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芸人なんてならなければ良かった

楽しいから。もうこの世界以外で生きたくない。どうしてくれるんだ。辞めたくないのに、先の見えない不安や重さにいつだってため息が出る。ずっと悔しくていやになってくる。売れるって思って生きてるの、おこがましいですよね。芸人って名乗れるんだ、自分。いつだってずっと床ばっかり見てたのにね。節目なのでだらだらと書きます。どこかで言ったことばっかりだと思います。ごめんなさい。こんなやつもいるんだ〜と夜更かしのお相手にしてくれたら。

私は3年前の2020年4月1日に浅井企画に所属しました。コンビとしては2019年11月2日に相方の大学お笑いサークルのOBライブに出演してボールペン投票の数が1番多かったからか翌日に「組みました!」とツイートされていたので結成しました。2ヶ月くらい"ユニット"や"お試し"と言われていたのでびっくりしましたが、組んだとなったら地下のフリーエントリーライブに出てモネさんのおかげでユニットライブに入れてもらったり、新道さんのおかげで新聞に載ったり、最下位1回と優勝2回で事務所に所属したり、オズワルドさんのYouTubeに出させてもらったり(結果的に家探し2回と恋人探し1回の3回)、芸歴3ヶ月でゴッドタンに出たり、ラジオに呼んでもらったり、お笑いナタリーに載ったり、人生初めてのM-1の2回戦でYouTubeに動画があがったり(3回戦が無かった年)、コ口ナ禍で始まった1年目にしては恵まれた良いスタートダッシュを切った気がした。

だけど2年目と3年目はなんっにもなかった。びっくりしちゃうよね。でも焦って落ち込む私に、仲の良い芸人さんが「何にもしてなかった訳じゃないし、新しい漫才の形も見つかったのは進歩だよ」と声をかけてくださった。少しだけ救われた。2年目のM-1は1回戦を再エントリーで通過した。1度落ちることを経験できたのはこの先に役に立った気はするけど、漫才を主にやっている身としてはもう避けたい。KOCやWで二回戦に行けたりもした。R-1は2連続1回戦落ちだけどまあ一人で自分の好きなことをやれる時間をお金で買ってると思えば良い。芸歴重ねたらピンもなんかどうにか頑張れてる。この先にもっと技術が付いたときに活躍できたら。

個人の目標で、"一年に一回はテレビに出る"を心がけている。2021年〜2022年はたまたまプライベートな出来事のおかげで定期的にテレビに出させていただけていた。一個人の出来事ではあったけれど、勇気を出して良かったなと思っているし、そのおかげでたくさんの経験をさせていただけた。すごく感謝している。そんな番組も終わり、あまりにもテレビに出られなくてどうしようもない中、さらば青春の光さんのYouTubeに出させてもらいに行ったら一瞬テレビに出たくらいの反響があった。2023年は2月に"にらめっこ"でテレビに出られました。最高すぎるだろ、この世界。辞めたくないよな。

私は2014年4月に養成所に入学しました。どうしようもない大学生活から逃げるように生きられる場所としてひとりで入学して、偶然の共通点があった相方を見つけて、そして2015年の3月に卒業しました。事務所に所属が出来ずに諦めました。所属合格者のメールに自分たちのコンビ名が無くて泣いた。1年頑張ってだめだったら諦めよう、と思っていた。素人の20歳の私ですら芸人は売れなくて辛い時期があることを予想が出来ていたから。きっぱり諦めて働いた。そして同期からお客さんとして誘われるライブを断れずに見に行っていた。いつしかそれが楽しみになっていき、お笑いライブに通っていた。しっかりといわゆる"推し"も出来た。500円で見られるフリーライブに2000円分くらいの差し入れをしたキモい時代もある。止め時の分からないDM。出待ちがあるのかないのかの探り合い。芸人側になって分かる嬉しさと申し訳なさととにかくありがたいの気持ち。でも、この時代があったから今の自分のバカみたいな地下の知識はあると思うし、応援する側のいわゆる"女ファン"の気持ちは痛いほど勝手に分かってる気がするんだ。みんな大丈夫だよ、法律とモラルとマナーは守れば。どんなことだって時と場合と人によるから。価値観は人それぞれ。分かり合えるときだけ分かり合えば良い気するよ。マッチングアプリによくいる"俺お笑い分かってます男ファン"は分かりあえなかったし。そんな現場ヲタクをしていたら見に行っていた同期のコンビが解散することになった。発表前にこっそり教えてもらったとき普通に泣いちゃった。こんな面白くても解散するんだ、こんな愛されるひとでも辞めなきゃいけないんだ、と思って。悔しくて。だから私が芸人に戻ろう、と思った。それで今の相方と知り合った。それから先述の経緯で芸人デビューをしました。

4年目か。周りの人が結果を出していくたびに落ち込むよ。おめでとうと思いきれないよ。29歳で芸歴4年目の独身女はだいぶ人生崖っぷち負け組すぎる。でも他人(相方)の人生もあるから簡単には辞められないんだ。売れない時期が耐えられないと思ったから諦めたはずなのにな。でも楽しいんだよ、芸人。人生で養成所に通っていた1年が1番楽しかった。芸人になってから経験させてもらえたキラキラの時間も楽しいし、しんどい環境すらのちに笑えるけれど、先の見えない賭けな人生すぎる。このまま続けても売れない可能性のほうが大きいんだよ、どうしても。せめてライブのギャラだけで生きていけるくらいでも良いからなりたいよ。テレビに出たいけど、キャラクターも武器もない。人生を捨ててるしかないんだよ。芸人になんてならなければ良かった。楽しくて辛くて辞められないから。相方だけじゃなくて、時間やお金や気持ちを費やして応援してくださる方々とか、可愛がってくれる先輩とか、背中を押してくださるライブ関係者さんとか事務所の方々とか、こんなに離れたくない環境や人脈や経験が増えていくとは思わなかった、辞められないじゃん。

新年度、新しく芸人を目指してこちら側に踏み込んだ人々にあっという間に抜かされちゃうのかな。ポジション取りの争い。負けたくないよ。なんにも持ってないくせに負けたくない自分ださすぎる。

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