、私はすぐにできた。そしたら先生に呼ばれて、私はみんなの前で発声の見本を見せることになった。先生に「前に出てきて」と言われた時には、まさか見本を見せることになるとは思わなかったが、突然のことだったので、逆に照れたりする間も無くやってみせることができた。新人なのになんだか偉そうだとは思ったが、でもその後は、私は正しく発声できているのだ、と自信を持って声を出すことができた。

と言いたいのはやまやまだが、実際のところは恐る恐る声を出すことしかできなかった。というのもまたしても、私は楽譜を初見で歌わなくてはならなかったからだ。今日の練習は、来年夏にやる「愛の妙薬」を、頭から歌う練習だった。みんなはこの箇所については、もう音取りを終わっているので歌えるようだ。でも途中参加の私だけは、曲も知らなければ楽譜も初見だ。自信を持って大声で歌って、思い切り間違えるわけにはいかない。

初めは周囲に聞こえないような小さい声で歌うか、それも難しい箇所については、周りの声を耳をそば立てて聞いて、自分は声すら出さない。逆に初見でも歌えるくらい音程もリズムも簡単なところだけは、1回目でも控えめに歌う。2回目に歌うときは、ようやく少し大きな声を出してみる。そんな様子だったから、私が元気だったのは発声練習の時だけだ。

それでも、歌手の先生に教えていただくのはとても楽しく勉強にもなり、良い練習ができた。まあ本番は夏なのだから、歌は焦らなくてもそのうち覚えられるだろう。いざとなったらまたYouTubeでも見て自習すればよい。

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