市民オペラに参加するということ 26
〈前回のあらすじ〉スプリングコンサート本番当日、午前にリハーサルを行ったが、私が前日練習を休んでいるうちに、周りに暗譜している人が多くて焦る。
リハーサルが終わると昼休憩に入る。12時半前に終わり、本番2時の10分前にステージ脇に待機なので、1時間以上休憩時間がある。手軽に食べやすいコンビニおにぎりを昼食にしていたので、すぐ食べ終わってしまい、暗譜が怪しいところをさらってもまだ、時間を持て余す。しかし食事が終わると、残った女性たちの間で撮影会が始まる。自分のドレス姿を写真に収めようと、写真を撮りあうのだ。私は別に撮らなくていいかな、と思ったので、シャッターを押す側に回った。 D V Dを購入する人もいるようなので、みんな熱心だな、と思う。私は歌うだけで満足してしまって、後から振り返ろうみたいなことはあまり考えない。そう言いながらも一枚だけ、写真を撮ってもらったのだったが。
そうこうしているうちに開演の時刻となり、一曲めの「カヴァレリア・ルスティカーナ」からオレンジの花の香り、を歌う段になる。冒頭部分は舞台袖から声を出し、それが終わってから、各々が談笑しながら舞台に出て行く。舞台下手から出て、私は一番上手側に立つことになっているので、始めに出て行くグループだ。さっき私は楽譜を外したばかりなのに、あたかもいつも暗譜で歌っているかのように、堂々と歌う。そこは舞台度胸なのか。2曲目は「椿姫」から乾杯の歌。ソロが入ると俄然聞き応えが増す。昼休憩に歌詞を詰め込んだ成果が現れ、とうとう本番では問題なく暗譜で歌うことができた。3曲目は「カルメン」からハバネラ。これは暗譜に不安はないので余裕を持って、多少演技もつけながら臨むことができた。
前半が終わると一度控室に戻って、ソロの歌のあいだ待機する。呼び出しがあるとまた舞台袖に戻り、ソロが終わると再び舞台に出る。後半の始めの出番では、「愛の妙薬」冒頭部分を歌う。この曲は、リハーサルでうまく出られなかった部分があったが、本番はその教訓を活かしてちゃんと出る。この曲は暗譜で歌ったが、次のDona nobis pacemが、リハでしか歌っておらず、むろん覚えていないので、楽譜を見て歌った。Dona nobis pacemは、うまく歌えているかどうかもよくわからないまま、必死のうちに終わった。そして最後「ナブッコ」の、行け、我が想いよ黄金の翼に乗って、も、イタリア語を覚えられなかったので楽譜を見て歌った。これは冬の合唱祭でも歌ったし、楽譜を見れば大丈夫だ。
果たしていらしてくださったお客さんに満足いただける内容になっていたのかは、自信がない部分があるが、やっている側にとっては、発表する場があるといい刺激になる。こうしてスプリングコンサートが終わった。来週からはいよいよ、「愛の妙薬」本番に向けて鋭意練習することになるのだろうか。ひとまず本番を終えてほっとした。
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