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シリーズ 糖と糖尿病③ インスリンが糖を取り込むまで。

ココがポイント!
① ホルモンの定義を理解しよう。
② ペプチドホルモンとステロイドホルモンの違いは?
③ インスリン受容体のはたらき。
④ GLUT4が出動して、血糖値が下がる!

ホルモンを出来るだけ沢山思い浮かべてください!って言われたら、インスリンか1番初めに浮かぶんじゃないでしょうか?高校の生物でも詳しく説明されるホルモンの1つですよね。

インスリンの次がバソプレシンかな?

ホルモンって言うのは、細胞に情報を伝達する物質の中で血流に乗って、全身へと広がる物質を指します。

駅とか街頭で配ってるポケットティッシュみたいにそこら中にまき散らす感じ。

全身の細胞が一斉に反応するのかな?

答えはノーです。

細胞にはホルモンを受け取る受容体があって、この受容体がある細胞だけが反応を示します。

この時、ホルモンを分泌する細胞を分泌細胞、受容体を使って情報を受け取る細胞を標的細胞と言います。
『融資します』って書いたポケットティッシュを配るウシジマくんが分泌細胞、ティッシュを見て『お金貸してください』って言う債務者が標的細胞みたいな関係です。

ホルモンには二種あります。ペプチドホルモンとステロイドホルモン。

ペプチドホルモンはアミノ酸で出来たホルモンで、水に溶けやすいので、血液に溶け込んで標的細胞へと辿り着きます。でも、細胞膜を通過できません。だから、標的細胞の細胞表面に中へと情報を伝える受容体というタンパクがあります。

ホルモンが結合した受容体はそばにいるタンパクを変化させます。このタンパクをセカンド(2nd)メッセンジャーと呼びます。セカンドメッセンジャーは色んなタイプがあるので、またいつか説明します。

ステロイドホルモンは油にも溶けます。だから、細胞膜を通過して中へ中へと染み込んでいきます。細胞質基質にいる受容体に結合すると、受容体から核内移行シグナルが出て来て、核の中へと運ばれます。

ワタシを核へと連れてってと言う感じですね。

核にはDNAがあります。受容体は決められた配列に結合して、特定の遺伝子の転写調節をする事で細胞に変化を与えます。役目を終えた受容体は、DNAから外れて細胞質基質へと帰って行きます。行くはずなんですが、帰るの面倒くさいですよね?だから、そのまま核内でホルモンがやって来るのを待ってるっていうのが多いです。

律儀にルールを守ってるのはグルココルチコイド受容体GRだけです。

最近では細胞膜にある受容体がエストロゲンと結合して、ペプチドホルモンの様に作用を示すという事も解ってきました。

そろそろ、生物の教科書も書き直さないといけないかもしれませんね。

インスリンは51個のアミノ酸で出来たペプチドホルモンです。受容体は当然、細胞表面にあるインスリン受容体です。

インスリン受容体はインスリンが結合する事で二量体を作ります。

すると,インスリン受容体同士が反応して変化します。受容体の変化はIRS→PI3K→Aktへと伝わっていきます。この変化はタンパクのリン酸化修飾という変化で伝わっていくのです。

伝言ゲームみたいな感じです。

GLUT4がくっつけてある球に伝言が伝わると,その球は細胞膜に移動して細胞表面に並びます。すると,GLUT4を通って細胞の中に入ります。このシステムで血液中の糖が少なくなるのです。

このシステムで糖を取り込んでいるのは筋肉と脂肪!つまり,筋と脂肪組織はインスリンによって糖を取り込むシステムなのです。
インスリン受容体からのシグナルは糖の取り込みだけではなく脂肪合成,タンパク合成,細胞分裂,細胞の成長などなど多くの作用を促します。

インスリンがたくさんある=栄養がたくさんあるって事だって,体全体が認識するんです。

よくできていますよね。


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