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このセリフを言うためには?【物語を作る】#2
「もう乗りません。わたしにはもう必要がなくなったから」
このセリフは、セリフとしていきなり自分の中に登場したわけではありません。わたしの妄想で浮かんだのは、夢幻鉄道が自分の前に現われたものの、乗車せずに列車が出発してだんだん遠くへ行くのを見送るシーンです。
淡いピンク色のもやがかかる中で、夢幻鉄道のライトがぼんやりと浮かんでいます。ライトの光はもやに溶けて、滲んで、境目が分からないような柔らかい明るさです。まっすぐ進めない光。現実世界のモノをもやで多い隠している中、列車が自分の前で止まります。
自分の頭に浮かぶ映像を言葉にするのは難しいですね。今書いた言葉は適切ではない気がします。これを言葉にできるのが『作家』なんだろうなぁと思います。
とにかく、自分と列車の二人きり?という、明らかに「乗りなよ」という空気の中で、乗らないという決断をすることが印象深く残りました。
もし自分の目の前に謎の列車が現れたら、わたしは絶対に乗りません。このまま乗ったら、一生戻ってこれないんじゃないかと思うからです。自分が夢を見ていると思えるなら乗るかもしれませんが、これが現実だと認識しているのであれば、本当に怖い。あの世へ連れて行かれるんじゃないかという恐怖に襲われます。
でも乗っていただかないと話が進みません。夢幻鉄道の二次創作なのに、しょっぱなから「乗りません!」と言われるとちょっと困る…。
何か『怖いと思うけど夢幻鉄道に乗る理由』が必要ですね。もしかしたら、うっかりあの世へ連れて行かれるかもしれないのに、それでも乗らざるを得ない理由…。これは全然考えていなかったです。考えてみます。
乗らないことを決めるシーンが浮かんで、これはどうしても使いたいと思い、最後に持ってくることにしました。そこから冒頭のセリフに繋がりました。
何度か乗って、誰かの夢の世界に行っていたのに、あるとき「もう行かない」と決断する理由は何でしょうか。
考えられるとしたら、
・望んでいるものを得た
・望んでいるものがないと分かった
こんなところでしょうか。
基本的に異世界へ行くお話というのは、現実世界で得られなかった何かを異世界で得ようとします。違う世界へ行く物語で好きなのは、『はてしない物語』と『十二国記』です。前者は主人公が『愛すること』を得て現実世界に戻ります。後者は『自分に正直に生きる』ことを得て、現実世界には戻りません。
夢の世界は、夢を見ている人が目覚めると消えるので、必ず帰ってこなければいけません。何かを得て帰るのか、得られずに帰るのか…。
考えることがまだまだあります。
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