市民オペラに参加するということ 13
翌週はクリスマス、年内最後の練習だった。この日もいつもと違う先生だった。私はまだ会の練習に5回しか参加していないのに、4人めの先生の登場だ。
この先生のことはよく知っている。以前「カルメン」をやった時は、月に1回この先生がいらして、練習時間を通常より1時間早めて、演技の練習をしたり発声の練習をしていたからだ。私は当時から練習がそんなに好きではなかったので、練習時間が1時間延長になるのはあまり歓迎できなかったが、会のメンバーたちはこの先生の特別練習が好きだったようだ。
コロナの関係だと思うが、私が会に復活したら、特別練習は消失していたようだった。でも先生は、今でもこうして時々指導にいらしてくださっているようだ。そしてこの先生は、会の代表者の奥様なのだ。夫婦で音楽の先生だなんて素敵だ。
この日は電車が遅れて、私は練習に遅刻してしまったので、発声練習をほとんどやることなく歌わなくてはならなかった。それでも、この日の練習の最初は、本番でやる「愛の妙薬」の音取りだったからまだよかった。過去にこのオペラをやって、曲を知っている人たちがいるとはいえ、そうでない人にとっては、条件は私と一緒だからだ。曲を知っている人たちの声を盗み聞きしながら、また他のパートが練習している時も楽譜と歌詞をさらいながら、なんとか歌えるようにする。
安心したのも束の間、今度はこのオペラの冒頭部分の練習に戻る。この部分は前回の練習でやったところではあるのだが、前回私は初見だったので、付いていくのがやっとで、全然歌えるところまで行っていない。おまけに前回の練習から1週間経ったら、結構忘れていて、2回目の練習なのに、あまり歌うことができない。それでも何度か繰り返すうちに、曲も思い出して歌詞もなんとか乗せられるようになり、なんとか歌えるようになる。次回同じ箇所をやった時には、今度こそちゃんと歌えるのではないか。そうこうしているうちに休憩時間になる。