「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。(ほぼ日刊イトイ新聞)」の読書感想 #3
はじめに
今日は第3章と第4章です。
第三章 岩田さんの個性。
・観察して、仮説を立て、検証すること。
→「仮説と検証を繰り返せ」というのは色んな所で見聞きすることではあるのですが…この章を読んだとき、岩田さんが他の人より優れている部分のひとつは、「観察してから仮説を立てるまでのスピード感・ハードルの低さ」なのかなぁと感じました。仮説検証を繰り返して学ぶためには、なによりも仮説を立てないと始まらないじゃないですか。数をこなすためには仮説を立てる数こそ重要になってくると思うのですが、それに必要な個性(「『なぜそうなるのか』がわかりたい」)を備えていたんじゃないかと。
・正しいことより、喜ばせること。
→プログラマって、正しいことを重視する人たちが多いと僕は思ってるんですが、岩田さんの価値観は違っているようです。僕は「ただしいこと」を重視しがちだったのですが、それが「べき思考」に偏りすぎていたことがわかって、少しずつ矯正しているところです。岩田さんは、どんな経験から、この価値観を手に入れたんでしょうか。
・ご褒美の見つけ方。
→何か自分にとってプラスがないと、良いとわかっていても続けられないですもんね。自己肯定感は大事です。新人教育の時に、ご褒美を見つける方法についてなにかしらヒントでも与えられれば、その人の成長を後押しできるんじゃないかな、なんてことをぼんやり考えていました。
・プログラマ的な考え方を、コミュニケーションに応用すること。
→領域の違うものを結び付けて考えるのがうまいですよね。EM.FMで広木さんの話を聴いているときにも感じるのですが、ある領域で突き詰めて得たものを、別の領域でも応用していくその能力の高さって、エンジニアからマネージャーの道に進んだりする際に、ものすごく役に立つのかもしれませんね。ピーターの法則を打破する鍵になったりするんでしょうか?
・合理性が重要な場面で感情を乗せず、覚悟を決めること。
→「嫌いだけど、合理的だ」という判断があったとき、この「嫌い」っていう感情を打ち破るのは難しいなぁと思うのです。当事者である限り、感情は切り離しがたいですよね。岩田さんは、こういうときに「一歩引く」ことができる人なのかなぁと。自分の感情を外から観察できる、アンガーマネジメント的な能力も高かったんでしょうか。
第四章 岩田さんが尊敬する人。
・宮本さんの美学。
→僕もゲームクリエイターの端くれではありますが…「何も説明せずにテストプレイをやらせる」はなかなかできないと思ってしまいます。開発中のゲームって、基本的には「まだやってない」ことのほうが圧倒的に多いので。何も説明せずに「さあ、やって。」だと、テストプレイヤーもどうしても「まだやってない。」に注目した意見を言いがちで、テストをする側としては「そこはまだやってないんだよね。そうじゃなくて、こっちに注目して意見くれないかな?」と言いたくなっちゃいます。「テストプレイヤーに余計な思考のフィルターをかけたくない」というのは、本当にその通りだと思いつつ…意見が出てきた後にこちらでフィルターをかけて、整理してやらないといけなくなっちゃうのは、なかなか大変なものです。宮本さんはこの大変なことを、大変だとはおそらく分かったうえで、それでもより実際のプレイヤーの意見を聞くために、こういうことをやっているんでしょうね。これは、もはや「美学」とでも呼ぶべきものだと思いました。
・サンクコストに負けない意思力をもつこと。
→現場の開発者レベルで「これ最初から作り直しちゃったほうがよくない?」みたいなことを冗談めかして話すことは、たまーにありますが。実際にそれを選択するのって、サンクコストに負けない意思力が必要ですよね。つよい。