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テックタッチ(株)から思考するエンタープライズ・カスタマーサクセスのいろは

カスタマーサクセス領域ではほぼオタク…な私は、普段からカスタマーサクセスの発信は世の中に出ているものは、ほぼ全てチェックしています。

今回は、テックタッチ株式会社様の CS責任者である垣畑さんのブログが評判が良く、藤島さんどう思います??と社内外に聞かれたので、noteで感想をまとめます。

ARPAトップクラスのエンタープライズ向けSaaSのカスタマーサクセス

料金は非公開なので、完全に仮説です。

仮に1ユーザあたり300円くらいと想定して、1万人の従業員の提供なら月300万円くらいになり、実際にそれくらい請求している事例とあるのではと予想しています。

資金調達の情報を見ると、今回シリーズBで17.8億調達なので、仮置きでPSRが7倍くらいとすると売上が2.5億円ほどと推測されます。もっと売上もしくはマルチプルは大きいかもしれません。

これも仮定で、契約社数50社とすると、社当たりARR500万、MRR41万円ほどと想定。つまり社あたりの月の請求は50〜100万円平均くらいだろうと思われます。

※上記、深夜に書いたので勘違いしてました…!今回、調達額が17.8億なので、20%放出とすると約90億円なので100億近いvalと想定され、PSR7倍でも10億〜15億くらいの売上水準とすごい額だったことに気づきました。(代表の井無田様、大変失礼しました🙇‍♂️)
※ロゴの数からも100社以上の取引があるかも?と推測されて、ARPA100万くらいあるのでは、と考えると、素晴らしいSaaS事業に成長していることが予想されます。

社内システムの数ほどテックタッチのナビゲーションを実装する余地がある=マネタイズの余地がある、と製品特徴からイメージしました。

とすると、カスタマーサクセスをするほど売上が上がる、という素晴らしいビジネスモデルだと思いました。

単価の水準的には、データXのb-dashのようなものが近いでしょう。

間違いなく、国内のSaaS製品の中でもトップクラスのARPAだと想像できます。

ハイタッチで入り込むほど単価が上がるビジネスモデル

たしかに、提案で入り込めば入り込むほどマネタイズ金額が上がっていくような設計になっており、その伸び余地が大きいはずです。

このようなケースの場合は、人件費を割いてハイタッチで入り込むほうがいいでしょう。

逆に、入り込んでも請求金額を上げられない、そもそも伸び余地がない、というケースの場合、ここまでカスタマーサクセスは推進が難しいはずです。

この製品の場合は、そもそも個社ごと、利用SaaSごと、ユースケースごとを理解して実装を進めなければならないため、動き方はSIerに近くなります。

個別対応が自ずと多くなる特性の製品だと思いますので、単価としても然るべき単価になります。

本来であればSIerが行っていた顧客社内向けの導入システムの勉強会にも少し似た感じ?とも思いました。

エンタープライズ向けカスタマーサクセスは、ITコンサルティング、プロジェクトマネジメントに近くなる

やっていることやノウハウ自体は、SaaSのカスタマーサクセスというよりは、SIerや ITコンサルタントが行っているプロジェクトマネジメントに近く感じました。

PMBOKで書かれているような内容のイメージです。実際にマネージャーの方もITコンサル出身者らしく、納得です。

先日、CSHEROという弊社openpageが行った大型のカスタマーサクセスのイベントがありました。

この中で発表されていた、アドビ様のカスタマーサクセスもこの記事内容に近しい動き方をします。

高単価の製品を扱う場合は、ITコンサルでプロジェクトマネジメントを専門でやってた人にカスタマーサクセスを任せる、という動きは今後も増えてきそうです。

また、テックタッチ様の場合は、プロフェッショナルサービスとしてあえて製品の利用まで巻き取る、ということをしているようです。

こちらの製品の場合は、SaaSに利用ナビゲーションを埋め込むことなので、その要件定義から実装までお金をもらって代行作業しているのでしょう。

たしかに、大手企業であればSaaSの利用ごとアウトソースするというのはあり得えます。

エンタープライズ CSは熾烈な採用競争に巻き込まれる

杞憂かもしれませんが、垣畑さんが行っているのようなカスタマーサクセスを担える人材の採用が今後やや難航するかもしれません。

もともと何年もITコンサルティング職は好景気で、外資や有名企業のITコンサル企業がこぞって採用しあっています。

私はビズリーチ出身で大手や外資のIT企業様との取引をしていたので市場感を理解しているつもりですが、この採用競争の激しさは群を抜いています。

私自身は、エンタープライズSaaSでITコンサルティングに近い人を採用する、という業務を自分は経験したことがないので、テックタッチ株式会社様のみなさんにも、話を聞いてみたいと思ました。

エンタープライズのカスタマーサクセスはチームプレー

note記事の中で、チームで顧客対応するような話がされていました。

Salesforceも、超大手向けのカスタマーサクセスにおいては専門的な人を集めてチームを作ってるようです。

IBMもカスタマーサクセスはチームプレーになっていると、先日対談したカスタマーサクセス部長の戸倉さんもおっしゃっていました。

テックタッチ株式会社様の製品の場合は、UI、ガイドやヘルプ設置、プロマネ、エンプラセールス、情報セキュリティなどの専門家で取り組んでいるはずです。

このエンタープライズのカスタマーサクセスを行うためのチームプレーについては、今後もいろいろな場面で話が出てくると思います。

難易度が上がり続けるカスタマーサクセスにどう対応していくか

代表の井無田さんの記事も読みました。

今後はSMB領域やグローバル展開、新製品やOEMなど、TAMとポテンシャルARRを伸ばすためにも積極的に取り組もうとされている意欲的な様子を伺えました。

一方、これによりカスタマーサクセスの難易度は上がっていくので、大変です。

採用難易度の高さや、カスタマーサクセス業務自体の難しさが増していくでしょう。

これに関しては、テックタッチ株式会社様はすでに何かしら対策を練っているはずです。

そして自社の採用を目的に情報発信も積極的にされていくと思うので、とても期待したいです。