蠱毒を使っていた映画
1988年1月30日に公開された映画「帝都物語」を久しぶりに見ました。この作品は、平将門の怨霊により帝都破壊を目論む魔人・加藤保憲とその野望を阻止すべく立ち向う人々との攻防を描いています。
史実を背景に空想上の人物だけではなく、実在の人物が物語に登場します。博物学や神秘学の知識がいろいろ出てきて面白いのが特徴ですね。たぶん、風水、陰陽道、奇門遁甲を本格的に紹介した作品になっていると思います。実は26年ぶりに見て、内容をほとんど覚えていないことがわかりました。
驚いたのは、蠱毒(こどく)が出てきたことでした。蠱毒(こどく)とは、古代において用いられた、虫を使った呪術のことです。最近の漫画などには出てくるそうですが、26年前にこの映画を見た時には知識もなかったのでよくわからない世界でした。今でも実のところよくわかりませんが、平安時代には法律で禁止されている呪術なのです。それを映画で再現させて見せるとは、すごいなあと思いました。
また、主人公の加藤が使っている紋章は、鳥羽の海女たちがお守りに使う「ドーマン・セーマン」でした。「セーマン」だけなら、晴明神社のお守りにもある「晴明桔梗(せいめいききょう)」の紋として使われていますが、ドーマンも出てくるというのは面白いです。
さて、魔人・加藤に対抗する陰陽師は早々に死んでしまうし、最後に美しい巫女の恵子も取り込まれ、将門の霊を鎮める依代の力を持つ三人の男女も、美しさではなく不義の象徴とわかりました。ということで、全体的に暗い「帝都物語」ですが、怪人加藤に圧倒的な魅力があるため目を離すことができませんでした。
帝都物語を創作するには、知識が必要です。知識の色は黄色。太陽の明るさが知識なのです。
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