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TwitterのX変更によるカスタマーサクセス戦略とは?広告価値を最大化する製品開発

Twitterが突然、Xにサービス名がリニューアルされてしまいました。この変更の裏に垣間見える、TwitterもといXのカスタマーサクセス戦略とは何かを解説します。

Twitterのような広告メディアサービスのカスタマーサクセスとは?

Twitterのカスタマーサクセスとは、既存顧客からの広告売上の最大化です。
Twitterの売上は広告主からの広告出稿売上が多くを占めていますので、優良な広告主を離れさせないカスタマーサクセス活動が求められます。
広告主にとっての成功した姿とは、広告出稿のROI(費用対効果)が合っていることがほぼ全てです。
メディアや、広告サービスを展開する広告代理店などが行う既存顧客業務は、多くは広告ROIがあったマーケティング活動の実現を、カスタマーサクセスとして行っています。

スーパーアプリとx.com

TwitterのX変更の背景はスーパーアプリ化です。中国には決済、メッセージ、SNS、ECなどが1つのアプリに統合されたメガITアプリが次々と生まれてきており、Twitterもスーパーアプリを目指しています。
もともと、x.comとはイーロン・マスク氏がPayPal立ち上げ時に付けたかった名前で、今から20年以上前に、今後、はかぎのようなサイズの小型端末でもインターネットを使える時代が来ることを見越して、短いドメインのほうがアクセスしやすいだろうと取得したドメインです。
このドメイン取得の背景にはイーロンマスク氏の先見性が垣間見えます。
当時、このドメインは反対が多く実現は出来なかったのですが、現在もスペースXなど 「X」をサービス名に入れており、Twitter買収のきっかけもこのXブランドの夢の実現のためのものでした。

TwitterがXにサービス変更することで実現されるカスタマーサクセス

話は戻り、ではTwitterがXに改名された昨今で、取り組まれてるTwitterのカスタマーサクセスの取り組みを共に見ていきましょう。
なお、Twitterはイーロンマスク氏がサービス面(つまりto C面)、リンダ・ヤッカリーノ氏が広告面(つまりto B面)という役割分担をして事業開発をしています。
Twitterの売上はto Bの広告売上のため、to Cのサービス変更によるto B(法人向け)サービスの影響、という観点で読み解くと、Twitterのカスタマーサクセス戦略がよくわかります。

Twitterのカスタマーサクセス①音声/ビデオ強化によるリッチな広告メニューの開発

まずは、音声/ビデオチャットの機能開発です。Twitterはもともとはテキスト投稿のサービスでしたが、Xになることで音声やビデオのチャット機能を強化しようとしています。

また、Twitterで音声やビデオ体験が強化されることで、to Bの視点に立てば、広告サービスのリッチ化が叶えられます。
直近では、ショートビデオ フィードを閲覧するユーザー向けに、全画面のサウンドオンビデオ広告の開発の検討を進めています。

このようなフォーマットは広告体験価値が高く、その分メニュー単価を高いと想定されます。このリッチ広告により広告主のパフォーマンスが高まれば、Twitterの売上と上がるのでwinwin(カスタマーサクセス実現)なわけです。

Twitterのカスタマーサクセス②クリエイター/インフルエンサー活躍による広告サービス改善

また、TwitterはXにリブランディングした同日に、クリエイター向けの収益還元プログラムを発表しています。
中国のスーパーアプリでは、レッドやタオバオライブなど、SNSのインフルエンサーがクリエイターとしてエンタメ投稿をし、これによる広告収益やEC売上を還元するようなプログラムが既に軌道に乗っています。
X含む米国のプラットフォームは実はこの仕組みに出遅れており、Xの発表と同タイミングで、一定のフォロワー数や投稿インプレッション数がいるユーザーは収益分配を得られるプログラムを発表しました。

また、イーロンマスク買収後のTwitterは、Creator Studio、Media Studioといった動画投稿やCTA誘導などがよりリッチにできるユーザー向け機能を提供しています。有料コンテンツの販売やアナリティクスの機能も強化されており、インフルエンサーの惹きつけに注力しているのです。

インフルエンサーが活躍すればTwitterもとい Xのトラフィックが増えますし、新しいアフィリエイト広告のメニュー発表も考えられます。クリエイターのフォローデータを活用した広告配信の最適化も可能性があります。
to Bの広告主としては、より多くのユーザーに、より強い購買促進を訴求できる期待があります。

Twitterのカスタマーサクセス③決済/フィンテック機能強化による媒体信用強化

スーパーアプリといえば決済/フィンテック機能です。
Twitterは既に米財務省の金融犯罪取り締まりネットワークに申請し、すでに送金業者として登録されています。
決済機能はマネーロンダリングやテロ/犯罪者への資金提供のリスクが発生するため、顧客や資金に関する監視が厳格化されます。
つまり、今後TwitterもといX利用において、登録項目や審査項目は厳しくなるだろうと想定しています。

しかし、これにより、アドフラウド(無効なインプレッション)が抑制され、広告媒体として信用強化につながることは間違いありません。
また、日頃の入出金で活用されることが普及していけば、トラフィック増加により広告の潜在インプレッション数(配信できる広告在庫の数)が増えていきます。
Twitterの広告をもっと出稿したいと考える広告主にとってこれはポジティブであり、広告信用強化×広告在庫増加によるカスタマーサクセスの実現に繋がるわけです。

Twitterのカスタマーサクセス④Google連携による広告主の利便性改善

先ほど紹介した動画フィードを活用した新しい広告メニューや、広告枠の信頼回復、これに加えて直近ではGoogle社との連携も強化しております。

https://jp.wsj.com/amp/articles/twitter-ceo-intervened-to-mend-google-relationship-after-cloud-payment-issue-88ac350e

直近で協議されているのは、GoogleによるTwitter出稿や、GoogleのTwitterデータの活用(API連携)など、Google広告の強化につながる提携です。
このタフな交渉は、現TwitterのCEOのリンダ・ヤッカリーノ氏でなければ難しかったでしょう。
ネット広告主の主な広告出稿媒体は、Google、Facebook、Twitterなので、 TwitterがGoogleと手を組み、妥当Facebookに動いているというわけです。

仮にTwitterがGoogleと連携して、Google広告の利便性や広告効果が高まれば、Twitterの広告主はほぼGoogleにも出稿しているわけですので、結果としてTwitter顧客のカスタマーサクセスに繋がるのです。

TwitterのX改名によるカスタマーサクセスの背景には製品開発がある

このように、TwitterがXに変わることでのカスタマーサクセスとは、Twitterの広告トラフィック増加(広告在庫数の増加)、Twitterの新型広告メニュー開発による配信効果強化、Twitterの信用回復による媒体価値向上など、ほぼどれもが抜本的なTwitterの製品改善によるものです。

つまり、製品開発によるカスタマーサクセスが大きいです。
Twitterはカスタマーサクセスのコミュニケーションを変えるだけでは効果はさほど変わりません。
製品側を大きくリブランディングと共に変えていくことで、顧客にとってのROIを改善し、法人顧客の取引金額アップを臨んでいるのです。

これはSaaSサービスでも同じ側面があり、本質的なカスタマーサクセス(顧客の期待効果、ROIの最大化)のためには、それを実現するための製品機能を用意しなければなりません。

openpageも、約3年前にリリースされたのですが、1年目、2年目、3年目とそれぞれ提供できる価値が上がっていったがゆえに、既存顧客からのリピート発注や取引金額の向上が発生しています。

カスタマーサクセスというとコミュニケーション戦略のほうが先立ちますし、openpageもカスタマーサクセスのコミュニケーションをデジタル化する製品ではあるのですが、Twitterの例のように、そもそもの製品価値改善によって生まれるカスタマーサクセスもあります。

カスタマーサクセスと製品改善ならopenpageにご相談ください

そこで、openpageではハイタッチのカスタマーサクセス担当がヒアリングした顧客の意見から、改善するべき製品機能案を顧客の生声とともに開発チームに共有するような機能を開発しました。
スタートアップの新規事業や、既存事業の拡張をするうえでの、機能開発のためのVoCをopenpageで集めることで、顧客のカスタマーサクセスのために製品を見直していく点でもお役に立てると考えています。ご興味やお悩みがある方はぜひお問い合わせください。