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遺物と進行の星座

絶え間なく流動する 街
ありったけの光と資材が あらゆる隙間を埋め尽くす
どこか向こうの明かりが 上空に滲むのを見て
片手の麦茶に 目をやる

過去と今の境目だって
目が捉えた景色の一部だって わからないのに
廃屋の取り壊し現場を見て
街は変わった とか言っちゃって
遺物と 現在進行形の語尾を むなしく分節するのは
いつも 自分

星座のシステムに 組みこまれた星が
爆発するとき
寂しがりながら 夜空を見上げて
また新しい星を 星座に組みこみ
すぐに満足するんだろう
爆発と 線引きの繰り返しが
人類史上最大の人工物から
放射性の共鳴を 引き出すのだろうか

駅の改札の天井
巣の中で 身を寄せ合う スズメたちは
いまだ 僕らの営みのそばに 寄り添い続けてくれる
ノスタルジーが ささやかな自信とその重みに 融ける

彼らが この街の 新しい星となる

過ぎゆく 流星の残像を 掴むように
この街の 遺物と 進行を
つなぎ合わせて 完成した
まばゆい星座上に 寝転がって 歌う



写真:オラファー・エリアソン個展『ときに川は橋となる』にて

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