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【相続#2】相続不動産の調査ってどうすればいいの?

 こんにちは。行政書士の大野です。
 相続業務などで不動産の調査を依頼されたときに、どのようにして調査したらよいのか、初めの一歩はなかなかハードルが高いですよね。
 今回は、そのような場合の不動産調査方法をざっくりとお伝えしたいと思います。

 相続不動産の調査は、その後の遺産分割や相続税申告において重要ですので、漏れなく把握することが肝心です。また不動産は他の財産と比較して高額になりやすく、放置することによる影響が大きいので、注意が必要です。

 2024年4月1日から始まった相続登記の義務化によって、相続人は、不動産を相続したことを知った日から3年以内に法務局に相続登記を申請する必要があります。遺産分割によって取得した場合も同様です。正当な理由がない場合、10万円以下の過料が科される可能性がありますので、このような意味でも調査漏れは防ぎたいところです。

 これからご紹介する調査方法は、それ単体で調査が網羅的に行えるものではありませんので、必ずいろいろな角度から調査することが必要です。
 それではどのような調査方法があるのか、見ていきましょう!


✅【固定資産の納税通知書】を使って調べる


 不動産所有者に毎年4月ごろに届きます。固定資産税の課税対象となる土地や家屋の、住所や課税標準額、税額などを詳細に示した書類で、相続不動産を簡単に特定することができます。ただし、課税されていない不動産については記載がないので、これだけでは判断しないことです。

✅【名寄帳】を使って調べる


 名寄帳(なよせちょう)とは、固定資産税を課税するために市区町村が作成している固定資産課税台帳を所有者別にまとめたものです。
 市町村の税務課で申請すれば取得することができるもので、名寄帳を請求できる人は、固定資産税の納税義務者である不動産の所有者本人に限られています。

✅【権利書(登記済証)】を確認する 


 不動産を買ったときや、相続の際に登記の名義変更したときに、法務局から発行される書類で、複数枚のつづりになっているものもあります。
調査する際にはクライアントに不動産の書類一式ありますか?と聞いてみるといいかもしれません。
 これがあれば間違いなく、今所有している、もしくは過去に所有していた不動産なので、そこから調査していくことが可能です。

✅【登記識別情報通知】を確認する


 登記識別情報とは、平成17年の不動産登記法改正により、それまでの登記済証(いわゆる「権利証」)に代わって導入された制度です。
見本のような1枚の紙で、特殊な加工をされた部分をはがすと、12桁のパスワードが記載されており、このパスワードが登記名義人本人である事の重要な証拠の一つとなります。また、一旦はがしたものは、元には戻りませんし、情報漏えいのリスクが高くなりますので、ご注意ください。詳しい取扱い等については、法務省、法務局のホームページをご確認いただくか、司法書士にご相談ください。(見本出典:法務省)


✅【不動産登記事項証明書(登記簿謄本)】の内容を確認する


 不動産登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)・名寄帳・権利書等の内容を突き合わせる等して、過去の登記漏れ等を調査します。

✅【地図・公図・字図】で調査する


 法務局に設置してあるブルーマップや字図による調査です。
 網羅的な調査ができる可能性としては低いのですが、思わぬところに未登記不動産や他人名義の土地がある場合がありますので、必要に応じて取得しましょう。

 所有する土地につながる私道が非課税だったので名寄帳に記載されていない場合や、個人で相続登記を行った際に漏れがありそうな場合などに地図や字図と突き合わせて確認することも、不動産調査においては大事な作業の1つです。

✅【現地調査】する


 不動産が遠方にあり簡単には赴けないなどという理由がないのであれば、現地調査を行うことで、土地上に未登記の建物、増築改築がされている建物、取り壊し済みのはずの建物が残っていないかどうかを確認することができます。
 ただし、いきなり現地に行くのではなく、グーグルマップやブルーマップを活用し、事前によく確認してから現地に赴くようにしましょう。

✅おわりに・・・次回に続く

 今回は、相続不動産の調査方法にはどのようなものがあるのか、ざっくりとお伝えしました。次回は少し深堀りして、わたしが実際に行った不動産調査についての体験談をお伝えしたいと思います。
 本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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