「由美子パイセン」 笑話 その9
●●物産株式会社
~~休憩室~~
由美子:あ、お疲れさまぁ、あ、ここどうぞ
沙知絵:あ、由美子先輩、新しいの飲んでるぅ
由美子:これ、イケるかもツブツブカピルス、
久子:結構CMやってるもんね、私も帰りに飲んでみよっかな
沙知絵:先輩って新しもの取り入れるの早いし、いつも会社で流行らせますよね、由美子先輩のアンテナにひっかかったものは、間違いなし!(笑)一生ついてきま~すキャハ
由美子:こらこら、おだてるなっつうの、でも、ま………そうかな
久子:ま、そうだよね、前は自転車通勤流行らせたもんね、社の駐車場ピストバイクだらけになったしさ
由美子:それはまぁ、たまたまよ、でもあったねそんなこと
沙知絵:と言いつつ、プツジョーの限定生産モデルのピストバイクで通勤してるから、真似できないですよ~カッコ良かったな~先輩のバイク姿
久子:それと、梅干しを自家製で作ったり、いち早く酵素スムージーを作ったり、本当最先端だよね
由美子:そう?なんかほめすぎじゃない、なんも出ないぞ、ハハハ
沙知絵:あ~でも今日はお疲れ様でしたね、午後やる気しないですよ、忙しすぎますよね、早く繁忙期終わらないかな~
由美子:毎年、この季節はね?ウペペル共和国とアガンパ王国との間接貿易が時期重なってるからねぇ、わかってはいるけど
沙知絵:輸入規制くらい融通きかせろよ~
久子:本当に、いや本当に、いやマジ切実に思う
由美子:お、冷静な久子が心こもってんじゃん、ハハハ
沙知絵:それにしても毎年思うんですけど、ウペペル共和国ってどこにあんのよ?って思いません?マジに、
由美子:ね、取り引き国としか知らされてないから、ホントどこだっていつも思う。いつも思うんだけど、繁忙期過ぎたら、忘れちゃうっていう、ね?ハハハ
久子:その毎年パティ~ンだよねハハ
沙知絵:で、こないだ勇気だして、ウペペル共和国、調べたんですよ、そしたら、(笑)
由美子:なになに?どした
久子:アフリカの国だっけ?
沙知絵:ウペペル3世って国王の画像が出てきて、(笑)
由美子:うん?
沙知絵:すんごい、親しみ感じたっていうか、すでに知ってる感があるのと、笑っちゃう感があって、
久子:なにそれ興味深い
沙知絵:ウペペル3世って誰かに似てるなぁ~って思ったら、お笑い芸人のワッキーに似てて、それも顔作ってるときの、ぷ、ギャハハハ!笑えません?これなんですけど!
久子:あ、マジ似てるかもハハハ
由美子:似てないよ、結構中近東に居そうなイケメンじゃん
久子:え、そうかな
由美子:志村けんみたいな感じっていうことでもあるし
沙知絵:先輩、マジですか?え?ワッキーの変顔に似てるんですよ、なかなか面白いネタじゃないですか?(笑)志村けんとはちょっとぉ…違いすぎません?ハハ
由美子:カッコいいじゃない、ワッキー。筋肉質だし、沙知絵ちょっと言い過ぎだぞ~ハハ
久子:言われてみれば、そうかも、見方によっては、イケメン?あ、いやいや、それは無い~(笑)
沙知絵:先輩、どうしちゃったんですか!先輩のアンテナちょっとピントずれちゃってませんか、いや~ありえないわ、ねえ?(笑)
由美子:あのねぇ、魅力ってのは顔じゃないんだよね、雰囲気なんだよねって言ってんの、ウペペル共和国の王なんだよ仮にも、イケメンじゃん、ワッキーにも似てるんだから
沙知絵:ハハ…え、意外、一緒に笑ってくれると思ったのにな…だって、ワッキーですよ…笑ってしまいません?
久子:私は笑った
由美子:あんたわかってないよ、真のイケメンを
沙知絵:いえいえ、多分ですけど、ここは私間違ってないと思いますし…それにしても先輩、いったいどうしちゃったんですか、ワッキーごときで、もう、先輩ってば(笑)笑ってくれたら、楽しく休憩時間過ごせませんか?
由美子:ワッキーごときで?…はぁ?あんたにワッキーの何がわかるっての?
久子:由美子、ちょっと、やめよう、ただのネタなんだし、そろそろ休憩終わっちゃうよ
由美子:あんたにとってネタかも知れないけどね、ここへきて自分たちがワッキーの魅力知らないのをいいことにマウンティングしすぎじゃない?それに下品だよ、あんた
沙知絵:先輩、、私、そんなつもりじゃないし、休憩時間に、みんなで楽しく過ごしたくて、ネタとして話しただけなのに、ちょっと、下品とか、先輩の口からいくらなんでも聞きたくなかったです、、じゃあ聞きますけど先輩にとってワッキーってなんなんですか?
久子:沙知絵、やめよう、どっちも言い過ぎた、これでいいじゃない、これ以上は危険ゾーンだよ、今なら引き返せるよ
由美子:ワッキーがどうってわけじゃないのよ、ワッキーをバカにする、沙知絵、あんたが下品で卑劣だって言ってるのよ!
沙知絵:先輩、そんな言い方ひどい…私、ワッキーなんて知らなければ良かった、知らなければこんなことにならなかったのに…理不尽、でもホント理不尽だと思います、
由美子:あんた、つくづくずるいよ、私を悪者にして、久子を味方につけるってか?
久子:由美子、もう止めて!私はどっちにもつかない!なぜなら、ワッキーがイケメンかブサイクかなんてどっちでも良いから!
沙知絵:それって丸っきり、玉虫色の日本人ですよ、久子さん
久子:あんた、私まで巻き込む気!もうノーカン!おしまいにしよ
由美子:沙知絵、わかった、私もあなたの休憩時間にたわいもない会話したかったという想いは理解するわ、私もそこは大人。譲歩するわ、なので『ワッキーごときで』って言うの、これだけは、訂正して可愛い後輩をぶん殴りたくないから、まだ理性があるうちに!本当にお願いだから、訂正して!
沙知絵:先輩、言ってませんでした?私小さい頃、ディベートの国、アメリカに住んでいたことを。そこは、譲れません、なぜなら、それを言うくらいなら舌噛んで死にます!
なんか泣きたくなってきちゃったな…
久子:あちゃあ…ディベートの国、アメリカ?
由美子:はぁ?、下手に出たらこれだもんね。でた~、アメリカ様ってか?ただ訂正してって言ってるのに、死にますだぁ?いい加減にしなよ、お里が知れるよ、あんたのことぶん殴らなきゃいけなくなるよ、これは警告!私は止めれるなら止めたい、けどあんたが…
沙知絵:先輩、ひどい…絶対許せない!先輩こそ、謝って欲しい、私、ものすごく尊敬していたのに、なんでそんなに感情的になるのかわからない、あんな毛むくじゃらの男性ホルモン野郎に!
由美子:ハ…ハハ、とうとう馬脚をあらわしたね、あんたはそういう女、結局はワッキーをそういう性的に嫌悪しているっていうこと、だから軽々しく、『ワッキーごときで』っていう言葉がポロリと出ちゃう、それが本音だから!もう無理だ、抑えられないわ
沙知絵:はい、本音ですけど、はい。
由美子:はぁ?
――――――――ー
部長:かれこれ昼休憩から5時間、彼女たちはいったい何やってるって言うんだ!休憩室籠城までして、……おい!何があったんだ!
久子:最初は、穏やかに、新発売のジュースの感想なんか言いあって和やかだったんですけど、ワッキー、えっと、お笑いグループペナルティーのワッキーという男性芸人の容姿の形容の話になると、由美子と沙知絵が激昂して、沙知絵が自販機に数回以上頭を打ち付けられ、流血して、由美子が沙知絵に背を向けた瞬間に首を絞めて沙知絵がマウントを奪い、由美子の顔面につばを垂らし…
部長:久子、お前見てたなら止めろよ、
久子:私だって危なかったんですから、由美子に縛られそうになって慌てて逃げてきました…
部長:なんでこうなった、ワッキーだがワックスだが知らないが
ちあき:あのぉ、、由美子先輩、結構オシャレだし、最先端なイメージあるんですけど、私見ちゃったんです
部長:なんだ、見ちゃったって
ちあき:おそらく、なんですけど、その、ワッキーみたいな彼氏さんと馬喰い横山の立呑屋で飲んでるのを、
部長:ワッキーみたいな?はぁ?それがどうした、君ら女性にとってワッキーってのはなんなんだ!あ?
ちあき:凄い嫌悪するか、神として崇拝するか、どちらかしかない、そういった、存在、かも…ちなみに沙知絵は、…彼女、2歳までアメリカ住んでた帰国子女なんで…許せなかったんだと思います…華やかでなんでも有能なリーダータイプの由美子さんの唯一のアキレス腱…それがワッキー似の彼氏なんです…
部長:唯一のアキレス腱って…なんだよ、それがワッキー?なんなんだよアキレス腱って…政治家かよ…とにかく、5時間もいい大人が我を忘れて、血流してまで喧嘩しているんだ、警察呼ぶか…なんだよ、まったく、ワッキーって
久子:それしかないですね、あ~なんでこうなっちゃったんだろ…
それ以降、●●物産株式会社の休憩室に
『争いの元となるため、休憩中にワッキーの話題を出すことを禁ず』と貼り紙が貼られることとなる
っという夢を見た…
~~「由美子パイセンのアキレス腱」完~~
ひとつよろしくお願いいたします