最近読んだ本の感想③
発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法
概要
発達障害の検査を受け、障害というほどではない「グレーゾーン」の判定を受ける。基準に達するほどではないから大変ではない、というわけではない。むしろより深刻な生きづらさを抱えていることもある。
グレーゾーンはどういうケースがあるか?という視点から入り、章ごとに発達障害の事象について記述していく新書でした。
難しい単語が少なく、例示も多いため、突っかかりなく読めるんじゃないかと思います。
感想
そもそも何故この本を手にしたのか?
本のはじめに、の部分にあった内容。
「この生きづらさは発達障害から来るものなのでは?」
発達障害の認知度が高まったことで検査を受ける人が増えている。という点について。
10年以上前だけど、テレビで『生活自体は正常に行えるのだが、極端に〇〇が出来ない』→『検査してみたら発達障害の一種だった』という特集を見まして。その時の心情が印象的だったんですよね。
「肩の荷が下りたようでした。障害だから仕方ない、努力不足ってわけじゃないんだって」
と。
障害であることに安堵する、というのが意外でした。そうか、そういう考え方もあるのか、と。
グレーゾーンとされた人は障害でない、と喜ぶよりも、現状の生きづらさの理由が得られずもやもやすることが少なくない、ともあり、「正しい理解って何だろう」と思ったのでした。
正しい理解、とは
本を通して知ったこと。
・表出した事象が同じでも、原因が発達障害とは限らない。
この本を読んだ感想としては、愛着や心の傷などの後天的な問題が起因して「発達障害のように見える状態」になってる人が少なくないんだなと。
ように見える、という段階なので発達障害判定はされることはなく、様子を見ましょうという言葉のまま放置して、悪化する……ということも多々あるらしい。
ちょっとだけメンタルヘルス周りをかじったことがあるので、なるほどなーという部分もちょいちょいありました。なるほどなー。
・グレーゾーンの範囲が思った以上に広い。
し、基準は変わっていく。
検査項目が複数あり、n個以上引っ掛かると〇〇と判定される、ということもあるらしい。じゃあn-1個当てはまった場合は障害と無関係です!となるか、という話。そんなわけはないよね、と。
門外漢の雑な感想だけど、これって精神面のトラブル同様、目に見えない・見えづらいから診断が難しい、基準が変わることもあるのかなあと思いました。
大事なのは最終10章のタイトルのように「診断よりも特性の理解」だと感じました。
同じ「おなかが痛い」でも、ぶつけたせいで痛いのか、悪いもん食べたせいで痛いのかで対応は変わると思う。同様にAという事象が表出していたからといって必ずしも発達障害とは限らない。グレーゾーンだったからといって放置するのが必ずしも正解とは限らない。
特定の領域に素人が知ったかぶりするのってかなり良くないと思うので(特に医療分野は命にだって関わりうる)この本を読んで「多分こうなのだろう」くらいの気持ちに留めておきたいなと思いますが。読む前より「多分」の見え方が少しだけ鮮明になったんじゃないかと思います。
タイトルの克服法、というのはこういう意味での克服なのかなあと思いました。
1点注意
色んな例が出てくるので理解の助けにはなるのですが、ここは注意だな……というのが1点。
ちょいちょい著名人の例が出てきます。が、伝聞レベルの内容でその人のことが書かれているので、話半分で見とかないと駄目だろうなと思いました。
この文脈だと〇〇さんも発達障害って捉えられかねないけど、本人がそうと公言してるわけじゃないよね?読み手が線引きしないとあかんやつか?(どっちかってーと書き手が配慮した方が良いんでわ……)という。
まとめ
・専門用語少ない&例が多いので分かりやすい本
・グレーゾーンへの正しい理解は多少出来るようになったと思う
・「これをやれば克服!」というものではない