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市民オペラに参加するということ 11

合唱祭当日は、会場となるホール前に1時前に集合することになっていた。遅刻した人は舞台に乗せないわよ、と合唱指導のサブの先生がおっしゃっていたので、電車の遅延などに備えて早めに行かないと、と私は思った。なんとか遅刻せずに会場に到着する。

1時になって会場に入ると、まず楽屋入りして、着替えを行った。女性たちが色とりどりのドレスに着替え、華やかな雰囲気になる。ヘアメイクは家でしてくるように、とのことで、楽屋では着替えだけだったので、意外に早く終わった。あとは客席に座って時間まで待機する。開演は2時だ。

合唱祭午後の部は、計7つの団体が出場する。小学校が四つ、中学校が一つ、大人が二つだ。この合唱祭、もともとは合唱をやっている小学生が、発表の機会があまりないので、発売の機会を設けるべく始まったイベントのようである。各団体が一曲もしくは二曲ずつしか披露しないので、どんどん進行していく。たった二曲というのは物足りない感じもあるのだが、あんまり時間が長くなると、小学生にとっては聞くのもつらい、という事情もあるのかもしれない。

小学生たちもコロナ禍で、合唱自粛の波にさらされたらしい。貴重な小学生時代の部活動が犠牲になってかわいそうだ。それにしても小学生の歌声というのは、なんとも清らかだ。男の子も声変わりしていないし、澄んだ歌声で本当に心が洗われる。小学生たちが一生懸命歌っている姿は、感動なしでは見られなかった。普段小学生の歌なんて聞く機会がないものだから、いいものを見せてもらったと言う気持ちで、予想以上に満たされる。

スタンバイしなくてはならなかったので、直前の出番のグリークラブ(男声合唱)の演奏は見ることができず、残念だった。大人の団体はここと私たちだけなので、できることなら見たかった。舞台袖に移動すると、じきに私たちの出番がやってくる。お客さんの入ったホールで歌うのは、高揚感がある。昨日先生に言われたことを守り、楽譜に齧り付かず、私も本番をなんとかこなす。歌詞が怪しいところなどは、小さい声にするなどして、なんとか乗り切った。思ったより楽しかったが、思ったより疲れた。いくら二曲とはいえ、本番は本番だからだろうか。

プロの独唱部分もある私たちの歌は聞き応えもあり、評判は良かったようだ。合唱祭のトリを務めるのにふさわしい演奏だったのではないか、と自画自賛してみる。私自身の出来は褒められたものではなかったが、まあ今回は入ったばかりなので仕方ないだろう。次はちゃんとやることにしよう。

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