市民オペラに参加するということ 32
〈前回のあらすじ〉練習に副指揮者とソリストがやってきて一気に真剣みが増す。
この日はまず1幕の、愛の妙薬をもたらすドゥルカマーラが登場する場面から練習することになった。副指揮者は、歌詞の中に出てくる「ラッパ」はこの時代においては高価な楽器であった、だとか、そのラッパの音を、聞き手はどういう気持ちで聞いているのか、だとかの問いかけをして、歌に色づけをする。ご自身が歌って見本を示す場面もあり、ご自身も歌の経験のある方なのかもしれないと思って聞いた。曲の解釈を交えて歌い方の指導をされるので、とてもわかりやすい。一方で、私は解釈以前に、歌をちゃんと歌うことも満足にできていないレベルなので焦る。もっとレベルアップする必要がある。
ドゥルカマーラが出てくるシーンなので、この日練習に参加しているソリスト、ドゥルカマーラが歌う場面もある。歌手は着席して軽い調子で歌っているのに、声量がすごく、やはりプロの人は違うと思わされる。練習でそんな歌を聞くことができるのは、なんとも嬉しい限りだ。
ドゥルカマーラ登場のシーンが終わると、今度は最終盤のフィナーレの場面に移る。ここでも、感情の動きを説明しながらの歌い方指導となるので、これまでの、楽譜の通りに歌えるようにする段階から、一歩進んだ練習となる。
休憩を挟んで再度、フィナーレの場面をおさらいする。それが終わると今度は、後半部分の女声合唱の部分をやる。なにせジャンネッタが3人も来ているのだから、ここをやるのにふさわしいし、そうでなくとも女声合唱が長く続くこの部分は、繰り返し練習が必要なのだ。3人のジャンネッタは全て若い歌手だ。経験を積むためもあって、合唱練習にまで合流してくれているのだろうか。順番に独唱し、歌わない歌手は、ヘルプで合唱パートを歌ってくれたので心強い。
副指揮者は、歌いにくい箇所の歌詞を、合唱団にセリフとして読ませる練習をする。それができるようになると、その言い方のまま、メロディを付けても歌えるように、という指導をする。歌になるとなかなかうまくいかないのだが、それにしても実践的な練習ではある。副指揮者は若いのに、オペラの合唱指導を心得た方だと感心する。
そんな様子でこの日は、いつもにも増して充実した音楽練習となった。今後の練習が楽しみだが、ちゃんと付いていけるか不安もある。