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【15項目】このチェックリストがあれば、英語の長文読解にもう苦労しません

(この記事は2020年5月19日に更新しました。)

あなたはこんな経験をしたことがありませんか?

「制限時間内に、長文読解の問題を解き終わることができない」
「長文は最後まで読めたのに、選択問題で間違えてしまう」
「長文読解は慣れが必要だと言われたが、何問解いても点数が伸びない」
「下線を引きながら読んでいるが、最後に長文を見返したら下線だらけだ」

実は私も、長文読解(英語だけでなく国語も)について悩んでいました。

長文の最初から最後まで一生懸命読むのですが、最後の文を読み終わったころには、最初の方に書いてあった内容などもう覚えていません。

最初の方は書いてあることがなんとなく理解できるのですが、途中から話についていけなくなることもしばしばありました。

そんな状況で設問を読んでも解けませんから、今さっき読んだばかりの長文をまた最初から読み直すことになります。

そんな状況で、自分のおぼろげな記憶を頼りに選択肢を絞るのですが、自信が持てずに毎回のテストではびくびくしていました。

試験本番に、しかも長文読解の配点が高い英語で、全部の選択肢を間違って解答していたらどうしようと不安になるのです。

こんな経験があるならば、この記事を読んでいただく価値はあると思います。

この記事を最後まで読んでいただくと、次のような期待ができます。

・感覚ではなく、自信を持って選択肢を選べるようになる
・点数が安定する
・文章を数秒間眺めただけで、重要な部分がどこか分かるようになる
・要約問題が解けるようになる
・先生の間違いにも気づけるようになる

実際、私も今では英語が得意科目になっています。

例えば、高校の全国模試では偏差値79.0(受験者全体の0.19%)を取ることができました。

センター試験の過去問は35分でも解き終わることができましたし、発音問題以外のミスはほぼゼロでした。
20××年は198点、20△△年は196点、その前年は198点、さらにその前年は196点、・・・という感じでした。

また、初めて受験したTOEIC IPテストでは485点でしたが、勉強を重ね、TOEIC公開テストでは860点を取ることができました。
860点を取った後は、「点数よりも使うために英語を勉強しよう」と思い、英会話の勉強に切り替えたのでそれ以上の点数は目指していません。

それどころか、学校の先生や○○塾の難関大対策の先生が作った解答に「ここはこうしたほうがいいのではないか?」と不満さえ覚えるようになりました。

効果があったのは英語だけではありません。
現代文の点数も伸びるようになりました。京都大学の過去問を添削してもらっても、赤ペンが一つもなく返却される問題も出てくるようになりました。

このように、私が感覚で解いていた長文問題を自信を持って解答できるようになったのは、「ある発想の転換」ができたからだと考えています。

そして、それを実際に使えるテクニックにまで落とし込めたからだと考えています。

「読解力を身に付けるためには問題量をこなさなければならない」
「英語の長文読解や現代文は感覚で解くものだ」

当時の私はそう思っていました。

この記事では、その発想の転換や、実際に長文読解を解くときの具体的な方法をご紹介します。

この方法は、この記事を読んだ今日からでも使うことができます。
もちろん、あなたにも使えます。

この方法に気付いた時は、
「正直、もっと早く知りたかった」
「問題集に書いておいてくれればいいのに」
そう思いました。

この記事の内容は、当時不安な気持ちで解いていた高校生の私に見せてあげたかったとも思います。

この方法は、今文章を読んでいただいているあなたにも使っていただけます。

なぜなら、裏技ともいえるこの方法は長文をすみからすみまで集中して読まなくても、スラスラと目を動かすだけで使えるからです。

あなたも、私のように先生の解説が間違っているのではないかと指摘できるようになるかもしれません。

そんな便利なテクニックなのですが、学校の先生の口からはそんなテクニックを聞いたことがありませんでした。

英文法は教えるのに、なぜこのテクニックは教えないのかが、とても不思議でした。

今になって思いますが、「この文を受動態の形に変えよ。」という問題は、ルールに従って単語を並び替えるだけなのに、長文問題になると急に「慣れが大事だ!感覚を磨け!」と言われるのは確かにおかしい気がします。

そして、「これが理由なのではないか」と私なりに考えをまとめました。

その考えとは、
学校は、これから紹介する便利なテクニックを使って問題を解くのではなく、目の前の文章にじっくりと向き合って正解を導き出す過程を経験させることを重要視しているからではないか
というものです。

テクニックを使って簡単に解いてしまうと、学生の読解力が付かないのではないか、読解力はじっくり腰を据えて問題に取り組むことで育まれるはずだ、と先生方は思っているのではないか、と私なりに予想しました。

しかし、ゆっくり読んだらかといって文章の重要なポイントが分かるか、と言われると必ずしもそうではないと私は思います。
実際に、当時の私は、長文を全部読んでも分からずに悩んでいたのですから。

「長文を速く読めて文章の重要なポイントも自信をもって答えられる!」
「東京外大の400字要約なんてへっちゃら!」

そんな風に問題が解ける方法はないものか、考えました。

「英文法と同じように、長文読解にもルールみたいなものがあればいいのに・・・」

それを形にしたつもりです。

抽象的なお話はこれくらいにして、次はその方法の大枠を説明します。

具体的な方法をお話しする前に、まずは長文読解に対する心構えについて触れます。
「なぜ筆者は長文を書くのか?」から話をはじめ、私たち読者はそれをどうよむべきなのかを解説していきます。
この心構えの部分だけを読んでいただいても、長文読解の解き方がすっきりすると思います。

ただ簡単に使えるテクニックを使いこなすだけではなく、まずはこの心構えを理解したうえで使っていただきたいと思います。
この記事を読んでいただくことで、テクニックを使いこなしてもらうだけでなく、あなたの読解力そのものも上げられることが私の理想なのです。

その後、いよいよ具体的な方法についての解説します。
全部で15項目あります。
この記事を読んだ後の長文読解の問題からぜひ使ってみてくださいね。


最後に、この記事を読んでいただくにあたっての注意点について書きたいと思います。

まず、この方法を使うにはある程度文法知識が必要です。
学校で一通り英文法の授業を受けていれば問題ありません。
「仮定法」という用語を聞いて「初めて聞いた!」という状態であれば、この記事は少し難易度が高いかもしれません。
「文法は不安」「そんなものは忘れてしまった!」という状況であれば、高校生用の文法書を一冊、横に置きながら読んでいただければと思います。

ですが、心配は必要ありません。
この記事で使う英語の例文はすぐに意味が分かるもの選んでいます。

この記事で登場する英文法は、英文法の正誤問題を解くためだけではなく、長文問題を解くためにも使えます。
ですから「文法が苦手だ」「手っ取り早く点数を上げたい」という方は、まずはこの記事に書いてある文法から手を付けてみるのも効率が良いかもしれません。(苦手な人にとっては少し難しすぎるかもしれませんが重要なポイントは抑えられると思います)

余談ですが、「単語は単語帳の前の方に書いてあるから重要なのだ」と信じて勉強する状況から、「確かにこの単語は覚える必要があるな」と確信を持って覚えられるようになるかもしれません。

英文法に多少心配があったとしても、長文読解に苦手意識があっても、それは全く問題ありません。
この記事は苦手なものをを得意に、得意なものををさらに得意にするための記事になっていますのでご安心ください。

また、この記事の内容は難関国公立大を目指している方であれば、授業や塾、予備校で聞いたことがあるか、または無意識のうちに実践しているかもしれません。

例えば、難関大を目指す人用の問題集を解いたことがある人は、「パラグラフリーディング」「ディスコースマーカー」という言葉を聞いたことがあるでしょう。

先にお伝えすると、この記事でもこれらの考え方ついて軽く触れています。

しかし、これらは15項目のうちのわずか3項目のみであり、上記を除くこの記事のほとんどは、私が学校の授業で教えてほしかった内容、本屋に売っている英語の参考書には書いていなかった内容を自分なりに考えて書いたつもりです。

最後の注意ですが(おそらく注意する必要なないかと思いますが)、あなたが、3ページ以上にわたる英語の長文を読んで「文章の内容を日本語800字以内で要約せよ」というような問題を何問解いても全部満点を取れる状況であれば、この記事を読んでもあまり得るものはないかもしれません。

そして最後の注意点です。この記事の価格についてです。

この記事を、最初は1000円程度で販売しようと考えていました。
なぜなら、市販の英語の参考書や問題集の相場が千円程度だからです。

しかし、本屋においてある参考書とは違い、この記事は購入するまで中身を見ていただくことができません。
さらに、問題集で見たことがない情報が多いので私自身も価格をいくらにすればよいか分からないというのが正直なところです。

その欠点を無くすため、この記事をある程度の評価が得られるまで無料で公開しようと思います。
その後、スキの数が5つに達したら記事の前半部分は無料公開にしたまま、後半だけ有料で読んでいただくことにしようと思います。

さらにその有料部分は、「スキ」の数に応じて記事の価格が上がっていく仕組みにしようとと思います。

例えば、「スキ」が5個つくまでは無料で公開し、その後、有料の記事に変更し、「価格=(スキの数-5)×100円」といった流れにしようと考えています。

スキの数が増えれば増えるほど記事の価格も高くしていくということです。

最初のうちの「スキ」は全部分を無料公開しているときにいただいたものですから、ある程度の記事の品質は保証されるのではないかと思います。

また、価格を高くするだけでなく、コメントで質問や叱咤激励があった場合は、その内容も盛り込んだ内容にしていき、内容の質・量もブラッシュアップしていこうと考えています。

こう考えた理由は大きく3つあります。

・一定数のスキを集めた記事であればある程度の信頼性はあるので、購入時の不安は少し解消されるのではないかと考えたから
・料金が時間や読者の評価によって変化する記事(大きくとらえれば商品とも言える)はあまり聞いたことが無く、面白そうと思ったから
・記事を読んでくれた人も一緒に参加してもらって、一緒に記事を作っていく過程が楽しそうだから

先ほどの計算でいくと、10スキをいただいたときには500円で販売することになります。

単純計算すれば、もともと1000円で売るつもりだったものが前半は無料で読むことができ、後半はもとの値段の半額で読むことができるということです。

ぜひ有料になる前に、読んでみてくださいね。(2020年5月20日現在、12スキをいただいており、有料の500円で販売しております。)

追記 2021年1月6日に、780円から980円へ値上げいたしました。

ちなみに、購入をしていただいてから24時間以内は返金の申請をすることができます。詳しくはこちら(noteヘルプセンターの返金ついての記事)をご覧ください。

第1章と、第2章の一部を無料でご覧いただけるので、ぜひこの後の記事もご覧ください。

(無料公開の範囲や、料金は変更する場合がございます。)

第1章 長文読解に対する心構え

早速テクニックを紹介したいところですが、この章ではまずそのテクニックを使う前提や背景の部分をお話しさせていただきたいと思います。

あなたは次の質問に答えることができますか?

「筆者はなぜ長文を書くのか」

長文の問題を解くとき、あなたは読者の立場です。

ですが、今はそれを忘れて文章を書く側の気持ちになってみてください。

「この文章を読むことで、読者の知らなかったことを知ってほしい」
「読者はもともと知っているかもしれないが、この文章を読むことでさらに興味を持ってほしい」
「読者は当たり前だと思っているかもしれないけが、実は間違っていることにこの文章を読んで気付いてほしい」

いろんな感情があるでしょう。このような感情が筆者のペンを走らせ、文章を書き上げさせるのです。

それは評論文かもしれません。
小説、ラブレター、ビジネスメール、広告文、noteの記事かもしれません。

つまり、筆者が長文を書く理由は、伝えたいこと(主張、結論)があるからです。

主張や結論が無い文章だってあるではないか、と言われるかもしれません。

SNSで投稿するときに、いちいちそんなこと考えていないことだってあるでしょう。

しかし、今議論しているのはテストや受験、資格試験などに出題される文章についてです。

そのような長い文章に、主張や結論が1つも含まれていないなんてことはほとんどないと私は考えています。

その理由は大きく2つあります。

・言いたいことが何もないのにもかかわらずダラダラと文章を書き続けることは筆者にとって苦痛でしかないから
・長文読解の出題者が「主張がない文章は読者にとって学びにはならないから、出題する価値が無い」と考えるはずだから

以上のことから、出題される長文には筆者の伝えたいこと(主張や結論)が少なくとも1つ以上は必ず含まれていると言えます。

例えば、私が「読書は役に立たない」と言ったとします。これが主張です。

Reading books is not useful.

このメッセージを伝えるために、筆者は筆をとるのです。

しかし、この一文だけを書いただけでは、読者に納得してもらい、共感してもらうことは難しいでしょう。

そこで筆者は、この主張が読者に伝わりやすくするために、主張を支えるための文章を付け加えます。

例えば、主張を述べた後に、「なぜなら、読書をするためにはお金も時間も集中力も消費しなければならないからだ」と主張を支える理由を述べて読者を納得させる工夫をします。

また、他の例としては、「年間500冊以上本を読む青年が、飛行機をハイジャックして逮捕されてしまった」というような、具体的なストーリーを付け加えることもあるでしょう。

この具体例により、読者はイメージを思い浮かべやすくなり、筆者の主張により共感してもらいやすくなるでしょう。

このように、筆者は理由・根拠や具体例を使って、主張を的確に伝える工夫をします。

つまり、長文は、文章がただズラズラならんでいるわけではなく、筆者の主張、根拠、具体例といった、その文や段落ごとに割り当てられた役割が存在するのです。

もちろん、文章によってはこれ以外の役割を果たす文があります。
例えば、あえて主張と対比することにより読者に分かりやすく伝えるための反論を述べる段落がある場合もあります。

その反論も、主張を分かりやすく伝えるための支えの役割を果たします。

大雑把に言うと、長文は主張の部分それ以外の部分に分けられるということです。

ここまで、くどいほど説明してきましたが、長文読解の問題を解くうえで最も大事なのが、文の役割を把握すること、そして筆者の主張を探し出すことなのです。

逆に言えば、文の役割を把握できていないから、主張を見つけられないから問題がうまく解けないのです。

「長文は1文1文の集まりなので、すべての英文を日本語に訳すことができれば問題は解ける」という考えは、確かに一理あると思います。

しかし、私は和訳するだけでは足りないと考えています。

1文だけポツンとあるならば、その英文を訳すだけでいいでしょう。

しかし、長文の中に含まれている1文の場合は、訳すだけではなく、その文が長文の中でどのような役割を果たしているか(主張なのか、根拠なのか、具体例なのか)まで意識する必要があります。

むしろ、訳すことよりも文の役割を把握するほうが重要だと考えます。

なぜなら、役割さえ把握できていれば、たとえその文を訳せなくても問題が解けてしまう場合があるからです。

例えば、筆者の主張(主旨など)を選択肢の中から1つ選ぶ問題があったとしましょう。

この問題は、具体例や根拠の部分が分からなくても、主張の部分さえ日本語に直すことができれば、解答できそうです。

つまり、長文を1文1文読んでいく時に「この文の役割は主張ではない」と分かった瞬間に「この文はわざわざ訳さなくてもよい」と判断することができるということです。

長文の中で、筆者の主張がどこにあるかを探し出し、その英文を理解できれば、具体例や根拠は訳せなかったとしても正解できたというわけです。

和訳できなくても解ける問題があるのです。

例えば、50文からなる文章に主張が1文含まれているような問題をAさんとBさんの二人が解いたとします。

Aさんは、1文目から順番に2文目、3文目、・・・、24文目まで時間をかけて丁寧に和訳していきました。しかし、25文目だけは和訳がわかりませんでした。Bさんはあきらめて、その次の26文目から最後の50文目までまた丁寧に日本語に訳していく作業を繰り返しました。

Aさんは合計、49文を和訳しました。

Bさんは、1文目の和訳ができませんでした。しかし、「1文目は筆者の主張ではない」と判断したので、訳せなくても気にしません。2文目も筆者の主張ではなさそうなので、読み飛ばしました。次、次、次、と英文の意味はさっぱり分かりませんが、リズムよく読み飛ばしていました。そして25文目を見た時に、「これは筆者の主張だ!」と判断し、25文目は読み飛ばさずにじっくり読み、和訳を頑張りました。26文目以降は、主張じゃない、これも主張じゃない、・・・という具合に、文の役割だけ判断して1文も和訳しませんでした。

Bさんは合計、1文を和訳しました。

もし、この2人に与えられた設問が「筆者の主張として最も適切なものを選択肢の中から1つ選べ。」だったとしたら、AさんとBさん、どちらが正解するでしょうか。

Aさんだと思いませんか。

Bさんも、和訳した49文の情報から推測して選択肢を消去法で削っていくことも可能かもしれません。

しかしBさんは、単純計算でAさんの49倍の量の英文を日本語に直す努力の末、ようやく正解を導いくことになります。

このAさんとBさんの例は極端な例ですが、英文を日本語に訳せるかどうかよりも、その英文が長文の中で果たす役割(主張、根拠、具体例)を把握する方が重要だと感じていただけたのではないでしょうか。

文の役割が把握できれば、より速く解けるようになります。

より少ない努力で解けるようになります。

私が、センター試験をほとんどミスなく(例:198点/200点)制限時間の半分で解き終わることができるのは、この文の役割を意識して解いているからです。

実際には、制限時間を自分で80分→70分→60分→50分→40分と短くしていき、スピード感に徐々に慣れていきました。

制限時間が半分しかない状況で問題を解こうとすると、読んで和訳する文章と、読まない文章(正確に言えば、目を通すだけで和訳する必要はない文章)の取捨選択をしなければ解き終わりません。

文の役割を意識すれば、訳さなければならない文と訳す必要が無い文を見分けることが可能です。

問題の答えを導くために、訳す必要が無い文を訳さずに読み飛ばせるから、時間と労力を節約して解くことができます。

残念ながら、学校の授業では、このような解き方は教わりませんでした。

学校では、教科書に書いてある長文はすべて日本語に訳すことを目標にしている場合が多いでしょう。

それが学生の英語力向上につながるからです。

たくさんの学びが詰まった英文を、訳さずに飛ばしてしまうなんてもったいないことをするのは良くないと考えているのでしょう。

確かに、それはその通りです。

しかし、その授業の目的は、英力の底上げや文章の内容を理解することで学びを得ることです。

一方、この記事で目的にしているのは、試験などの長文読解の問題をより早く正確に解くことです。

この設問は「具体例の細かい正誤について聞いているな」と分かれば、長文の中で具体例の役割を果たす文だけに注目して日本語に直し、解答します。

この設問は「理由を答える問題だ」と分かれば、根拠の役割を果たす英文を探します。

「次の文章を読み、その内容を日本語400字以内で要約せよ」という問題があれば、まずは筆者の主張の役割を果たす文(複数文になることもある)を探します。

次に、その主張を支える根拠や具体例を、文字数を考慮しながら加えていくという流れになるでしょう。

この問題の解き方は、現代文の内容一致選択問題や記述問題にも使うことができます。

問題が解けるだけではありません。

ビジネスパーソンは仕事中の会話やメール、プレゼンテーションでも主張、根拠、具体例を息を吸うように把握し、自分の主張を伝える時も主張、根拠、具体例を意識しながらコミュニケーションを取っています。

読んでいる人や聞いている人に自分の主張を伝えるときに、一番分かりやすく、伝わりやすい方法が主張、根拠、具体例を述べることだ、とも言うことができます。

長文を書く筆者も、主張、根拠、具体例を意識して英文を並べているはずです。(少なくとも、試験に出題されるに値するような体裁が整っている文章では)

少し話が逸れましたが、ここまでの内容をまとめると、次のようになります。


・長文には、基本的には筆者の主張が混ざっている
・長文は単なる文の連続ではない。文(または段落)には役割がある
・その役割とは、大きく分けると主張、根拠、具体例の3つである
・英文の和訳だけでなく、その文の役割を把握することが重要
・特に、主張の役割を果たす部分を探すことが、長文読解の1番のポイント
・日本語に訳さなくてもいい文、じっくり読むべき文を判断する


ここまでで、長文読解への心構えは終了です。

「でも、長文の中から主張を探すのが難しい」

「主張が大事なのは知っているが、それが見つけられないから困っている」

「その主張を見つけるための方法が分からないと問題が解けなのでは」

次の章ではそんな悩みを解決する、具体的なテクニックについてご紹介します。

このテクニックに、読解力はほとんど必要ありません。

英文を最後のピリオドまで読んだ後に「この英文は読み飛ばしても良かったのだ」と気づいても、あまり意味がありません。

そうならないために、パッと英文を見て、日本語に訳す前に判断できる方法がこのテクニックです。

その一例がディスコースマーカー(論理マーカー)です。

「For example(例えば)」と書いてあれば、この文は具体例の役割

「This is why(この理由は)」と書いてあれば、この文は根拠の役割

「In conclusion(結論は)」と書いてあれば、この文は主張の役割

というように、英文の最初の2~3語を目に入れただけで判断することができます。

これからご紹介するテクニックの中にも、このディスコースマーカーを見るというテクニックが含まれています。

しかし、テクニックはこれ以外にもまだまだたくさんあります。

私が無意識に行っていたテクニックを棚卸してみましたので、是非ご覧ください。

第2章 超具体的な方法

前章で私がお伝えしたかったことを一言でまとめると、筆者の主張を探せということでした。

この章では、筆者の主張を探す方法を具体的にご紹介します。



1.形容詞「重要な」

まずは次の英文を見てください。

It is important that reading books is not useful.

「読書は役に立たないということが重要だ。」

このくらい訳せるよ、と思われたかもしれません。

that節は苦手だったとしても、importantが「重要な」という意味であることはご存じかと思います。

しかし、ただ訳すだけでは足りないということを前の章でお話ししました。

この文が、長文に紛れ込んでいる時にどんな役割を果たすでしょうか。

「important」は筆者が主張を述べる時に使う表現です。

なぜなら、筆者が「重要だ」と言っているからです。

筆者が重要だと言う内容は、筆者の主張したいことです。

「読書は役に立たない」という内容を筆者は重要に思っているので、その内容を読者にも伝えたいのです。

つまり、「重要な」という意味を持つ形容詞が英文に含まれているときは、読み飛ばすことなくじっくり読むという判断をしましょうということです。

It is important that ~~~~~.

の~~~~~の部分には筆者が大事だと感じていること、すなわち筆者の主張が書かれています。

実際に問題を解くときは、下線を引いておくと後から見直すことができます。

「大事そうだからとりあえず下線を引いておく」というような感覚的な判断ではなく、「筆者の主張にだけ下線を引く」という基準を作っておけば、見返した時に線だらけになっていたという事態を防ぐことができます。

さて、ここで1つポイントがあります。

あなたは、「重要な」という意味を持つ形容詞をimportant以外に何個言えるでしょうか。

この方法は、「重要な」という意味を持つ単語を知っていなければ使うことができません。

ですから、単語を暗記するときに、「重要な」「注目に値する」「必要不可欠な」というよな重要性を表す単語は特に意識して暗記することをおすすめします。

それでも単語帳を開くのもめんどくさいというあなたに、とりあえずこれだけは覚えてほしいという単語をリストアップします。

important 「重要な」
substantial 「重要な」
considerable 「重要な」
notable 「注目に値する」
essential 「必要不可欠な」

何度も言いますが、この単語の意味を知っているだけで満足してはいけません。

この単語が含まれいる文章は主張である可能性が高いから、他の文よりも慎重に読み解く必要があるのだ、と問題を解いているときに判断する目印だと思って暗記してみてください。

例えば次の文が、長文の中に混ざっていたとしましょう。

It is (形容詞) that ~(筆者の主張)~.

It is (形容詞) for us to ~(筆者の主張)~.

あなたはまず、文全体をチラッと目に入れ、「この文は注意深く読むべきか、さらっと流し読みするべきか」という問いを立てます。

次に、「重要な」という意味を持つ形容詞が含まれているか否かに気付きます。

含まれている場合は、主張である可能性が高いので、「この文は注意深く読む」と決定し、ここでようやく和訳し始めます。

和訳してみて、これは筆者が重要だといいたいメッセージだと判断すれば、その英文に下線を引いておきましょう。

ちなみに、形容詞を素早く見つけるために、文法の知識が役立ちます。

それは、英文法の授業で一番最初に習うであろう、「5文型」です。

英文中に形容詞が登場する場所は、その5文型のうちのCの場所です。(体裁の整った文章であれば)

つまり、SVCのCの部分です(She is kind. のkindの部分)。

SVOCのCの部分です(He makes me happy. のhappyの部分)。

形容詞が含まれるのは、上の2つの文型のみです。

さらに、上の2文にもあてはまりますが、多くの場合、筆者の主張(~は重要だ、と訳せる文)はSVC型の文章だと予想できます。

Cの部分に、先ほどご紹介した「重要な」という意味の形容詞が入り、筆者が重要だと感じている主張がSの部分になるでしょう。

Sは名詞、名詞句、または形式主語構文でCの後ろに来る文かもしれません。

このような、文法知識も活用しながら、「重要な」の意味を持つ形容詞をできるだけ見つけて、主張の文であることをテンポよく見極めていきましょう。

英文を読み始める前にも、事前に準備することができます。

英文法は、文法問題を解くためだけに覚えるのではありません。

英文を読んでいくときに活用してこそ本領が発揮されます。

以上の内容をまとめると、いきなり和訳しようとせず、英文のC(補語)の場所に「重要な」という意味の英単語が見えたら、筆者の主張が述べられている可能性が高いので、注意して読むとともに下線を引くのもおすすめ、というわけでした。

この調子で残りの14つもどんどん進んでいきます。


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