緊急事態宣言解除による企業のコロナウィルスの対応について

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新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が5月14日に39県で解除の決定がなされ、21日には大阪・兵庫・京都でも解除することとなりました。
それに伴い、業務を再開される企業も多いかと思いますが、御注意いただきたい点につきましてお話いたします。

緊急事態宣言が解除になったと言っても、新型コロナウィルスが存在しなくなったわけではありません。今後、第2波・第3波が来るであろうということは多くの方々が指摘されています。現に、韓国や中国でも第2波と思われる事態が生じています。解除されたからといって、感染する危険性については今までと大きく変わったわけではないとの認識が必要です。
このため、緊急事態宣言が行われる前に取られていた措置は、そのまま引き続き御対応ください。

1.危機管理対策本部


危機管理に関して、経営陣(社長)を中心とした危機管理対策本部はそのまま存続させてください。会社や従業員に万一のことがあった場合の対応は、まだまだ必要です。また、新しいフェーズとしての対策も必要となりますので、一層の御対応を御検討ください。

2.テレワーク等在宅勤務の対応


 テレワーク等によって在宅勤務やサテライトオフィス勤務をさせていた場合、もし業務に特に問題がないようでしたら、できればあと2週間程度は在宅勤務を続けるようにしてください。感染したとしても、病状が発症するまでには2週間程度かかると言われています。今すぐは新規感染者数が少ないとして宣言が解除されたとしても、暫くは様子見をした方が無難でしょう。
 もちろん、業務に必要がある場合や従業員の希望もあると思いますので、そこは柔軟な対応が必要です。しかし、出勤させるとしても注意が必要です(次項)。
 在宅勤務の期間が長くなってくると問題も増えてくることが多いです。特に精神的なフォローが必要な方も出てこられると思いますので、産業医とも連携をとって出勤へ向けての慣らし期間としても2,3週間の猶予をお考えいただいた方が良いかもしれません。

3.出勤させる場合の注意点


 緊急事態宣言中は在宅勤務や休業中であった従業員を出勤させるケースも、今までも出勤していた従業員のケースもあると思いますが、解除になったとしてもすぐに通常の勤務に戻さないように御注意ください。
① 通勤について
 時差出勤や労働時間の短縮等を利用して、できるだけ通勤時間中の感染が生じないように配慮してください。少なくとも移動時間中のマスク着用は義務付けるようにしてください。会社に着いたら手洗いをすることも義務付けるようにしてください。

② 勤務中について
 勤務そのものも、可能であれば交代で出勤させるなどして、社内の「密」を避けるように工夫してください。オフィスワークでしたら、座席の配置にもご配慮ください。販売等接客の業務の場合は従業員数を減らしたからといって「密」が避けられるわけでもないと思いますが、入場制限を行うなどしてできるだけ人が集まり過ぎないようにしてください。営業など社外へ出る仕事の場合は、マスクの着用と帰社時の手洗いを義務付けるようにしてください。

③ 衛生管理等
 会社の入り口付近に手指消毒用のアルコールを設置してください。最近は、手指消毒用のアルコールも以前に比べれば手に入りやすくなってきているようです。この際に使用する消毒液には十分な注意をしてください。次亜塩素酸ナトリウム(ハイター)は什器等の消毒には向いていますが、手指の消毒には向きません。皮膚を荒らす可能性がありますので御注意ください。また、一般的に消毒液として販売されているものでも、アルコールが主剤ではないものがあります。アルコールが主剤ではない場合は細菌や雑菌の消毒には良いですが、新型コロナウィルス対策としては効果がないことになります。アルコールが主剤であっても、濃度が70%前後くらいのアルコール(エタノール)である必要がありますので、適切なものであるかどうかの確認をしてください。
 もし可能であれば、検温用の体温計も設置してください。
 長時間労働は免疫力の低下につながる可能性が高いです。可能な限り業務の効率化を図っていただいて、少なくとも所定労働時間内に業務を終わらせることができるよう、工夫なさってください。

④ リモートミーティングの対応
 緊急事態宣言中は、会議等についてはリモートミーティングとしてインターネットを利用して行われていたかと思います。これは当面の間はそのまま続けるようにしてください。実際に、会議室で会議をしたために新型コロナウィルスに感染したケースがあります。もし、会議室での会議をする必要があった場合は、参加する人数を限定する、常に換気を行う、透明シートやアクリル板などで参加者を区切るなどして所謂「三密」を避け、ドアノブや什器等の消毒にも注意を払ってください。
 特に遠隔地の会議については、今後もTV会議などリモートで行うことが一般化していくのではないかと思われます。交通費等の経費節約にもなるかと思いますので、リモートの継続を御検討ください。

⑤ 新型コロナウィルスに感染した疑いのある従業員の復帰について
 発熱など新型コロナウィルスへの感染を疑う症状があったとしても、PCR検査をした結果は陰性であることの方が圧倒的に多いです。しかし、残念乍らPCR検査は正確性にかなり欠ける検査です。もしも陰性と判定が出たとしても、その対応には御注意ください。
 新型コロナウィルスに感染した場合は、発熱や咳、全身の強い倦怠感の他、嗅覚異常、味覚異常などがあるようです。その他、血栓症や心血管系の症状、川崎病のような症状もあると言われています。これらの全てが症状として出るわけではないですが、一つの目安にはなるかと思います。
 新型コロナウィルスに感染した疑いのある従業員については、入院などをしなかったとしても、発熱などの症状がある間は必ず休ませてください。症状が治まった後も、3日間は自宅待機とし、出勤させないようにしてください。
新型コロナウィルスは、症状が無くなっても体の中からなくなるまでには比較的長い期間がかかると言われています。その間に再発するケースもあります。このため、職場に復帰した後も4週間程度は再発していないかの観察をしてください。出勤前には必ず検温をさせ発熱していないことを確認してください。もし風邪のような症状があった場合は休ませてください。
勤務させるに当たっては「三密」の状況にならないように注意してください。可能であれば、その従業員だけを別室などで勤務させることができれば、より望ましいです。
 なお、「三密」を避け、手洗い・マスク着用をしていれば、他へ感染する可能性はかなり低減されます。感染したことがあるからといって差別などをすると、それはハラスメントとなりますので、職場全体の問題としてそのようなことが生じないように御注意ください。

具体的な対策は企業によって違うと思います。全て、「1」に書きました危機管理対策本部を中心として、適切な対応がとれるよう御検討ください。

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