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本当に面白くなってきたのは、ティム・ウォルズという人が登場したからなんですよ!

ミネソタ州の現職知事であるティム・ウォルズという人物を、合衆国大統領選挙の民主党候補者であるカマラ・ハリスは選びました

これは、もう最善の一手と言ってよく、共和、民主の両党を合わせて8年も続いた「お爺さん大統領」の時代に終止符を打つ画期となり得る人選だと最大限に強調したいところです

日本語のWikipediaはあまり参考にならないと言われることが多いんですけど、ウォルズに関してはかなり充実した内容になっており、これは一読に値するとお薦めしたいですね

読めばわかりますが、アメリカ合衆国🇺🇸のプロテスタント本流の良心に訴える要素が山盛りで、本人もその系譜を引き継いでいます

彼の容貌も、いつも共和党候補者が勝利する「赤い州」に多い、守旧的な「白人」にも受け入れやすい感じがありますよね

カマラ・ハリスが「多民族国家としての合衆国」という訴求力を持つ一方で、彼は「ピューリタン由来の合衆国」の本流プロテスタントに強く訴える価値観と来歴を持ちます

これはハリスの弱点と指摘されてきたものを、オセロゲームのようにひっくり返す人選ということを意味します

そして、ここからが面白いんですけど、この急拵えの二人組の敵は、悪徳に塗れた逸話しかなく悪の親玉にしか見えないドナルド・トランプと、トランプを資金面で支えていて、すっかり歳を取って我が身の保身が最優先になってしまったIT大富豪どもの走狗でしかないJ・D・ヴァンスのタッグであり、まるで映画のような展開になってきそうな予感がヒシヒシと伝わってきます

ヴァンスとウォルズの両副大統領候補の経歴には似た面があるのものの、カネに魂を売った俗物と、信仰を守り抜いてきた義人とこれもまた対照的です

8年前や4年前ならいざ知らず、今現在は年長者から勝手にカテゴライズされてウンザリしてきた「Z世代」の年長組の人たちが社会の中核に差し掛かろうというタイミングでもあり、彼らにとっては、特段優れた候補ではなくてもトランプという汚れたお爺さんよりはマシという一点だけでもよいからと、ハリスを一躍支持率が拮抗する有力な大統領候補者に押し上げた立役者になった時期に来ています

古臭い「お爺さん大統領」の時代が終わり、将来について自分事として真面目に考えざるを得ない人たちが表に出てくる機会が、ウォルツのいきなりの登場で用意されたと見たならば、これはもう映画みたいな展開としか言えないのです

ウォルズはバーニー・サンダースのような左翼ではありません

しかしながら、篤い信仰と自身に素直な良心で、大統領職を辞めて以降の活動でむしろ求心力が高まり、高く評価されているジミー・カーターの後継者とも見做し得る人物とも言えます

1964年生まれでこんな人が、まだ合衆国にいたんだ!と僕は心底びっくりしました

加えて、ウォルズはキリスト教信仰を持たずとも支持できる価値観(LGBTの容認等)に関し、政治家として表明して、かつ政治家だけが持つ特別な権利をそのために行使してもおり、この面で「Z世代」との相性も全然悪くないんですね

さらにさらに、実のところ、ウォール街のパシリになりかねないハリスだけでは、ヒラリー・クリントンが受けたのと同じ厳しい批判の矢面に立たされた可能性はあったんです

ウォルズという人選が、彼女のこの弱点をも埋めて余りある人物ということもとても大きなストロング・ポイント(言葉が変かもしれないけれど…)


別の視点から見てみると…

ドナルド・レーガンやマーガレット・サッチャーまで遡るネオリベラリズムは、リバタリアニズムという看板に描き変えられて、IT大富豪たちのイデオロギーになって生き残ってきた面があります

いつだって合衆国の人民の敵はウォール街でしたけど、IT大富豪の登場で真の敵は実は誰だったのかが明確になってきていますよね

なにしろ(アパルトヘイト時代の)南アフリカ生まれ育ちのイーロン・マスクが、平気な顔をしてやりたい放題して闊歩しているんですから

「リバタリアニズムって何」となっても、説明が結構長くなってしまうので、もうWikipediaにお任せしちゃいます

ロバート・ノージックという名前を、頭の片隅にでもいいから覚えておいても損はしないかなとは思います

物心がついた時には21世紀だった、或いはそもそも21世紀産の人たちだった、「Z世代」と一括りにされてしまっている人たちにとり、お爺さん大統領は1980年代から変わらない古い古い価値観を引きずっていて、自らが否応無しに生きていかねばならない将来を邪魔する存在でしかないんですが、今回のアメリカ合衆国🇺🇸大統領選挙戦でハリスとウォルズが勝利したならば、新任の正副大統領に大きな期待はできなくても、歴史的な時代の区切りになるのは間違いなく、これは滅法面白いことになってきたというわけなんですよ🙂

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