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幻聴が「幻聴」だと気がつけたきっかけ

※今回の記事は、ちょっと長いです

今思うと、私は、高校生の頃から幻聴を聞いていたのだと思います。

それから約15年ものあいだ、その聞こえてくる言葉たちが本物だと信じて生きてきたのです。

私はずっと、「どこにいても」「どんな人にも」「必ず」、同じことを言われる、と信じていて、悩んでいました。

その内容は、例えば容姿のことだったり、独特な声質のことだったり、着ている服、言動、表情、などのことで、ほとんどが中傷的内容でした。

人のいる場所にいると、「必ず」中傷されるので、私は人のいる場所に己の姿を晒すのが大嫌いでした。

例えばディズニーランドにいても、見ず知らずの方からたくさん陰口を言われるので、いまいち楽しみきれず、苦痛でしかたがなかったです。

もともとアスペルガー気質で、変わり者に見られることが多い私ですので、実際に言われていることも多々あると思います。

ただ、幻聴の場合、実際に言われている内容よりも遥かに「エグい」のです。
今冷静に考えれば、大の大人が誰もかも、見ず知らずの人にそんなこと言うわけないじゃんw と分かりますが、幻聴に気がつけていない私にとって、外の世界は「常に人に監視され、批評される」苦痛な場所でした。

私は化け物のような容姿をしていて、人目をひいてしまうんだ

私の脳が、そんな状態の日常になる理由を探した結果、「自分の容姿が極端におかしいせい」だと判断し、20代前半からは、鏡を見続けておかしい箇所を何時間も確認しつづける、という、醜形恐怖症の方のような状態になりました。

化粧をして、髪型を工夫して、なんとか、目立たないように、普通に見えるように、努力していました。

うまく身支度ができなかった日は、外にでることもできません。もちろん仕事にも行けません。
マスクをしてごまかしても、常に「マスクを外さないといけない状況になったらどうしよう」という不安が尽きず、まったく落ち着けません。

また、根本的に、私が目立ってしまうのは、低身長や頭部の大きさなど、骨格によるものだと思っていたので、整形することもできない絶望感で、毎日鬱々と暮らしていました。

10年以上、自殺方法について考えたり、いざ自殺しようとしても怖くて死にきれなかったり、そんな日々でした。

まだ、少しの希望もあったからだったと思います。きっといつか、なんとか生きていける方法が見つかるんじゃないかと、必死に本を読んだり、ネットで検索したりしていました。実は根っこがかなり前向きなタイプなのだと思います。

もうだめだ……精神科に

それでも27歳の頃、八方塞がり感に途方に暮れて、いよいよ精神科を受診しようという気になりました。

それまでも、高校生の頃に社交不安障害と診断されて以来、ソラナックス(抗不安薬)を何度かもらいに精神科にはお世話になりましたが、今回は趣旨が違います。

【もっと、根本的な問題に着手したい】。

容姿を治すのは、生まれ変わらない限り、無理だ。諦めて、なんとか人前に出て中傷されながらも生きていく力をつけるしかない。

理屈では分かっている。分かっているのに、鏡をみる確認行動が、どうしてもやめられない。

……というのは、もしかしたら、自分のこれは、「自閉症のこだわり」からきているのではないか?

と、考えたのです。

醜形恐怖症的なのは、間違いないでしょう。
でも、そもそも、そこまでこだわってしまうことや、容姿の違いを吹っ切って、さっさと楽しく人間関係をつくれないことが、おかしいなと感じていました。

理屈では、わかるんです。他人は、人の容姿をそこまで気にし続けない。まぁ最初は、インパクトのある見た目に笑うかもしれないけれど……。
それでも大切なのは、その人のキャラクターで、たとえ容姿がよかろうが嫌なヤツだったらそいつは嫌なヤツなんです。
私みたいに、容姿が変なら「面白いキャラ」でいけばいいじゃん。わかるんです。理屈では。しかも恵まれたことに、私、人を笑わせるのは大好き。

……なはずなのに、私のギャグはまったく人に受けないし、むしろ場を凍らすことばかり……。空気がぜんぜん読めないみたい。今言っていいのか悪いのかがわからないのよね。

根本的な問題って、こっちだよな、というのがその頃の私の結論でした。

自閉症やアスペルガーについての知識は、かなり早い頃からありました。けれど、それが自分とは結びついていなかった。
高校生の頃、同級生に、積極奇異型っぽい変わった男の子がいて、「あ、あきらかにこの人アスペルガーってやつだな」と思った記憶があるので、図書館かなんかで本を読んで知っていたのでしょう。


アスペルガー症候群の診断がついた

それで、私は、今までお世話になっていた精神科とは別の場所へ、通院を始めました。
そこは、「発達障害」や「LGBT」など、様々な診断をしたりカウンセリングルームも併設しているようなところでした。

そこで、2時間ちょいかかったかな…?(忘れてしまった)簡単なテストのようなものを受け、私はアスペルガー症候群と診断を受けました(今は、広汎性発達障害と呼ぶようになってきました、というようなことを医師から教わりました)。

それに、ADHDの傾向もあるということで、薬を出していただけることになりました。

そのころ不眠もあり、うつ病状態だということで、抗うつ剤なども一緒に。

あ、書いていて突然吐き気がしてきました。
かなりのトラウマ体験をしたのです。
簡単に言うと、その病院で出された薬や、医師と相性がすこぶる悪かったようで、私は薬の副作用で心身ともに壊滅状態になったんですよ。廃人です。ああ手汗が噴き出して止まらない止まらない。いったんその話はやめにします。またいつか書きます。
今回は、幻聴と気づくに至るまでの話でしたね。

身体や、人間関係に無理のなさそうな、工場の仕事を選んでみる

廃人状態になってから、回復するまで1年以上かかりました。薬を飲んでいた期間はたった一ヶ月ちょいなのに、離脱症状に耐えながら断薬するのにそこまでかかったんですよ。
よく自殺しなかったなと思います。やっぱり根っこが前向きで粘り強いんだと思います。
でもそこですっかり家族からの信頼のようなものは失った気がします。

……で、働くのに、「工場の仕事はどうかな」、と思い至ったのが、かなりの幸いでした(不幸中の幸いともいう)。
その頃私は職を探していて、アスペで人間関係がダメでももくもくと働ける仕事を、と考えたときに、たまたま目にした工場の軽作業の仕事がピッタリなんじゃないかと思ったのです。
なぜか、いままで工場は選ばなかった。
というのも、接客などが含まれる仕事で、対人の練習をしないとダメ人間のままだ、と自分を追い込んでいたからです。

工場のよさそうなところはもう一個。ある程度人が多い職場ならば、私みたいに見た目がおかしいとか変人とかがいてもさすがに目立たないだろう。たぶんいろんなタイプの人がごろごろいそうだから大丈夫!という点。

結果、その選択が、私の人生を一歩先に進めるきっかけとなりました。

あれ? 工場に今一人なはずなのに、人の声が聞こえる…

その工場で働き始めてからも、やはり今までの職場と変わらず、私の容姿のことや、言動のことなどで、たくさんの人からヒソヒソと陰口を言われる日々でした。

「やっぱり、工場でも私は悪目立ちしてしまうのか…」

どこにいても、人の集まる場所に出れば、いじめを受けている気分。

監視され、批評され、あることないこと噂され、笑われ、もう、どこにいても身の隠れ場所がありません。

唯一、休憩時間に自家用車で休んでいるときだけは、一人になってほっとできると思ったのに、なぜか、誹謗中傷の声が、車のなかまでハッキリと聞こえてきます。

「隣の大きな車に、数人人が乗っていて、私の陰口を言って笑っている…」
カーテンがしていて中は見えないものの、私は確信しました。

次の日、駐車場所を変えても、今度は、外の喫煙所から数人の男性の声で私の陰口が聞こえてきます。

「軽自動車って、外の音丸聞こえなんだな…やれやれ」

私はイヤホンをして、ごまかして過ごしました。

そして、とある日の休憩時間、うっかり工場内に私物を置き忘れたことに気が付きます。

そこの工場は、昔ながらの町工場という感じで、特に厳重なセキュリティなどもなく、中に自由に出入りできるようになっていました。

ただ、休憩時間には、すべての人が、休憩室や自家用車で休憩をとるため、基本的に休憩時間に工場内に人がいることはありません。

その日、私物を取りに行くために、私は自家用車から出て、一人工場内に足を踏み入れました。

……そしたら、おかしいのです。
今は休憩時間で、だーれもその空間にいないはずなのに、「いつものような誹謗中傷が聞こえる!!」!

数人の男女が、私の陰口でクスクス笑っているのです。

私は、大きな機械の後ろに、何人か隠れて私をみているのかと思って、あちこち機械の間を覗いて見てまわります。
けれど、確かに「誰もいない」。

これが、私が幻聴に気づけた最初のきっかけでした。

でもどうしても信じられない。

この体験でものすごい衝撃を受けた私は、自分の脳が恐ろしくなってパニックになりました。幻聴!?幻聴!?それじゃアスペルガーとかじゃなくて統合失調症ってことじゃないの!?

……でも、統合失調症の人が、自分の病気を自覚することなんて、あるのか?

混乱していても、仕事の時間はやってきます。

作業中も、常に男女の陰口、あることないこと、延々と、聞こえてきます。
私の動き方や、表情を監視し、いちいちケチをつけてきます。
挙句の果てに、ちょっとトイレに行こうとすると、「うんこ?」「うんこじゃね?」クスクスと、トイレの中までついてくる始末。

違うわい、うんこは今朝家でしたっちゅーの!

常に人に見られている感覚に、私は気が狂いだしました。

今の私がこのときの状況を冷静に考えると、『事実1割、幻聴9割』という感じだと思っています。

変わり者なので、どこにいてもたいてい人の話題になりがちなのは、紛れもない『事実』なのです。
 
だから、実際人の集まりがこちらをみてヒソヒソうわさ話をしていることも見るし、陰口だって言う人だっているでしょう。

ただ、そういう現実世界と違って、幻聴世界は、「斜め上をいくエグさ」。

現実での出来事が、まるでよりドラマティックに、悲劇的に、強烈に、味付けされているような感じです。

私はもうパニックになって、どうしようもなくなって、その工場に立っているだけで精一杯な状態でした。
もう一秒でも早く、外に出たい。
まるで頭の後ろらへんに2つ、オリジナルラジオを流すスピーカーがドローンのように常についてくるような感じでした。

そしてそのラジオの内容は、「あいつ生きてて恥ずかしくねーの?」「あれわざとやってんだろ」「かわいこぶってんじゃねーよ」「マジキメー」「わたし、ああいう人、大っきらい」「なんであいつ採用したんだよ」「なんであいつここにいんの?」「なんであんな顔すんの?」「あ、動きがとまった」「聞こえてんじゃないの?」「かわいそークスクス」

「早く死ねよ」


もう一か八か、人にすべてを話して確認してみる

私はもう、限界でした。
それで、もし、職場の人が、このようなことを毎日毎日、本人にわざと聞こえるように話すようなことをしているのなら、それはもう立派なハラスメントではないか、という結論にいたりました。

ただ、無人工場で声が聞こえる事件もあって、私はもう、なにが本当でなにが勘違いなのか、わけがわからない状態でした。

ただその場から逃げて仕事を辞める、という選択もできました。でもそうすると、今までの職場と同じことの繰り返しでした。
この工場ほど強烈ではなかったものの、私はアスペルガーな自分の特性や、今思うと「幻聴」による勘違いのせいで、過去の職場を去ってきたのでした。

もうなんと思われてもいいや、と開き直りました。どうせ、もう、どう生きていけばいいのかわからないから。だめだったら、究極死んでしまえばいいから。もう、失うものはない、どうにでもなれ!

私は、意を決して、一人の女性社員さんに、相談することにしました。

その方は、直接作業の指導をしてくださっている方で、作業場も一番近く、だからこそ人の話し声について聞きやすかったのです。

もし、幻聴でないのなら、その社員さんも、同じように声を聞いているはずです。

もちろん、その方も誹謗中傷の「グル」で、「そんなことないよ〜」と流されて終わり、ということも考えました。

でも、もう、他に打つ手がなくて。もしかしたら、ここは、私の人生の問題の「根っこ」に関する重要な局面なのかもしれない、という予感がしていました。

想像以上に、まわりが私の心配をしだした

案の定、社員さんはとても驚き、私に聞きました。
「えーと、向こうから話し声が聞こえるんですよね?男性ひとりと、女性ひとりの」

「そうです。ずっと私の作業を見ていて、それについて話していたり、なんだか監視されているようで落ち着かないんです…」

「そうですか…。でもおかしいですね。確かに男性は何人かいるんですが、この時間向こうに女性の方は一人もいませんよ…。それに、男性の方も、とても人の陰口を言うようなタイプじゃなくて…」

女性社員さんはその後、他の社員さんに私のことを相談したらしく、その後工場長が私の話を聞きに来たりしました。

私は必死にあったことを訴えるのですが、みな首を傾げるばかり。

「あーやって、人って病んでいくんだね」「お前のせいだぞー」クスクス…

そうこうしているあいだにも、声が聞こえていましたが、それが実際に言われていたことだったのか、幻聴だったのかは、今の私にもわかりません。

ただ、その後、普段は工場に現れない管理職の方まで私に話しかけてこられたので、驚きました。

その方は、うんうんと頷きながら、じっくりと私の話を聞いてくださいました。そして、その後に、言われた言葉が、びっくり。

「俺、大岡さんみたいな知り合い、いっぱいいるんだわ」

「……へ?」

「いやー、完璧に同じではないよ、でも、幽霊の声が聞こえるとか、そーゆー人よ」

「幽霊……」

私は正直、その手のものはまったく信じない人だったので、その言葉にあっけにとられたのと同時に、(いや私は真面目な話をしているんだけど……)とモヤモヤしました。

でも、話しを聞いているうちに、その方は、決してふざけてその話をしているわけではないとわかりました。

しばらく、イタコみたいな人の話や、不思議な人の話が続いたあと、真剣な顔をして、私に言いました。

「大岡さん、病院なんかに行ったら、だめだよ」

「……へ?」

「病院に行って医者にかかったら、きっと統合失調症だなんだって言われておしまい。でも俺は、そーゆー人達は、なにか特別な能力があって生まれてきている人なんだと思っているんだよ。なんでもかんでも病気、にしなくても、今話した人達みたいに、不思議な世界で生きている人もいるんだからさ。」

「……」

「だから大岡さんも、自分の特殊能力だと思って、それを良い方向に使えるように、練習していけばいいんじゃないかな。今はその力が制御できなくて、悪い方向にいっちゃってる」

気がついたらなぜか私は涙がとまらなくなっていて、でもそれは別に感動でもなんでもなくて、半分は「茶化しやがってコノヤロー!中二病じゃねーんだからよ」の怒りの気持ちだったけれど、その管理職の方に思いっきり肩をバシーンと叩かれて、はっとなりました。

「大丈夫!大岡さんならできる!大丈夫!俺が今、気を送ったから!」

やっぱり中二病っぽかったけれど、そんなに真正面から人に大丈夫と太鼓判を押されたことが新鮮で、なんか自然とおかしくなって笑ってしまいました。

細かい話の言い回しは、完全にこの通りだったわけではないけれど、内容はざっとこんな感じだったのを、覚えています。

今でも時々、その方のことを思い出します。

そうそう、年齢もなにも書かなかったけれど、50〜60代の男性の方でした。

私が同じ年くらいになったときに、同じように悩んでいる若い人に「あなたならだいじょうぶ!気を送ってやる!バシーン!」とやれる人生の先輩になれたらいいよなぁと少し憧れます。

そんなこんなで、私が『幻聴を聞いている』という事実が証明されました。


私生活すら幻聴に支配される。でも事実なのかもしれない。わからない。アスペだから。

たとえ幻聴だとわかったところで、すべてが即座にハッピーになるわけではありませんでした。

工場では、完全にこれは幻聴だ、と分かっていても、延々と嫌な声が聞こえ続ける始末で、私はパニックになり、イライラし、ついにいきなり「うるせぇー!」と怒鳴り声を上げだす始末。

何でも相談にのるよ、と社員さんたちは言ってくださるものの、私は申し訳無さと、脳がおかしくなったようなパニックで耐えられず、その職場を去りました。

実はその頃、並行して、住んでいたアパートでも幻聴が聞こえだしていて、私はもう24時間一人になれる時間がないような心地でした。

アパートは二階だったのですが、一階の人の話し声が、筒抜けで聞こえてくるのです。

内容は、私と、一緒に住んでいた母に対する、苦情のようなものです。
それになぜか、一階の人は、私のいままでの人生がどうしようもない状態であることをすべて知っていて、それについて笑っているのです。

幻聴だと気がつけていなかった私は、それを本当の声だと思い込み、実際に一階にチャイムを鳴らしに行く始末。

迷惑をかけているのなら、謝罪しないと、と思ってのことでした。
男性の方が出ました。

私は、騒音などで迷惑をかけていて申し訳ございませんということと、一緒に住まわれている女性の方にもお伝え下さいというようなことを言った気がします。

「……女性?居ませんが……」

トビラが閉まったあと、どこからともなく、「あいつ、腰低すぎー!」「だから嫌われんだよー!」と、いつもの女の人の声が聞こえてきます。

(やっぱり、部屋の中に女の人がいる…?バカにされてる?笑われてる?)

これも、いまだに完全な幻聴なのか、本当にからかわれて遊ばれていたのか、事実はわかりません。

幻聴の可能性が「ほぼ」なんだろうけれど、私はアスペルガーでもあり、人にからかわれやすいのも事実。本当に、わからない。

うすーい、「からかい」「うわさ話」という事実があって、それを脳が幻聴を使ってダイナミックにこってり仕上げている感じなのかしら。多分そう。

県外に出ても、アパートの二人が追ってきた!!

私は、しばらく親戚にお世話になることになりました。

というのも、地元にいてはもうどこもかしこも監視の目で、逃げ場がなく、辛く、にっちもさっちもいかなくなったからです。

こう書くと、本当に、統合失調症の症状みたいですね。
でももはや、薬で治す、という選択は絶たれたので、精神医学的な診断名とかどーでもいいですけれど。

その親戚とは、普段あまり多く交流があるわけではなかったので、最初は少し緊張しましたが、とてもいい方々で、良くしてくださって、今でも大感謝しています。

初めて地元を出て、飛行機に乗り、私にとっては大冒険です。

そこは気候も方言も地元と違って、自分のことを誰も知らない、と確信をもてる環境で、数年ぶりに心からリラックスできました。

のはずが……

「なんでついてくるねんッ!!」

地元のアパートの二人が、親戚の家についてきたのです!

これで、本当の本当に、そこで聞こえている声が「幻聴」だと確信しました。だって方言違うもん 笑

地元のアパートの声は、本当の声だった可能性もまだあります。

でも、県外で聞こえている声は、その時のストレスを脳が反芻しているのか、なんなのか、理由はわかりませんが、「幻聴」なのは確かです。

この経験をして、私は、自分の人生をなんとかやりくりする手がかりを、やっと見つけた!と、最高に開放的な気持ちになりました。

実際、それから自分の行動が、変わりました。メンタルの波をやりくりするポイントも掴めてきました。

ここまで、長かった…。本当に。

ただ、私がアスペルガーなのは変わりがなく、幻聴が聞こえるのもいまだ変わりありません。

なにが変わったかというと、自分の状態が客観的に分かったことで、具体的に効果のある対策が練れるようになった、ということです。これってものすごく大きい(いままでの、見た目をなんとかするとか対人術を学ぶとか、スピリチュアルにこるとかはちょっと的外れだった)。

あともう一つ、あの工場の管理職の人じゃないけれど、アスペルガーだったり幻聴だったりを治そう!改善しよう!というんじゃなく……、

このまま、生きてやろう!生きる方法を見つけよう!そしてあわよくば、このままで人生乗り切って楽しんでやろう!

という気持ちに変わったのも大きいです。

このまま、汚いまま、生きていく。でもそれが人生ってものなんだよね。

世の中に、頑張ってない人なんて、いないんですよね。例えはたからみて、恵まれているように見える人でも、その人にしか分からない悩みがあったりする。

生きていたら、老いていくし、病気にもなるし、必ずいつか死ぬし、みんな、平等かも。

……んー、やっぱ、平等はないなぁ……。でもみんな、頑張ってる。それは間違いない。引きこもりの人だって、己と戦って葛藤しているはず。

だから、私も、自分の人生を悔やまず、人を妬まず、このまま、精いっぱい生ききってやろうと思います。

なんだか思い出すのも苦痛な過去話を書いていて、気持ちが悪くなりそうだったので、最後はクサイいい子ちゃん発言でまとめてみました。

長くなりましたが、以上が、私と幻聴との出会いです。

これからも、気持ち悪くならない程度に過去話を思い出して書いたり、日常のやりくりの話を書いたりしようと思います。

ではまた。

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